新庄発 … 短信集 … 師 走
新庄発 … 短信集 … 霜 月
●○里山の紅葉は茶色に代わり、初雪が降るころには落葉して寒々とした裸木になってしまう。毎年くり返される晩秋の風景である。
○暇なのでこんなことを考えてみた。皆さんもご一緒に … 。今、ウクライナで起きている戦争がもし日本であったら、政府や国民はどう対処しただろうか。ウクライナのように国を守るため武器をとって戦えるだろうか。「戦争絶対反対」と言って、無抵抗で白旗を上げ、占領され、その後ブチャで起きたような悲劇(ウクライナの小さな町で、ロシア軍撤退後、拷問・虐殺の痕跡が発見された)が繰り返されても容認するのだろうか。テレビでいくら悲惨な映像が流れても自分のこととしてとらえるのはむずかしい。実際、ミサイルや砲弾が落ちて多数の身近な人の死やケガ人を目前にしなければ。又、電気やガス、水が止まり寒さの中で食料を心配し、空襲警報のサイレンに脅えながら毎日を過ごさなければならない生活を今の日本人には想像すらできないことだろう。そんな中で北朝鮮ミサイル発射で、山形県にもJアラートが出され、その内容が「頑丈な建物に入り、窓から離れるように」と、台風の時と同じ感覚とは笑うに笑えない。
○“アルプス音楽団”新庄公演に行く。70歳のおじさんが歌うヨーデルの美声に酔いしれた。
【 三原 茂夫 】
● この時期新庄は朝もやがすごい。盆地だから、だという。
あっという間に秋が終わり、雨が降ったりすると鉛色の空になり初冬の感がある。又少し小春日和が続いたりすると”明日できることは今日するな”となり、雪囲い、小屋の片づけ、野菜の取入れなど次々作業はあるのに少しサボってしまう。
冬は短いほど良い、と感じる年に私もなってきた。
【 今田 多一 】
● 収穫作業の疲れからか、風邪をひいてしまった。忙しかったので多少無理をした為こじらせてしまい、ウイルスに居心地の良い肉体を提供することになってしまった。
若い頃、出稼ぎ等で様々な仕事を経験してきたが農作業はやはりキツイ。今この国の農業を支えているのは60代、70代の高齢者である。若者たちは早々に見切りをつけているといって言い。「農は国の大本なり」とは明治時代の話で、ある方々に言わせれば、日本経済のお荷物とか。そう言われコキおろされてきたのだから当然のことであろう。
そうした経済界の望み通り、農業(農業者)が消滅するのは時間の問題であろう。いま語られている食糧安保も農業者ではなく、農地を残すことに尽きる。その時国民は年間10兆円トクをするのかどうかこの目で確かめたいものである。
社会経済システムをすべて米国のコピーをしてきた彼等が目指すのは農地を掌握し、労働者を低賃金で働かせ、食料の生産から流通までを支配することである。ことは容易に想像できよう。そしてその下準備が農地の集積を進めることである。
傍流を歩み続けてきたヒネクレ百姓の独断と勘繰りは止まることを知らないが、将来そのようなことにならないことだけを願っている。歴史の逆戻りであるから。
【 笹 輝美 】
● 若い頃、イヤつい最近まで自分の住むこの地新庄は「冬に雪が降って当たり前」、「冬寒く、夏暑いのも当たり前」 と思ってきた。つれあい“おっかあ”に至っては「冬は雪、スキーができる」 だった。しかし年を重ねて雪と付き合う負の側面、除排雪の労を思うと「雪はほどほどがいいなぁ」となってしまった。母屋の雪囲いは済ませたが、庭木にはまだ手付かず、越冬野菜の取入れも半ばだ。さらにブルーベリーの雪囲いが手ごわい。
8月の長雨で一般的に不作だった今年のそば、我が家の場合は上々だった。排水がよかったことや無肥料でスタートし、開花期に施した有機リン酸肥料が効いたようだ。天日干しにしたものを自家製粉し、二八で打って食べた。 「! … んまい 」。ご所望の方には実費で送ります。ご連絡ください。
【 遠藤 敏信 】
落葉が始まった |
新庄発 短信集 神無月
● 今、村の田んぼに稲が残っているのはほんの僅かとなりました。大方今年の稲刈りを終えかけています。8月の長雨と日照不足が影響したのか青米歩合が高い気がしています。9月は気温が高く、登熟が進んだと思っていたのだが…。でも田面がよく乾きコンバインがぬかることなく、故障なしで済みホッとしています。
