新庄発 … 短信集 卯月

2014年4月15日
文責:遠藤敏信

● 13日、朝から晴れて真っ白に輝く月山や鳥海山を撮ろうとカメラ片手にかた雪を歩く。新庄は雪がもうないが、私のところはまだ30cm位ある。いい写真を撮ろうと場所を探していると、こげ茶色をしたキツネが出てきて飛び跳ねている。近くから移そうとしのび寄って行ったら気づかれ一直線に逃げていった。

   天国から地獄へ ―  得意の絶頂から奈落の底を味わった人が続いた。前東京都知事の猪瀬氏。現代のベートーベンと言われた作曲家?の 佐村河内氏、そして
STAP細胞の小保方氏。脚光を浴びただけに今は四面楚歌。まさに針のむしろの日々であろう。現代医学をもってしても治療方法も原因さえも分からない難病と言われるものがまだ数多くある。その治療にもっとも期待されているのが万能細胞と言われている。特別な装置を必要とせず簡単な方法でこの細胞を作ることが出来れば、広い範囲で応用がきき、研究も進み実用化も早まることだろう。難病で苦しんでいる数多くの人たちにとっての希望であるSTAP細胞の研究がこんな騒ぎの中で とん挫 することを、私は非常に残念に思っている。
【 三原 茂夫 】

● 今日(13日)、家の前から見る“月山”は残雪が映えきれいだった。特に田植えが終わるころまでは大気中の チリ が少ないせいか、遠くから眺めるのは好適な気がする。若いころは毎日見える風景には余り気をとめなかったような気がするが、やはり年のせいか!と思う。
 農作業も始まりだした。新庄での桜は月末頃が見ごろという。だんだんと忙しくなり、眺める時間も余裕もなくなっているに違いない。たぶんゴールデンウィークあたりは天候と競争していることだろう。
【 今田 多一 】

● ネットワーク農縁が発足して20年になろうとしています。当初から最大の目的は環境を壊さず、自然をたいせつにした農を営むことでした。大量の農薬と化学肥料で稲を育て、お米を収穫することに疑念を抱き有機栽培に取り組み、そうしてできたお米を年の皆さんに食べていただく。それが20年も続いていることは素晴らしいことだと思います。しかし、私たちを取り巻く環境は悪くなるばかりでGMO、BSE、温暖化、PM2.5、原発、いつも何かに怯えて暮らしているような気がします。TPPへの参加は日本の農業、日本人の食を変えてしまいます。先進国で最も低い食料自給率は更に低下し、米の輸入自由化が始まればポストハーベスト
(収穫後に農薬で消毒する)処理されたお米を毎日食べることになる。子供たちには食べさせたくない。
この国で安心して食べられるお米を作り続けたい。
【 星川 公見 】

いよいよ春だ。数日前から朝方クオックオッと白鳥のV字編隊が飛んでいく。ホーホケキョと近く小枝でウグイスがさえずる。雪どけの嵩を増した水が日の光をきらきら反射して流れる。傍らにふきのとうが芽生え水仙もニョキニョキと伸びてきた。
今、稲の種もみを水浸している。積算温度100から120℃になったら、30℃のぬるま湯に漬けこむ。芽が膨らんでハト胸程度になったことを確認したら、水けを切って一旦陰干しにする。それまでの間に、育苗箱への床土の詰め込みを行い、ビニールハウスや苗代の整地など苗床の準備作業をしておく。これで種まきの準備が完了。なかなかせわしない。 種まきは20日頃からかかりたいと思っているが、さまざまの行事とかち合うみたいで、予定通りには運びそうにないのが気がかり。
先ごろ、敬愛する友人(先輩女史)が新庄で最も高い建物(マンション)の一室を買った。「都合ついたら飲みに来て」というのでお酒持参で伺った。9階の最上階という事で、「見晴らしがとてもいい」という。ほろ酔いでストーブの部屋からベランダに出る。なるほど初めて見るアングルで「風情のある夜景だ」。加えて天空には少し丸みを増した上弦の月が浮かんでいるではないか。杯がすすむ。持ち込んだ以上を腹におさめてしまう。春の宵、またも酔眼朦朧へべれけ。     
【 遠藤 】


短 信 集 … 如 月

2014年2月15日
文責:遠藤敏信

   30年以上も我家のために働いてくれたトラクターがついに大きな故障をしてしまった。修理を頼んだら20万はかかると言われ、さらにこの箇所を直してもこのトラクターの年数を考えれば、ほかのところも次から次と壊れ費用がかさむ可能性が強いとも。この説得力のある言葉につい心が乱れ、息子と相談し新しいのに替えることにした。
 このトラクターが我家に来た頃は、父も母も妻も皆元気で、一番順調な時期であったように思える。台車に載せられた思いで深いトラクターが見えなくなるまで、つい見送ってしまった。【 三原 茂夫 】

