2020年9月15日
文責 : 遠藤 敏信
●8月も下旬に入り、それまでの曇雨天から一転猛暑が続き、人も家畜も作物も皆ヘトヘト。心配だったイモチ病はやはり穂へと移り減収は必至。また、日中光合成ででん粉を作っても夜間気温が高かった為、呼吸作用でそれを消費してしまい、いわばタダ働きといったところ。葉で作られたでん粉が穂へ移行する為には水分が必要であるが、この時期下手に水を入れた後「何とかと秋の空」のように天候が変わり雨となろうものなら、田んぼがぬかるみその後の刈り取り作業が難渋することになる。かといって土壌水分が少ないとイモチ病を拡大させてしまう。この時期の水管理は本当に悩ましい限りだ。いくら科学が発達しても、自然相手の農業はすべて思い通りに行くことは少ない。
かつて、農業・農協批判が激しかった頃、その急先鋒を担っていた「一郎三ピン」と言われた4人の男たちがいた。その中の一人は今、アダムスミスを気取っていて、彼等の主張は「日本の農産物は国際価格と比べると高い。国が税金を使って保護し高い農産物を作らせている。ゆえに農民は経営能力が乏しく、にも拘らず裕福な生活を送っている。日本経済のお荷物である農業など無くして、もっともっと輸出産業はじめ、サービス業等に力を入れ発展させるべきで、日本から農業が無くなれば、国民は年100兆円得をする」ざっとこんな調子であった。彼等の主張が正しいかどうかは別として、農業・農民がそんなに保護されているのなら、何故離農が続出し、若者が農業に就かないのか?それを聞いてみたい。彼らの迷言はその名とともに後世に残るであろう。
【 笹 輝美 】
●収穫の秋を迎えても今年は少し複雑だ。20年以上続けてきた無農薬栽培を、6月に除草剤を1度使い低農薬栽培に変更したからだ。これまで田の草取り1回と除草機押し2~3回で何とかやってきたが、雑草の多さと除草機押しの時に息切れがひどく、今年は無理と判断した。今まで田の草取りを応援してくれた東京の友人にそのことを伝えた。残念そうな声が聞こえた。
不整脈と高血圧の薬を飲むようになってから6年。近いうちにこうなるとは思ってはいたのだが、仲間と一緒に作ってきた無農薬米をやめてみると、この時期になってさびしいという気持ちがわいてきた。
【 三原 茂夫 】
●今年は農縁が始まってから最もイモチ病の被害の多い年になったようです。例年少しの発生はあるのだが今年のように大発生したことは無かった、7月の長雨による多湿状態でイモチ病が大発生して周りのどこの田んぼを見てもイモチ病で枯れた稲穂が見えて、あちらこちらで薬剤散布の消毒をしている、農薬を使えない私の田んぼはイモチ病が拡がっていくのを指をくわえて見ているだけで、農薬を使えないリスクを最も感じた夏でした。どんな米ができるか気がかりです、せめて食味だけでも悪くなければいいのですが ……。
【 星川 公見 】
●平年なら新庄まつり(8/24~26・今年はコロナのため中止)が過ぎると秋風が立ち、涼しさを感じるのであるが、今年は9月に入ってからも暑さが続き身に応える。9/6、家の前の僅かばかりの田のバインダー刈り、稲杭掛けの作業をしたのであるが、冷たい水を何ぼ飲んだかしれない。そして7日、気温35.7℃である。でも秋彼岸を過ぎれば「寒くなってきたなぁ」となり、朝晩のストーブが欠かせなくなるのだ。やはり、自然の摂理は大きく変わってほしくない。
【 今田 多一 】
●畑作業(培土や草取り)にせよ、注文を受けて加工所にこもる場合でもほとんどは独りで自分が課したノルマと向き合う。だから、外で汗だくになろうとも、疲れはするが苦にはならない。コロナ禍で何が変わったかというと、「3密を避ける」ために縮小や、交流会等の中止が相次いだ。忙しい時は煩わしく思ったりすることさえあったのにそれら、人との関わり・交流が何ともホッとする時間であることに改めて気づく。気兼ねなく往来が出来る日々が戻ることを、切に願っています。
【 遠藤 信子 】
●15日、稲刈りに入った。始めにバインダー・杭掛け部を手がける。わずか10アールばかりに3人がかりで、まる1日いっぱいの作業となった。
作業予定。本格的な刈り取りは16日から。例年通り、早生種から中生種、晩生種の順に進める。ヒメノモチ ~ さわのはな 〜 雪若丸 〜 はえぬき 〜 つや姫へと移行する。天候を計っての作業となるが、①刈り取り〜 ②乾燥 〜 ③一時貯蔵 〜 ④籾摺り 〜 ⓹袋詰め 〜 ⑥出荷 のローテ―ションを約16回繰り返す、ほぼ1ヶ月の長丁場となる。今年の“サグ”は、どげだべ。
楽しみであり、こわさもあり … だ。無理せず臨もうと思う。
【 遠藤 敏信 】
いまでは珍しくなった稲の杭掛け。雨よけのビニールが印象的。(今田君宅) |