農業資材・肥料・燃料、8月からは農機具も皆値上げ。「百姓の売るものは安く、買うものは高い」茶飲み話でのいつもの愚痴である。
【今田 多-】
● ○ 安倍元首相を「財政・金融・外交をぼろぼろにし官僚機構まで壊した国賊だ」と発言して一年間自民党の役職停止になった村上誠一郎氏だが、これまでの発言も私から見れば至極当り前のことを言っているだけだ、と思う。
かつて、司馬遼太郎は敗戦までの昭和の時代は日本が軍部に乗っ取られた、と表現していたがこの論法で行くと、今や自民党は安倍派に乗っ取られてかつての自民党は右から左までの幅広い人材を擁していたが、今や極めて自由のない党になってしまったと言える。
○ 友人が朝早くから並んで買ってくれた“森山良子コンサートのチケット”はなんと最前列。私と同じ年代でフォークの女王と言われていた。中でもギター1本で歌った「さとうきび畑」とチャップリンの映画「ライムライトのエターナリー」は圧巻であった。
【三原 茂夫】
● 10月に入ると西高東低の気圧配置になりやすくなり、結果雨の日が多くなる。
稲の登熟の遅れから稲刈りのスタートも遅れ、雨が続いたこともあり14日に刈り取りを終えた。8月の長雨・日照不足により、収量は近年にない不作。資材がすべて値上がりの中、収穫したものに転化できなければ経営持続は不可能となる。
苦しくもなれば神や仏に槌り付きたくもなろう。民衆を苦しみから解放する為わが身を粉にして道や橋、治水等の工事に取り組んだ僧の話は各地に残っているようだ。
山形県でも誤って人を死なせてしまった人が僧となり民衆の為に奮闘し、最後は人々と世の安寧を願って即身仏となった人がいた。森敦の小説「月山」に登場する注蓮寺というお寺にその上人は安置されている。
それに比べ今の新興宗教は何なんだ。どれもこれも私の眼には民衆からただ金を吸い上げるだけの組織にしか映らない。歴史的にも宗教と政治が結び付いた時、人々が決して望まない結果を産むといわれているそうな。
反社会的集団の助けを借りなければ選挙を戦えないセンセイ方はなんと情けないのであろうか。そして、主権者の一人として腹が立つ、すこぶる。
【笹 輝美】
● 刈り取り始めてから1か月、14日に稲刈りを終えた。今年ほど作業がはかどったのは我が家では珍しい。機械のトラブルが殆んどなかったのだ
来年度の農用資材の予約表が届いた。開いて見て驚いた!すべて値上げである。驚くのはその上げ幅である。例えば化成肥料のスタンダードといえるオール14という“国産配合肥料”。N(窒素)、K(加里)、P(リン酸)の配合が同割の比較的安価(だった)なこの肥料の20Kg袋1袋、2022年の予約価格が1339円、2023年予約価格はというと3303円。実に約240%の上げなのだ。これを10アール当たり元肥として2袋、追肥として1~1.5袋使用として×(かける)総面積=○○○○○○○。
使用する資材は肥料だけではない。慣行米は農薬も使用する。生産に要する費用が倍増するってことは … … 鳴呼、嫌だ!では片づけられない。
【遠藤 敏信】
新庄発 … 短信集 … 長 月
(写真は≒20年前のもの) |
【 今田 多一 】
【 笹 輝美 】
満身創痍 の 【むらのじゅうにん】
新庄発 … 短信集 葉 月
2022年8月17日
文責 : 遠藤 敏信
8/3、大雨警報が出ている中、大阪出身の在日2世のヤン・ヨンヒ監督が自分の家族と家族史にカメラを向けた “スープとイデオロギー” というドキュメンタリー映画を見に行った。両親は朝鮮総連の活動家であった。「地上の楽園帰国事業」に息子3人を送った。
送金も家一軒建つほどもしたという。娘のヤン・ヨンヒはもう十分したから止めるよういさめるのである。そしてアルツハイマー病が進行する中、母親が18歳の時遭遇したのが、済州島4.3事件で婚約者を殺され、島民3万人が犠牲になったという。そして30kmを歩き、命がけで日本に脱出した記憶を語るのである。アルツハイマー病を患っても金日成を讃える歌は今でも歌える事にもびっくりした。若い時確信を持って信じたものは忘れないものだと思った。父親が生存している時、日本人とアメリカ人とは結婚するなと娘に言うのだが、娘のヤン・ヨンヒは15才年下の日本人と結婚するのである。母親は丸鶏を7時間も煮たスープを婿さんに振る舞うのである。