   1月末、東海村の方から“脱原発とうかい塾会報”を頂いた。その中に映画「ハンナ・アーレント」の紹介文が載っていた。ドイツ文学者・池内 紀の言葉を引用し「ナチズムが猛威を振るった15年間、とめどない暴力と殺人をもたらし実行した者たちはいかなる異常な人間集団でも、特別な悪人でもなく、ごく普通な大人たち、陳腐で凡庸な市民たちだった」とあった。 私はハンナ・アーレントが人の名前でドイツ系ユダヤ人で、高名な哲学者・思想家であることを知る由もない。ただ見出しの“アイヒマンの凡庸な悪”だけが頭に残った。
2月に入り、ある日新聞を見ていたら、映画上映広告欄の中に「ハンナ・アーレント」が山形市で上映されるのを見つける。210、この冬一番の冷え込み(気温-9.9℃)の日に車で出かけた。 映画は元ナチス高官・アドルフ・アイヒマンが逃亡先で捕まり、イスラエルで行われた裁判の傍聴記である。大量殺戮の実行を担っていたアイヒマンという人物は、実は怪物や悪魔的存在でもなく私達と同じ小市民であったこと。ユダヤ人の中にもナチに協力した者がいたこと。このことを発表したらナチス(アイヒマン)擁護と非難され、大学の職を追われる …。でも、講堂での最終講義は私達映画の観客も授業を受けている感じであった。そして若い人達から万雷の拍手をもらう。私はこの映画で初めて“ハンナ・アーレント”を知った。         
【 今田 多一 】

   今年の冬は隣町の県道の除雪をしています。大きな除雪機械に乗って朝早く、車の走らない内に道路の除雪をするのです。首都圏も先日は雪が積もって大変だったようですが、こちらは毎日のように雪が積もります。20~30cmは珍しくなく、それが何日も続くことがあるのです。除雪を怠るとその道の沿線の住民は車が走れなくなり、仕事や学校にも行けなくなってしまいます。20代の頃、除雪に携わったことがあったので、隣町の建設会社から頼まれて引き受けたのですが、除雪発動のメールを受けて、早朝2時に起きて機械に乗って除雪作業に携わるのは、結構大変な仕事です。沿線の住民の生活を背負っているようなプレッシャーもあって簡単に休むわけにもいきません。雪が収る3月初めまでは頑張ることになりそうです。           
【 星川 公見 】

   大寒に入って以降、降雪量は少なくなり昨年と比べると楽をしている気分になる。雪は多からず少なからずを望んでいるのが雪国に住む人たちの思いであろう。
 さて、今年は国連が定める“ 国際家族農業年 ”であることを知る人は非常に少ないと思う。世界の農業経営体の実に7割以上が1ha以下で、こうした小規模家族農業こそが持続可能な食料生産・食料安全保障・貧困の根絶に貢献できるとして、国連は各国政府にその支援を要請しているという。対して、この国の農業政策は一貫して経・財界のご都合により進められてきて、労働賃金の引き下げには食料とりわけ農産品の価格抑制が必須条件として進められてきた。 世はまさに猫もしゃくしも規模拡大と法人化の大合唱、そんな中では小規模家族農業の話など載る筈がないのも当然だろう。
 ブラック企業のみならず、労働者の使い捨て、戦前の地主制にも似た大規模化、機密保護法、集団的自衛権行使、憲法改悪、アメリカと同じような超格差社会等、何もかも戦前への回帰であり、NHKは共同通信社の前身と化しそうな気配である。
 真面目に働いても食べるのがやっと、結婚も出産もできない若者が増えている今、これが“ 晋三お坊ちゃん”が言う「美しい日本」なのであろうか。私は、今年もふるさとの美しい山や川を次世代に引き継げるよう、走り回りたい。     
【 笹 輝美 】

    外は吹雪、家の中はぽかぽか
【 阿部 小百里 】



   1月半ば時点で150cmに達していた雪は、寒中の雨で見る見るすくみ100cmほどに減少。変なもので2月に入り節分を過ぎ立春を迎えると一転、寒波がぶり返した。まだまだ冬だ。でも、確実に ☀ ざしが長くなって来たことにホッとしています。

 インフルエンザが流行っているとのこと。気を付けてお過ごし下さい。 
【 遠藤 】

新庄発 … 短信集  睦月

2014年1月15日
着順 文責:遠藤敏信


謹 賀 新 年   ご多幸をお祈り申し上げます


● 今年で65回目の正月を迎える。日本男子の平均寿命 80歳 - 65歳 = 15 。
あと15年が私に残された平均的な時間である。そのすべてが元気でいられるとは限らない。登りたい山、読みたい本、旅したいところが制限されてくる。NHKアナウンサーがよく使う65歳以上の高齢者に私もなったのだ。
◦ 年始で⒒軒ほどの親類を回るが正月らしい明るく夢のある話は一度もなく、TPPによって米作りが成り立ってゆくのだろうかという話や、安倍首相は戦争をしたいのではないかという疑念、そして一番多く身に応える話が老後の介護施設に入所した時の費用のことであった。安いところで10万円前後かかるので、私たちの入っている国民年金では半分くらい足りなく、その分、生活費に重くのしかかってくる。
100年ほど前、石川啄木が母の看病のことを日記に書いている。「長く生きてほしい気持ちと長く生きては困るという二つの気持ち」と。今を生きる私たちにも切実な問題となっている。
【 三原 茂夫 】

● 雪、やはり新庄はよく降ります。12日は止まず降り続け、日中だけでも50cm以上降ったように思います。その為、ここ4日間、連続してゆきかきさぎょうに出ています。少し気温が緩むと屋根からの落屑も半端でない。落ちた雪は固く締まり、手押しのスノーダンプでは歯が立たず、トラクターの後方につけたバケットで近くの大きな堰まで運ぶ。
今は、朝夕、ディサービスの介護の車が玄関まで来るので、その間の除排雪が欠かせない日課となっています。
【 今田 多一 】
                           
● 年の初めにあたり山を考える。最近、低山歩きが多くなった。腰が痛いとか膝が痛いとかではない。「山は高きが故に貴からず、樹(き)有るを以って貴しとなす」
 昨年の秋に「七時雨(ななしぐれやま)」(1063m)を歩いてその実感を強くした。
より高く、より困難なものを目指すのがアルピニズムなら私のは何だろう。
マッキンリーに消えた「 植村直己(1941~1984)」はこんなことを言っている。
「高い山に登ったからすごいとか、偉いとかいう考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。要はどんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山が本当だと思う。」
高い山に登るのが一流で低い山が三流か。そんなことはない。高い山でも低い山でもの一流の登り方と三流の登り方があるという。今年も深く心に残る登山をしたいと思っている今日この頃である。 
【 佐藤 恵一 】

● 新年おめでとうございます。本年も人が安心して食べられる物をつくり育てる為に頑張りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 新庄は、七草から降り続いている雪は毎年の事とは言え、毎日の除排雪は体力的、時間的、経済的大きな負担となっている。為に高齢者や経済的にゆとりのある人の新庄からの転出が増えており、新庄の人口減少に歯止めがかからない。共同体的意識が強かった時代、そして今のように経済的格差が広がらなかった時代、先人たちは助け合いながら厳しい環境を乗り切ってきたのだろう。全国の地方が国内植民地と化してしまった今、衰退の一途をたどるばかりなのであろうか。
ここに住む私達の知恵と力で少しでも良い方向に向かうよう努めねばなるまい。
【 笹 輝美 】

● 降って当たり前の風土、トラクターの後方にバケットを着けて、雪を掬い上げ、近くの崖に運んで排雪するのが降雪日の日課だが、正月早々トラクターが故障した。入院。12年使い、稼働時間2200時間超。「修理するより、替えたら」連れが言う。買い替えのゆとりはなし。で、一日も早い機械の治りを待つこの一週間余。
早いもので、今日15日は小正月。 今年もよろしくお付き合い下さい。
                      積雪≒150cm 
【 遠藤 敏信 】

● 東京都知事選。都民でなし投票権もなく、とやかく言えない。でも、日本の首都の長をあらたむる事として関心あり。妖怪じみた高齢の方々が名乗りを上げていることに驚く。でも、デモ、これが、絶対多数で今や何でもありの自民一党体制を崩すきっかけになればイイことだ。 面白い。
【 むらのじゅうにん 】

新庄発 … 短信集 神無月

2013年10月16日
着順 文責:遠藤敏信

 核のゴミと言われるものを後世の人に残してゆくことに「これは犯罪ではないか」と思う時がある。原発は稼働するのはたったの40年。廃炉作業40年。そしてその後、10万年、管理し続けなければならないのは、一度も原発の恩恵を受けることのなかった人々である。私には関係ないと放り出すことも出来ない。こんな理不尽で、不条理な話ってあるだろうか。
【 三原 茂夫 】

● 田んぼからは黄色い稲穂が消え、大方の農民は刈り取り作業を終えた。昔、収穫作業を終えると必ず餅をつき、大家族で一年の労をねぎらい、家にある神々のほか、牛・馬などにも餅をお供えし、芋の子汁などのご馳走で宴の一夜を過ごした。今でも楽しい思い出だ。
 餅と言えば神社などに使っているしめ縄などは今でもモチ米の稲わらで作るそうだ。今月19日ごろ、満月になるウサギの餅つきの日はコップ酒でも持って外に出て眺めて見るつもりだ。
【 今田 多一 】

● 10月6日、TPPを話してくださいとの要請で、東京恵比寿にありますカフェ「アサンテーサ」に行ってきました。多くの人たちと3時間半の意見交換の中で知りえたことはTPPとは内容が知らされずに進められている現状が見えてきました。
 皆さんには先に韓米FTAの内容をお配りしておきましたので、再度見てやってください。アメリカの覇権主義(勝利者として手にする権利)的な主張の基に韓国ではアメリカの経済植民地化されている現状が見えてきているのです。
 自分は四季の中で営む農の中の農村社会にこそ、日本国の基があると日常生活の基本としています。村に住む人たちは生活環境をよくするために毎年の四季ごとに繰り返す祭り事、環境整備などを行事として何代も続けてきました。農を営むこれからも限りなく続くことでしょう。今でも互いの心を大切に寄合的な結いのつながりの中で営まれているのです。
 2国間自由貿易韓米FTAは、韓国自国の憲法よりも条項が優先するとのこと…。TPPはどうなることか、日本国の培ってきた思想すら覆されてくるのか。韓国の農家の人の話では現に韓国ではそれが顕著に表れているとのことです。
 覇者の理論の基に推し進められるのか…。これからの食に関する問題が大きくなると思います。「命を支える農業こそ国の基本」大事にしたいものです。
俺は古いのかな。自由の国アメリカで一旗揚あげる方がいいのか。勝つ、負けるしかない国アメリカは絶対いやです。
【 高橋 保広 】                               