私の力量ではうまく伝えることが出来ない。機会があれば、皆さんもぜひ …
【 今田 多一 】
〇ロシアからやりたい放題の攻撃を受けているウクライナでは、ソ連時代に作られた地下シェルターがあり、ある程度の市民が避難できるようになっているようだ。スイスでは全人口より多い人数を収容できるシェルター数があるとテレビで言っていた。さて日本では昔も今も私の知る限りでは市民のためのシェルターは 唯の一つも 整備されていないと思うのだが … 。
〇今月の初めに放送された「所さん事件ですよ」を見て唖然としてしまった。終戦間際のころアメリカ軍のB - 29による無差別爆撃のもとで住民は逃げる事さえ許されず消火作業を命ぜられていたのだ。違反すれば法律により罰金、懲役、配給停止等があったと言う。 天にも届くような猛火に対して、手渡しのバケツリレーの消化で立ち向かえ、とは … 。
竹やりで機関銃や戦車に突撃しろという同じ精神で … 。戦後生まれの私にとってはとても正気の沙汰とは思えない。
〇青森市では米軍が空襲する日を書いたビラをまき市民に逃げるよう勧告した。それを見た市民が街から避難したが知事が戻るよう説得(命令?)しそれに従った多くの市民が空襲で亡くなった。 (録画してなかったので、その法律の名が防火法だったか何だかハッキリしない。
青森市長だったか、知事だったかもハッキリしない。再放送を期待しているのだが今日までされていない。あやふやな記憶のままで書いてしまった。)
【 三原 茂夫 】
暑いです。コロナ、猛暑、豪雨と地球がいよいよ怒りをぶちまけ始めたということでしょうか。ともあれ、何とか、みなさん生き抜きましょうネ。
長年続けてきた農産物の秋の味覚をみなさんと一緒に楽しむ収穫感謝祭も、コロナのために2年取りやめとなりました。今年こそはと、みなさんに会える、みなさんの笑顔に会える、そんな楽しい思いの中で開催を考えていたのですが、このコロナの勢いに今年もどうするのか苦慮しているのです。今の現状です。
このことをみなさんはどう見ておられますか。地元新庄でも身近での感染者が多くなってきているのです。どうか、まずは自分からお体をご自愛してくださいネ。
【 高橋 保広 】
ゲリラ豪雨にゲリラ猛暑、何とも今の世を象徴するような天候が続いている。ここ10日ほどは雨模様でしかも高温。稲のイモチ病が心配である。
広島・長崎に原爆が投下されてから今年で77年。戦史を学ぶごとに当時の権力者達の無責任さに腹が立つことばかり。敗戦が決定的となっても己れのメンツが一番。原爆投下の前に敗戦を認めていれば、数えきれないほどの人の死と惨劇を今に迄引きずるような事はなかった筈。
今、『国を守る為』として際限の無い軍拡競争に入ろうとしているが、それでは『国 とは何ぞや?』 それは国土もそうであろうが、一番は国民の命の筈。いみじくも、以前テレビに出ていた軍事評論家を名乗っていた人の言った『軍は体制を守るもので、国民を守るのは警察である』という言葉が胸に残る。ウクライナ戦争を見てもわかるように戦争は勝とうが負けようが、兵士・国民の死人の山を築き悲劇を生み出すだけである。そして一番の勝者は軍事産業となる。彼等は 人がどれほど死のうが問題ではない。兵器を多く使ってくれればよいのである。権力者にとって、人の命など 『へ』 よりも軽いと言われる所以であろう。
【 笹 輝美 】
13日(盆)の夕方から断続的に強い雨が降る。いつになく梅雨明けが早かったと思ったら、その後猛暑となった。続くのかなと思ったらあちこちで大雨だ。強い雨は要らない。
稲は早生、中生種が穂を揃え、晩生種が穂を出し始めている。大雨はいらない。
【 遠藤 敏信 】
そばは湿気を好まない。雨で冠水した部分は発芽しても消えていく。 |
新庄発 … 短信集 … 文 月
7/3(日)、早朝から村総出の草刈り作業があった。3班に分けて基幹用排水路周辺の一斉清掃作業である。