● 9月16日の朝日新聞の惜別欄に、秋田県羽後町の高橋良蔵さんの記事が掲載されていた。2年前の年賀状にこれが最後となりますと書かれていたのを思い出した。
 戦後の秋田の農民運動を牽引してきた方だった。この20年近く、毎年3月上旬に良蔵さん宅を訪ね、お茶飲み話をするのが慣例になっていた。「普通の農民が普通に暮らして、普通の暮らしができる「農政の確立を」を目指していたのが良蔵さん。  私が大豆や水田のトラストのことを「ほー」「ほー」というだけで余り関心を示さなかった。少数の農民がゲリラ的に活動しても全体のものにならないと考えたのだろう。出稼ぎ者の救援やエサ米運動など常に石をひとつひとつ積み重ねていくような運動をする人だった。合掌。
【 佐藤 恵一 】

● 刈り取り目前の秋彼岸入り日の前日、病に倒れた農家の稲刈りを頼まれた。入院したのが6月末だから、誰に農地を託すか、迷いに迷った末のことだったに違いない。面積4丁歩超。畔の草は伸び放題。田んぼはというと、こんなイネ見たことないくらいホギデ(過繁茂状態)いた。と同時に「なんだこれっ」と思うほどイモチ病に侵されていた。籾摺りをすると、未熟米のおびただしいこと。特に死に米・粃の多いこと。早くから被害にあっていたと思われる。「過ぎたるは及ばざるが如し」多収をねらうあまり、肥料を過剰に施すことで病気を招き、品種によっては倒伏を招いたのだ。必要以上に資材費用をかけた上、失敗した事例を間のあたりに見て、そのあと始末に当たっている。
大型の台風(26号)が近づいているとTVが報じている。大荒れが予想されるという。今日、稲刈りを終えた。(15日)
【 遠藤 敏信 】


農協の倉庫に積まれた米、30kgづつ紙袋に入れられている。

新庄発 … 短信集 長 月

2013年9月15日
着順 文責:遠藤敏信

 姫神山登山の帰り、石川啄木記念館に寄る。ここの学芸員をしている山本玲子さんは世の男どもには目もくれず啄木ひとすじの研究者として知られている。私もテレビや本を通して知っていた。昔の日本女性がもっていた奥ゆかしさを感じさせる立ち振る舞いとやわらかな声の持ち主で一度お会いしたいものだと以前から思っていた。
幸運にもあこがれの山本さんと直接言葉をかわし本にサインとメッセージまで書いてもらう事が出来た。興奮冷めやらずその晩の酒は「たしなむ」以上になったことは言うまでもない。(今田さんの話によれば一人でずい分と盛り上っていたらしい。)宿泊した七(なな)時雨(しぐれ)山荘付近の牧歌的な景色は素晴らしく、ヨーロッパのスイスを思わせるとは七時雨山に登った全員(5人)の一致した感想であった皆さんにもオススメの山荘と風景である。
【 三原 茂夫 】

● 稲刈を間じかに控え、最後の草刈りを終えた。年に5~6回、畦畔の草刈りをするが、その際カエルや蛇が回転刃に触れ、相当数犠牲になる。今年はこれが最後だ。
   今年度の米価を決めるともいえる、全農による新米の買い入れ概算金が発表された。ある程度は予想されていたとはいえ、昨年より60kg当たり1500円位安く設定された。生産費割れである。有機栽培の面積を拡げるのはなかなか難しい。農縁会員の皆様とのつながりを、より大事にしたい。      
【 今田 多一 】

● もうすぐ今年も収穫の秋を迎える。今年の稲の生長を振り返ってみると、この冬の大雪で雪どけが遅く、稲の種まきも半月遅れだった。半月遅れのスタートに始めは生育を心配したが6月は好天に恵まれ稲も生育の遅れを取り戻し、安心したのもつかの間7月は毎日のように雨で、記録に残る新庄市の7月の雨量だった。
8月に入って晴れた日が多くなって稲の生育も回復するが、やはり7月の曇天で稲の炭素率が低く、イモチ病(イネの病気)の抵抗力が弱くなり、心配していたイモチ病が発病し稲の穂が枯れていく。刈り取ってみないとわからないが2~3割は減収していると思う。農薬を使わない農業の厳しさを今年ほど感じたことはない。
【 星川 公見 】