私が担当したのはため池周辺の草刈りであった。昨年までは農地・水・環境保全事業の役員が作業に当たっていたが、皆、寄る年波で今年から村総出での作業となった。ため池は大きな堤防になっていて、法面が急で草も大きく伸びている。加えて足場も悪く、大変やりづらく危険な草刈りであった。作業を終え、一服の缶ジュースが身に沁みた。あと何年この作業に携わることが出来るのだろうか、という話になった。
【 今田 多一 】
〇テレビを見ていたら安倍首相が撃たれて死亡したということが報道されていた。現場近くの献花台に向かって長い行列が続き、中には泣きながら手を合わせる人がいるのを見て、こんなに慕われていたのかと驚いた どういう訳か私は最初から最後まで好きになれなかった。鼻持ちならないというか、国民のためというより自分がやりたいことを優先する姿勢に、国を危険にさらす存在だと思っていた。外交だって私には国の金を使っての豪華版世界旅行をしているとしか映らなかった。
安倍一強と言われ、得意の絶頂期には顔を見るのもイヤになりチャンネルをかえたものだ。あれだけ長く首相の座にいたにも関わらず、その影響力を保つために派閥の長になり発言し続けた。取り巻きの議員たちは安倍氏の遺志を継いでゆくと語り、それは何かに憑かれたような異様な光景に見えた。
〇それにしても、日本人はどうしてこんなにも自民党が好きなんだろうか。
【 三原 茂夫 】
過去に例のない早い梅雨明けとその後の猛暑、そんな中田んぼに入り腰を曲げ、地球の表面をコチョコチョやり続ける事10日間、見かねたわが家のプーチンも4日間手伝ってくれたが、後が怖い。そんなこんなで今年も何とか草取りを終すことが出来たが来年はどうか?心配になってくる。
友人の細君が昭和初頭に開拓した集落の一人のお婆さんのヘルパーとして働いている。その婆さんは自分の歩んできた昔の事をよく話してくれるという。その中で技術指導で村に来た人が「百姓は人に非ず」といった言葉が「口惜しくて今も忘れられない」と語ってくれたことが「胸に突き刺さった」と話していた。
又、地域起こしの仕掛け人として精力的に活動してこられたY先生曰く「経済界・役人・政治家等の農業農民を見る目は、考古学で古代の遺跡を見る目と変わらない」 と憤慨していたが、「今も昔も変わらないんだな」と改めて思ってしまった。
端的に言えば、百姓・農業とは無知無能な人間のやるもので、重労働も貧しいのも当然である、と。そんな連中に百姓のかたわら物書きとしての作品の中で裏面からカミついていた佐賀の農民作家・山下惣一さんが亡くなられ、私達としても寂しさは隠しきれない。
日本人は働きすぎと言われて久しいが、今では「勤勉でなくなった日本人」という言葉が出てきている。私の通っている整体師の先生が「体を触ると百姓の体は変形と傷みですぐわかる」と話している。
今ここにきて、農業経営体及び就業人口が加速度的に減少している。山下さん流に言えば、それは百姓の責任ではない。
今日は冬に備え、薪をチェンソーで40cmほどに切断する作業を行った。木を育て自然のサイクルの中で暮らす。
【 笹 輝美 】
6月29日、山形県を含む東北南部の梅雨が明けたと報じられた。平年より25日、去年より17日早く、6月中の梅雨明けは昭和26年の観測開始以来初めてだという。
この一月、2回目の畔草刈り、2回の中耕除草、田んぼの溝きり、穂肥の追肥、と作業が切れ目なく続いたことで足がガタガタだ。もっとも自信のあったものが、もっとも不安を抱える部位になってしまったことにつくづく驚く。少し、休みたい。
【 遠藤 敏信 】
大豆トラストに中耕を施した 写真は吉野さん |
新庄発 … 短信集 … 皐 月
2022年5月15日
文責 : 遠藤 敏信
●「泣きながら」
○赤ん坊が泣くのは仕事。
子供や大人が泣くのは仕事ではない。それぞれの事情があるのだ。
かわいい盛りの子供が親の虐待によって何度泣かされ、殺されるのを目にしたことか。
○ Yくんへ : 病気のため、あっという間に息子に死なれ、幼い孫達のためにと気を張って働いてはいるが、時に何故こんなことにと、鉄人のごときY君も泣きたくなり、涙がひとりでに落ちてくる。( … のではないだろうか)
○ A君へ : 突然息子の病気のため、自身、満身創痍の体にムチうって農作業に追われ、疲れた体を癒すべき晩酌で、「なんで」という気持ちに襲われ、涙がポトリとコップに落ちて、苦い酒になっていないだろうか。
○ ニュースを見れば、理不尽な事ばかり。国を追われ戦火に追われ、多くの人が泣いている。 それを見ていて私も泣いている。
【 三原 茂夫 】
●ゴールデンウィークは雨ばかりでゴールデン農作業日とはならず、特に畑の作業は延び延びとなった。連休が終わるころから今度は初夏を思わせるようなバカ陽気。為に稲の苗は伸び放題。代掻き等の作業が追い付かない状態。老化した苗を植えると活着が遅れ、その後の生育も遅れ、秋までその影響を引きずる事となる。とにかく作業を急がねば。
青空の下、西方に映える名峰鳥海山はいまだ雪で真っ白。わが家の屋敷の冬の間、除雪で積み上げた雪も5月7まで残っていた。晩生の桜も散りはじめ、季節の移ろいの速さにせかされ続けている。ただただ天候も社会も、穏やかであって欲しいと願うばかり。それにしても50年前、今のような社会になろうとは夢にも考えられなかった。
【 笹 輝美 】
●代掻きの真っ最中である。家の前から見える、中腹から頂上まで雪をまとった霊峰・月山がこの時期ならではの遠景である。
それとは逆に私の村と隣の村の中間に高速道路の建設が進み、5~6年前から6mくらいの土盛りが完成し、風雪柵の取り付けが行われている。来年が一部開通だというが、隣の村の風景が全く見えなくなったのは残念だ。
【 今田 多一 】
●ビックリした! 4月30日朝、積雪があった。外に出していたイネの苗は≒3cmの雪に覆われた。加えて、5月10日朝、霜が降りた。ともに時期外れもいいとこで、何とも驚いた。が、幼苗は高温には弱いが、寒さには強いことを改めて知った。(高じて7月中下旬、穂をはらむ頃、17℃以下の低温になった場合は冷害の懸念が生ずる)
代掻きの真っただ中だ。天気のいい日はまだしも寒い日はブルル鼻水が漏れる。でも今のトラクターは、冷暖房付きのキャビン仕様が主流となった。その中で作業をしていながら、鼻がムズムズして仕方なかった。ハハーンである。私は花粉症なのだ。田んぼの畦畔などに雑草 ( 特にカモガヤ、ブタクサ等 ) が繁茂しだすとクシャミを連発してしまう。
こんな私が百姓を続けてきたことをもう一人の自分が笑う。なお、私はスギ花粉には全く反応しない。
カラダはガタガタだが作業はいつになくペースが早い。20日頃から田植えを始める予定だ。
【 遠藤 敏信 】
代掻き作業 |
代搔き作業
新庄発 … 短信集 卯 月
2022年4月15日
文責 : 遠藤 敏信
● 日陰の軒下の雪もこのところの陽気で一気に消えた感がある。
そして春の種まき準備で忙しくなってきた。ビニールハウスの設置、育苗箱への床土入れなど毎年同じことをやっているのだが、寄る年波で夕方になると足腰が痛い。
今年は1.5 h a ほど畜産農家と契約し、飼料米を作付けすることで管理委託した。
【 今田 多一 】
● 4月に入ってから季節外れの陽気が続き、雪解けが急速に進んだ。屋敷内の梅や桃のつぼみも随分と赤みを増し、こぶしの花が咲き始めた。
今年の米づくりが始まった。この20日前後には種まきだ。そして後は休む間もなく田畑の作業が待っている。今年は肥料をはじめとする農業資材価格が軒並み上昇、農機具の部品・消耗品までもが大幅アップ。経営は一段と厳しくなるばかり。もはや自己責任の域を超えている。
農地の集積を進め、大規模化を図る行政の方針は一貫しているのだが、その先に何があるのか全く見えてこない。農業分野にも低賃金労働力を入れたとしても、生産性が大幅に改善することはないように思う。強まるのは汗する人々からの搾取ではないだろうか。
私たちは自らの汗で納得できる作物を作りたい。
【 笹 輝美 】
● 〇ことしは去年より10日以上も雪解けが遅くなり、白鳥も帰るのが遅くなったみたいだ。今までは鳴きながら低く飛んでいたのだが、今日(13日)は家の上を高く大きな群れでV字飛行していった。たまに手を振っている私に別れの挨拶かな?