● TPPに思う - 農を営む者として ― 韓国FTAについて
 8/28~29、韓国から15名(通訳2名)の農家の方が大豆畑(トラスト)の視察に来られ、ネットワーク農縁新庄の面々と交流会を持ちました。
主に専業農家で有機農業などされているみなさんでした。8/26~30までの日本滞在で、テーマは循環型農業、循環型町づくり、産消提携と三つの課題での山形視察なのでした。韓国ではアメリカとの自由貿易協定(FTA)を2011年11月に結び3年目になっています。その間農業では食べていけないと12,000戸の農家が離農し、土地と家を国に買ってもらい、都会に出た人が大半という事でした。畜産農家にとっては飼料代が高騰し、採算が合わず廃業に追いやられている。韓国政府はFTAにより対米輸出が年平均約1,270億円増加する見込みをしたとのことですが、現実は農を追われ農地を取り上げられるのがFTAであり、韓国がアメリカの経済植民地化されている現状が伝わってきました。
韓国の憲法などの国内法よりもFTAの条項が優先する。アメリカ企業が持つ特許権(知的財産権)を強く守る条項があり、韓国側のきわめて不利益を被る内容になっている。韓国の農業者、自治体が地元の児童生徒に給食用の食材を無償提供することは自由貿易の原則に反する、等々。
 「国民の食を担う」そう自負し何代も農地を耕し、営みの中で子を育て自分も育てられた。農地を手放す … どんなにか残念な思いの中で12,000戸の農家が離れていったことか。視察団の残念な思いを強く感じました。
 農家は水路を守り、農道を守り、村の治安を守り、人がより暮らしやすい環境を整える。みんなで職場を守り、多くの人が関わって成り立つ共同体の職業なのです。FTAによってどんどん壊れる様を韓国の農家は見ているのです。日本がTPPに加盟する、このことを皆さんどう思いますか。加盟後の姿は今の韓国のFTA後の姿に重ねて見えてしまうのです。 (9/15)         
【 高橋 保広 】

● 8月も中旬に入ってから9月上旬まで雨が続き夏を感じることが出来たのは旧盆の頃の一週間だけという有様。ただ8/24~26の新庄まつりはよく晴れて、祭り日和となり、この時ばかりは新庄の人口の10数倍の人の波で溢れかえった。 東西南北の目抜き通りには露店がずらりと並び、賑わっているように見えた。一方、城跡公園近くには以前は20店以上の植木や鉢物の店が出ていたが地方経済の疲れと同時進行で少なくなり、今年は7店のみとなっていた。顔見知りとなっているオッサン、おばさん方は一様に全然売れないと嘆くが、その言葉を聞く私も一鉢も買わないでしまった。
 稲の方は高温多湿の日が続き、穂首イモチ病による穂枯れが目立つようになっていたが大きな広がりには至っていない。無農薬田の方は今年は米酢や貝殻微粉末を水に溶かして散布したところ100%とはいかないが一定の効果は実感できた。刈り取りまであと一息。このままでと祈る毎日です。         
【 笹 輝美 】

● 夏祭り(新庄祭り)が終わったと思ったらめっきり秋らしい風となりましたが、雨ばっかり降っていたせいか朝にはミンミンゼミが鳴き、夜には虫が心地良い音色を出し、夏と秋が入り乱れるこの頃です。
【 吉野 昭男 】

● 8月末よりねぎの収穫作業が始まり、忙しい毎日を過ごしています。そのかたわら中学野球の指導をしていますが、果敢な時期の中学生は少し反抗的なところがあり、気持ちを抑えながらの指導となります。大変ですけど、好きな野球ですので一人でも多く、高校でも野球に打ち込む球児を送り出したいと思いがんばっているところです。 
【 星川 吉和 】

● 昨日は久しぶりに気温が30℃を超す猛暑日だった。収穫期で野良の往来が多くなる前にと、農道の補修作業(敷砂利)があった。汗だくになり、上下とも着替えをするほどだった。特に午後の作業ではバテを感じてしまった。
Sさんと通称サブちゃん、ともに今年80歳になった方々も参加していた(息子たちが出れば来なくてもいいのだが)。「オラぁ、汗はあんまりかかねぇ」とすまし顔でいう。「まだ80歳だべ。食いたいものを食って、酒も少しは飲んでよ」と。
「もう○○歳だ」と「まだ○○歳だ」の違い。気概を学ばねば、と思った。
【 遠藤 敏信 】

そばの花が満開(9/15)



















新庄発 … 短信集  水無月

2013年8月16日
文責:遠藤敏信

● まいったなぁ … 。7月いっぱい雨降りが続き、8月に入ってやっと梅雨明けが宣言され安心していたら、又も連日の雨又雨。もううんざりだ。田んぼは乾かず、イモチ病が蔓延し、これで倒伏でもしたら目も当てられない。サンサンと輝く8月の太陽が一日も早く欲しい。
/ 8月7日夜、TBS系で放送された「生きろ」を見る。沖縄にとって本土から来た日本人は何かと評判が悪い(洞窟に避難している住民を追い出したり、自決を強要したり)中で、今でも県民から敬愛されている例外的とも言える人で、軍部とも掛け合い命をかけて県民を守ろうとした沖縄県知事・島田(しまだ) 叡(あきら) の姿に感動した。あの時代にこんな日本人もいたことに。沖縄戦の悲惨な現状を本土に報告しようにも通信設備を持たない島田知事に代わって、海軍・太田指令が打った「沖縄県民斯(か)く戦えり 県民に対し後世特別のご高配を賜(たまわ)らんことを」の電文には泣いてしまった。
(参考)電報の全文
  「 沖縄県民ノ実情ニ関シテハ 県知事ヨリ報告セラルベキモ 県ニハスデニ通信力ナク 本職 県知事ノ依頼ヲ受ケタルニ非ザレドモ 現状ヲ看過スルニ忍ビズ 之(これ)ニ代ッテ 緊急通知申シ上グ 県民ハ  青壮年ノ全部ヲ防衛招集ニ捧ゲ 残ル老幼婦女子ノミガ 相次グ砲爆撃ニ 家屋ト家財ノ全部ヲ焼却セラレ 僅カニ身ヲモッテ軍ノ作戦ニ差支(さしつかえ)ナキ場所ノ 小防空壕ニ避難 若キ婦人ハ率先 軍ニ身ヲ捧ゲ 看護婦 烹炊婦(ほうすいふ)ハモトヨリ 砲弾運ビ 挺身斬込隊スラ申出ルモノアリ 只管(ひたすら) 日本人トシテノ御奉公ノ護(まもり)ヲ胸ニ抱キツツ 一木一草焦土ト化セン 糧食六月一杯ヲ支(ささ)フルノミト謂(い)フ 沖縄県民斯(か)ク戦エリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配賜ランコトヲ 」