〇 冬の間は除雪以外何もすることが無いので朝からお茶を飲みながら、本を読んだりテレビを見たりと極楽のような暮らしであったが、これからは種まき・ビニールハウスの温度管理等、田植えに向かって骨身にこたえる、冬に比べると私にとっては地獄のような日々が続く。
地獄と言えばウクライナ国民はまさにたった一人の独裁者プーチンの狂気によって今、生き地獄の苦しみの中にいる。戦争を知らない私たちは今ウクライナが直面している 電気・水・食料もなく、暖房もない寒い中、空襲やロシア地上軍におびえながら、安らかな眠りにつけない生活を、自分の身に起きる事として想像したことがあるだろうか。
【 三原 茂夫 】
● 人の交流がコロナによって狭められ、自分からのアプローチもできず、この環境の中で2年ほど自分は常には人との出会い、楽しみ、人と共にありたいと行動をしてきましたが、何か世の中狂ってきていませんか。自分は思う。自分の体は人によって元気づけられ、時には感情を外され、人によって喜びを実感し、常の生活に反映させてくれるのが人の世であり、ともに楽しみを作っていく。それが「なんだ」コロナであり、ウクライナ戦争であり、あまりにも多くの大切な命がなくなっている現状、悲惨な状況を見せられ、人のエゴとは欲望、我欲とは恐ろしいものだと見せられています。早く収束してほしいものです。
健康で健やかな日々に戻れるのはいつの日か、早く終わって欲しい世の狂いです。
遅い雪解けに一気に忙しくなり、カラダの疲れも重なり、頭の欲求不満もあってか、 一気に思いを吐いてみました。元気に頑張ってますよ。
【 高橋 保廣 】
● 3月の短信集に「融雪を促すために燻炭を撒いた」ことを書いた。加えて3月下旬から水を入れてさらなる消雪促進を図った。ところが、こんな策を労した所とそうでない所の差はというと、何と2日と違わないのだった。陽気こそが一番の効果だとつくづく思った次第。今日1回目の苗出しと2回目の種まきを行った。3~4日間隔で3回繰り返す。忙しくなってきた。
【 遠藤 敏信 】
新庄発 … 短信集 … 弥 生
2022年3月15日
文責 : 遠藤敏信
● 新庄でもようやく春の気配が感じられるようになったが、雨が降らない為、雪解けは大幅に遅れそうだ。ビニールハウスの中は夏。あまり温度が上昇しないように遮光対策をとっての作業が続いている。ラジオからは連日ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが流れる。権力というものはそれを握った人間を狂わせるもののようである。殺し合いと破壊合戦など望む人はそうはいないと思うのだが戦争は無くならない。戦争を無益と考えるのは私たち庶民で、富と権力を手にしている人達にとっては戦争ほどおいしいものは無いのも事実かも知れない。
この国でももはや戦後を知る人さえ徐々に減少してきている。いや、知ろうともしない人達が勇ましく気勢を上げるようになってきた。旧財閥は復活し軍事産業の道へ。いつか来た道にならなければ良いのだが、と、子供達の姿を目にする度にそう感じてしまう。
ある著名な方が言ったそうな。「私が歴史から学んだ事は、人間は決して歴史から学ばないという事 」と。
早く戦争など終わって欲しいものだ。そして希望の中で今年の米作りをスタートさせたいものである。
【 笹 輝美 】
● テレビでは毎日、ロシアのウクライナ侵攻を報道し続けている。爆撃地の模様や避難を続ける人々が映し出されている。かつて日本も侵略し、傀儡政権の満州国を作った時の構図に似ているような気もする。
あの有名な日本国憲法の第9条、「武力による威嚇または武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」 この精神をどの国も生かしてほしい。
作家・井上ひさしさんも“日本国憲法は世界史からの贈り物であり、しかも最高の傑作であると信じています”と言っていました。
日本も戦争ができる国に近づきつつある中、この平和憲法は手放したくないものだ!