戦後、日本政府はこの電文にあったように沖縄県民に対して特別の配慮をしたといえるだろうか。
【 三原 茂夫 】

● 大豆畑の草取りご苦労様でした。7月3日から降り続く雨は丁度、草取りツアーの2日間だけ降らず、今日(12日)も降った。日照時間は平年の47%で農作物全般に悪影響(軟弱徒長/病虫害)が出ている。
   私が35年以上加わってきた神室連峰登山道の草刈作業も沢が増水し入山できず延び延びとなり、7/27~28の小屋泊まりでの作業でようやく縦走路全線を終え完了することができた。今までにない遅れで山へ入るたびにビショ濡れとなり、イヌワシにも会えず稜線からのパノラマも目にすることなく終わってしまった。ただ今年は6~7年に1回だけしか身を着けないといわれるブナの実が稜線の短化ブナでもあちこちに見られ、何となく嬉しさを覚えた。とは言っても一度人里の食物を食べてしまった熊は迷わず人里に現れ食物を獲るようになる。木材の輸入自由化以来、木材(丸太)価格は下落し続け、生業としての林業は成立しなくなってしまい、それまで造林や育林、薪炭採取で毎日入山していたのがパタリと途絶えてからずい分と久しい。加えて、山のマナー・ルールを知らない、又は知っていても守らない人達が釣りや山菜・キノコ採りで山へ入り、食べ残し等のゴミを捨ててゆくのであるから、人間の方が熊を人里に迎え入れているようなものである。
熊が人間の食べ物を口にするとそれを求め続けるように、人間も又、一度バブル期のどう考えても継続不可能な幻影に踊らされた事により次世代へどんどんツケを回しながら幻を追い求める様は、熊と何ら変わるところはない。そして今日(こんにち)のこの閉塞状態から抜け出す術を探れず、格差を益々拡大させるような事しか考えない新自由主義に基く現代経済学と学者は我々庶民から見ればクソほどの役にも立っていない。
【 笹 輝美 】 
   
● 先月13日、私も仲間に誘われて秋田のわらび座ミュージカル「ブッダ」(演出・栗山民也)を見に行った。
   私たちの米を長年食べ続けてくれている川崎市の“もも保育園”。その元園長が教師時代、名所旧跡を巡る就学旅行でなく、農作業と民俗歌舞を実体験して、人とのつながりを実感する体験的修学旅行をわらび座を通じて行いました。その時感動した生徒(渡辺 哲)さんが入座し、このたびの公演「ブッダ」にも出演しており、テンポの良さと生きるエネルギーに溢れた迫力ある舞台でした。渡辺さんは中堅を超え幹部俳優の風格でした。そして帰り際、座員の人から声をかけられ「どちらから来られましたか」と聞かれ、「新庄から」と応えたら、その若い子も「私も新庄よ」と言い、立ち話ながら一気に新庄話に盛り上がり楽しい一日でした。
  /発芽不良のため播きなおした大豆畑トラストの草取りツアーは連日の雨模様の中、当日だけは天気に恵まれて幸いでした。梅雨明けが宣言されたにも関わらずその後も雨、盆の忙しさも加わり最後の培土作業ができません。参加していただいたみなさん、どうもご苦労さんでした。 
【 今田 多一 】 

● “立秋”を過ぎたら約一ヶ月ぶりに暑さが戻ってきた。昨日は34℃を超えた。エアコンのない我が家は扇風機の風に当たっているが今日もとても暑い。暑い暑いとぼやきたくなるところだが、「 夏暑く、冬寒い 」のが新庄(ここ)の自然の摂理だとすれば喜ぶべきことだと思う。  
 8月24~26日は250年を超える歴史を有する新庄まつりが来る。神輿(みこし)渡御(とぎょ)行列を先頭に豪華絢爛(けんらん)な山車(やたい)が20台運行される。町方の若連が山車を作り、周辺の村方若連が囃子を奏で、子供たちが威勢のいい掛け声とともに曳きまわすのだ。これら一連の行事・所作は国の重要無形民俗文化財にも指定されている。今年は土曜・日曜・月曜という日程になる。時間を割いてゼヒ観に来ていただきたいものだ。
【 遠藤 敏信 】    