戦争はNO! だ。
【 今田 多一 】
● ◎ 11日かた雪になり、1年ぶりに田んぼを歩く。遠くに見える月山・鳥海山も真っ白だ。
昔かた雪になると子供達がソリを引いたり、走り回ったりして賑やかな声が聞こえてきたものだが、今広い田んぼにいるのは私だけだ。
核兵器を持ち、威嚇してくる相手に国際社会がいかに無力であるかを知って愕然とする。
【 三原 茂夫 】
● 11年前のことを思い出しながら、今年もテレビで東日本大震災の追悼番組を見たりした。私たちは炊き出しやがれきの撤去、物資の提供等々、その時々でできることを考え、動いたことを思い出す。
新庄に被災者を招いて田植えを行った縁から、秋には皆が植えた田んぼの稲穂を刈り、「春の田植え・秋の稲刈り」が交流活動の大きな柱になった。この米は、「まけるまい(米)!」と名付け、500円の寄付に対するリターンとして2合を配った。全国の方々に応援いただき集まった支援金(志縁金)を使って、震災を風化させないよう「語る会・聞く会」を企画、首都圏や関西、四国にも語り部(被災者)を連れて行った。「自分たちの経験を少しでも多くの人に知ってほしい!万一の時一つでも多くの命が助かって欲しい」との願いを込めて … 。
今、世界情勢は揺れている。そしてコロナの脅威で生活が大変な人が大勢いる。家族とともに美味しいお米を食べられている自分の幸せをかみしめながら、「ささやかでもいい、自分にできることをやろう!」という気持ちが沸き上がるのを感じている。
【 工藤 恵子 】
●冷え込んで、かた雪になった11日、苗代用地に雪の厚みがどれほどなのか確認しに行った。吹き溜まりにもなっていて、丈はまだ1mぐらいはあった。4月半ばまでは消えてもらわねばならないので、融雪を促すためにもみ殻燻炭を撒いてきた。
3月11日はまた、東日本大震災の記憶がよみがえる。地震による大津波が町を、人を吞み込んだ。これが天災なら、今、狂気の人の手によってウクライナの町が、そして市民が、砲弾により惨状にさらされている。どう理屈をつけようとも覇権主義はダメだ。侵略の暴挙を正当化させてはいけない。国連は、決議はしても何の効力も示しえない存在、なのか。
【 遠藤 敏信 】
新庄発 … 短信集 如 月
●・新庄はここ3日ほど冬の中休みである。陽も12月ごろと比較すると大分長くなり、春の気配かと思わせる天気であるが、家の倒壊で下敷きとなり亡くなったり、雪降ろし中、落雪に巻き込まれ亡くなったということが県内ローカルニュースで流れた。高齢になってきたので、やはり作業には気をつけたいと思う。
・NHK・ETV特集 ― 若者たちの " 貧困バッシング " を見た。若者たちが派遣の仕事もなくなり、ネットカフェも緊急事態宣言で休業になり路上生活を余儀なくされているという。休業助成金もなし、不可抗力だと企業は支払い義務なしだという。
そんな人たちをNPO法人や反貧困ネットワークの人たちが企業とかけあったり、食料配布などもし、公助につなげ、そして共同労働の人たちが仕事につなげている。
死刑になりたいという理由で犯罪を起こした、というニュースがあったが、これこそ究極の負の連鎖である。自己責任論 くそくらえである。
【 今田 多一 】
● 厳しかったこの冬も峠を越えホッとしている。冬将軍が誰も頼みもしないのにパワー全開・大奮闘のお陰で山に近い私の所では最深積雪が1.8mと近年にない大雪となり、連日の除排雪で皆 ヘトヘトに疲れ切っている。
これからは気温が徐々に上がってくるためビニールハウスは夏のよう、秋に中に入れた鉢物の中で寒梅と沈丁花が花を咲かせ、その香に酔いしれ妄想・迷想を膨らませての冬ごもりである。コロナが収まったらできる事ならフーテンの寅さんよろしく気ままに旅をしたいものである。
この冬の雪は、雨が降らず低温下の中で大量に積もったため、密度が高く固く締って融けにくい。これからの時期、そんな雪の上をスノーシューを履いてのトレッキングも新しい発見もでき、楽しいものであるが、歳をとってきたら仕事の能率が落ちて逆に時間が無くなり、そんな遊びもできなくなってしまった。せめて、妄想の中で旅や遊びを愉しむことにしよう。多少仕事の手が止まるにせよ。
【 笹 輝美 】
●・「ファーブル昆虫記」を完訳しフランス文学者としても知られている奥本大三郎さんには数多くの随想集がある。その中からニヤリとする話を一つ。
オウムは他の声をまねるのが上手で、しょっちゅうやっているうちに、一体自分の本来の声がどれだったかわからなくなり困惑したり、又カメレオンは回りの色に自分の体色を変えるのが有名で、このカメレオンも死ぬ時ぐらいは自分本来の体色で死にたいと思ったのだが、どれが本来の色だかわからなくなり、死ぬくらい悩むという話などは読むたびにおかしみがこみ上げ、声を出して笑いたくなる。
・1月から2月にかけて毎日のように雪が降った。新庄では雪の重さで家がつぶされ中にいた人が死亡するという、今まで聞いたことのない事故が起きた。私の集落でも村はずれの小屋2軒が壊された。
【 三原 茂夫 】
● 暮れから降り続いた雪も峠を越したようだ。新庄の雪氷防災研究センターの調査によれば、今季の最大積雪深は、2月8日の176cmとのこと。ちなみに累積降雪量は2月 15日時点で680cmだそうだ。雪の重みに耐えかねて家屋が倒壊し、その家に住む住人がなくなるという痛ましい事故が起きた。雪の加重は1平方メートル当たり500~530kgに及ぶとのことだが、家屋の場合、通常300kgの耐加重を想定して建てられているという。雪が積もれば降ろさないわけにはいかない。
これまで何度か"新庄藩江戸屋敷の火消しを描いたーぼろ飛び組シリーズ"をあらわした若き作家・今村祥吾のことを書いた。ここ4,5年の間にシリーズものとともに歴史ものに新たな視点で切り込む作品は重厚で、しかも面白い。ここ2回直木賞にノミネートされてきたが先日「塞翁の楯」でついに第166回直木賞を受賞した。新庄を第2のふるさとと言ってはばからない作者だ。一ファンとして素直に喜びたい。
【 遠藤 敏信 】
晴れた朝、裏の畑に小動物の足跡があった。糞からしてタヌキかな … |
新庄発 … 短信集 睦 月
●明けましておめでとうございます。正月になれば新年の目標や計画など日記に書いていたのだが最近は何も書くことがなくなり、普通の日と変わりなくなってしまった。
日本の仏教が葬式や法事といった儀式が主要となってしまった中で、去年亡くなった瀬戸内寂聴さんの行動こそ仏教本来の姿と私は思う。生きている人の苦しみ、哀しみ、悩みに耳をかたむけ、生きてゆくための希望や意義を語り、人々を励まし続けた。寂聴さんこそ生きたいよう生き、また生きられた生涯だった。
今年一年よろしくお願いいたします。 【 三原 茂夫 】
●今(13日)新庄は暴風大雪警報が出ている。先週7日も風雪が強くホワイトアウト状態だった。その日車を運転中、本来右折すべきところを直進してしまい、吹き溜まりに突っ込んでしまった。車は自力では脱出不可となった。たまたま牛飼いをしている隣人のタイヤショベルで引き上げてもらい、本当に助かった。
1/10、少し寒さが緩んだので農機具小屋などの軒下の雪の掘り起こしをした。これからの屋根の落雪に備える為である。天気予報によるとこの冬は雪が多そうである。
年を重ねると雪処理の労力はやはり身に沁みる!
【 今田 多一 】
●年末からの寒波の波状攻撃を受け、早くもバテ気味だ。屋敷内の通路だけでなくビニールハウスや建物の軒下の除排雪が3日以上続くと、もう沢山と言いたくなる。以前、雪の降らない地方の人が雪国では豪雪で苦労しているとの話を聞き「そんなところに住まなければ良いのに」と言っているのをテレビで見てアッケにとられたものだった。が、今や雪国の人口は加速度的に減少を続けている有様。
戦前に「雪国が貧しいのは雪のせいで、これは雪害である」と声を上げ、広く雪国を巡り雪害救済運動を推し進めた県出身の代議士がいた。以前から利雪、親雪等という言葉が使われてはいたが、日常生活の上では正に音を上げそうになる暖房費、屋根の雪降ろしや除排雪の費用、除雪用機器、雪による事故での死傷等々、害の面ばかりである。
為に経済的余裕のある人達は雪の降らない地方もしくは少ない地方への移住、若者は都会へ … 。残るは高齢者ばかり、そして空き家が増えていく。
正に雪害救済には目もくれず、地方を国内植民地化してきた戦後政治の辿り着いた姿のような気がしてならない。この冬もこんな独り言を言いながら、ビニールハウスでの隠遁生活が始まった。今年は昨年より少しでも良い年となることを願いながら。
【笹 輝美 】
●若いころはスキー三昧の生活を送っていたから雪のない冬は考えられず、冬はむしろ好きで楽しみであった。
屋根から落ちた雪で北側の窓が埋まってしまった。台所は真っ暗になった。掘り出して今季2回目の明り取りをしなければならない。今、思う。雪はほどほどであって欲しいと。
【 遠藤 信子 】
●大分前もこんなことを書いた気がするのだが …
新庄の冬は雪が降って当たり前の風土だ。とはいえ、連日降り続けると「いい加減にしてくれ」ということになる。「雪の多い年はさぐァええ」などと言う古老はもうとっくにいない。
人間てぇのは勝手なものだ。多けりゃ多いでぼやくし、少なければ少ないで「これはおかしい。何かの前兆では?」などとあらぬ詮索を巡らす。ここに生きる限り、この季節の移り変わりは摂理として受け止めるしかないのだ。
太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪降りつむ
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪降りつむ 三好達治
【 遠藤 敏信 】