新庄発・・・短信集 水無月

2013年6月16日
文責:遠藤敏信

● 田植えが終わったので、久しぶりに酒田と鶴岡の古本屋( BooOff)を回ってくる。今日は大当たり 定価の半額セールになっていて、新品同様の原寸復刻「江戸名物図会」評論社38,000円のが、売価5,000円となっていた。その半額なので2,500円でこの貴重な豪華本が手に入った。(これも日頃、本屋通いをしている精進のたまものである)
 江戸文化に詳しい石川英輔氏と田中優子氏(いい本を書いているし、顔もいい)の二人が監修したその序文を読むだけでワクワクしてくる。これから1週間くらいは幸せな気分でいられる。
【 三原 茂夫 】

● 新庄も田植えころから雨らしい雨が降らない。私は昨年より4日早く529日に田植えを終えた。ほっとする間もなく大豆、雑穀の種まき、草刈り、無農薬栽培田の1回目の機械除草と次々続き少しくたびれ気味である。

新庄大豆トラスト畑は12日にメンバー全員で堆肥散布、耕うん(砕土)を行い、14日早朝、種まきを終えた。【 今田 多一 】
● この6月1日に川崎市の「もも保育園」に伺い、米の話をしてきました。私たちの食
に関する考え方や、農業が関わる環境問題などの話を聞いていただきました。上手に話すことはできなかったのですが、自分たちのこだわりや考え方などいくらかは伝えることができたと思っています。田植えが終わってすぐでしたので、何の準備もできないまま伺い、私たちの下手な話を聞いていただいた保護者の方々や園の関係者の皆様に感謝いたします。
【 星川 公見 】
● 平年より1週間遅れて5/30に田植えが終わった。田植えが終わるとそれまで休止していた諸々の、組織の活動が再開され農作業以上に繁忙となる。そんな中、6/9、恒例の「神室山系登山会」が開かれ、今年は総勢70名での登山となった。私たちの「神室山の自然を守る会」では20年ほどに亘り、スタッフを努めてきた。
 13日はよく晴れ、東風が強かった為、鳥海や月山等の山々が事のほか美しく、とりわけ大量の残雪をまとった鳥海山の秀麗な山容は出羽富士の名に恥じない神々しさを感じさせる。多忙な農作業の合間にフと眺める時、それは一服の清涼剤のごとく私たちの心身をリフレッシュさせてくれる。
6/1は震災支援活動のため3年越しとなった「もも保育園」で米つくりの話をさせていただいた。無農薬栽培での苦労話に終始してしまったが、不慣れな私たちでは言葉余って舌足らずの感が残った。私たちの拙い生産現場の話を聞いて下さった皆さん、本当に有難うございました。今度はぜひ新庄においで下さい。          
【 笹 輝美 】

● 6/1、機械による田植え了。翌2日 Yさん 家へ機械とカアチャンとともに田植えの手伝い。我家と比べ、耕深が浅い。機械に負担がかからず作業がはかどる
8~9日、今年で3回目となる「まける米の田植えツアー」(2011.3.11の被災地宮城の方々と、それを支えたいという首都圏の方々による田植えツアー。秋には稲刈りツアーもある。その販売収益を被災者が東京など各地で震災を風化させまいと「語る会・聞く会」を開く際の費用に充てる。)今回は、保広さんの圃場が舞台。総勢≒70名で20アールの田圃を1時間そこそこで植え終えた。交流会は宿泊地のセミナーハウスで行われ、旬の山菜を使った郷土食とお酒、そして参加者による座をにぎわす歌や玄人芸の趣向に大いに沸いた。
9日、二日酔い。「神室山系登山会」にスタッフとして参加。こちらも総勢70名を超える参加者。≒10人ずつの班を組み行動。全員無事下山。みず汁とビールでの交流会で疲れを癒す。参加者は大満足。これら行事双方に市の商工観光課が全面協力してくれたことに市民の一人として礼を言いたい、と思った。     
【 遠藤 敏信 】



新庄発・・・短信集 皐月

2013年5月15日
着順 文責:遠藤敏信

   4月の後半も低温と雨天が続き、雪どけは大幅に遅れ、我が家の近くの田んぼの雪が全て無くなったのは4月25日だった。2階建の農作業場の屋根の軒下とつながる寸前まで積みあがった雪は5/12現在まだ残っており、過去最も遅い記録となった。
 そんな中、私はと言えば、不注意から右手人差し指を骨折し、何とも不自由ではがゆい毎日を過ごしている。何をやっても1本使えないだけで満足な作業ができないのだから困ったものだ。腹を決めて花見でもと思うが新庄最上地方の桜の花芽はウソに食べられ、花が咲いたといってもあまりにもまばらで、とても花見の風情とは程遠い有様なので、ようやく満開となった屋敷内の梅の花に慰められている。
 神室連峰に目を転じれば、例年よりかなり大量の雪が残る沢々だが、尾根では“ブナの峰駈け”(芽吹きが駈けるように麓から上に進んで行く様)が始まった。風薫る好天の下での農作業に汗したいものである。
【 笹 輝美 】

   今年はわが家の桜ばかりでなく村の公園や新庄の桜の名所と言われている所が皆、野鳥で食べられ少ししか咲かず、寂しい花見となった。
 
「オリバーストーン監督が語るもう一つのアメリカ史」を見ている。前10回の内7回まで放映された。特に6~7回はベトナム戦争とCIA が暗躍して、中東・南米諸国の軍事独裁政権を誕生させた場面では、見ていて気分が悪くなってしまった。

 国民から選挙を経て選ばれて大統領を公然と死に追いやるなんて、常々、笹さんが強い口調でアメリカを非難する気持ちがようやくわかってきた。アメリカ国民はこの事実を知っているのだろうか。「正しい歴史認識」とよくお隣さんから言われるが、日本はもちろん韓国、中国、アメリカ、ロシア、ドイツも自分の国がやってきた事を正視できる国民になっているのだろうか。
【 三原 茂夫 】

   大雪で雪どけが遅かったためか、春の天候不順のためか田んぼが乾かず、トラクターがぬかるみに往生し、なかなか田起こしが思うように進まない。が、2日もすると。田んぼの状況が一変する。条件の悪い中でも作業が進んでいるのである。片方で水が張られ、代掻きも一方で始まり田んぼが水で鏡になる。でもこの時期、必ず風が強く寒い日が来る。田んぼに水が張られた大地が冷えるから、と言う俗説があるが、まるっきりのウソとも思えない。
 【 今田 多一 】

   4月後半からも低温と雨天が続き雪どけは、大幅に遅れ我家の近くのたんぼ
【 遠藤 敏信 】

新庄発・・・短信集 卯月

2013年4月15日
着順 文責:遠藤敏信

●/今まで花粉症になった人を「軟弱者」と鼻先で笑っていたが、今年から私に鼻水、くしゃみ、目のかゆみの症状がたて続けに現れてきた。まさかこの年でと、何度も思ったが、間違いなく私もその仲間入りをしたようだ。
 /啄木や賢治が遊んだ城跡が見たくて盛岡へ行く。当時はどこからも雄大な岩手山が見えたそうだが、今はビルが林立してそれは叶わない。「空に吸われし十王の心」を追体験しようと芝生の上に仰向けになって空を見たが、啄木の歌には余りにも自分の年齢がかけ離れてしまったことに気づき苦笑する。
 /種まきまで消えるか心配していた雪だが、何とかなりそうで安心している。【 三原 茂夫 】

● 私の村の入口に山岳信仰の出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)の一つ、湯殿山の石碑が祀ってある。マツクイ虫で5本の松が枯れた為、新しい松を植えた。4/8、隣組で石碑の回りの松の幼木の“そがき”(雪囲い)を取り外しお参りして、一杯飲む。
 酒宴のとりとめない話の中、息子も農業を継いでいる○○さんにもっと農地を増やして規模拡大しないかという話が出る。「今、TPPが来てどうなるか分からない時、増やす気になどならないべゃ」と言う。脇で飲んでいた△△さんが「もっと農地が値下がりしてからでも遅くはねぇ」とチャチを入れる。やはり“TPP”でますます先行きが見えない。幼稚園の送り迎えの車より、介護関関係の車の往来が多いといわれて久しい。そして、私にもついに、介護する時が来た。
【 今田 多一 】

● 毎日、TPP問題が新聞の紙面をにぎわしているが、TPPへの参加は果たして国民を幸福にするのだろうか。3.11以降、度重なる大地震、淡路島の地震は未知の活断層とのことだ。大きな地震が起きるたびに震源地に近い原発が心配される。やはり原発再開は危険すぎる。こんなことを考えながら種まきの準備を進める。今年は例年になく雪どけが遅く、田畑はまだ残雪に覆われている。こんな年は雪が無くなると一気に農作業が忙しくなる。
【 星川 公見 】

● 「広報しんじょう」の4月号に小学校新入生の写真が掲載されている。私の村の子供達なのだが28戸の村で5人の新入生だ。昨年11月3日の山形新聞に「異常に子ども多い村」と紹介されてからいろいろと話題になっている。今年の1月17日には、東根市高崎地区の区長会12名が視察に来た。尾花沢市M地区からも視察の要請が来ている。「少子化対策について聞きたい」とのことだったのだが、聞かれた村の人も困惑している、といった状態。13歳未満が14人というのは、他地区から見れば多いかも知れない。「魔法の杖」があったわけではないのだろうが私にもよく分からない。ただ言えることは、他と比べて争いごとのないおだやかな地域であること、老・壮・青・子供の連携したコミュニティ活動が活発なことなどが思いあたる。ひょっとしたらここは「みちのくの桃源郷」なのかもしれない。
【 佐藤 恵一 】

● 雪どけが急速に進んでいる。桜の芽も膨らんできた。種まきが近づいている。私の場合、稲の育苗はビニールハウス内でなく、田んぼでの露地育苗だ。苗代用地の残雪処理に昨年はロータリー除雪機を入れ、厚さ60cmの雪を枠外へ飛ばしたものだが、今年は4月はじめに水を入れ、融雪を促している。この冬は昨年より積雪量が多かった割に雪どけが早いようだ。
 新庄の百姓シンガー“泉 耕”が ~日本を守ろう~ TPP反対音頭 という曲を歌っているので紹介したい。遠藤 敏信 】