新庄発 … 短信集 … 水 無 月

 2024年6月15日
編集 : 遠 藤 敏 信



●田植えまでは気を張り続けて農作業に取り組んでいるので、終えると毎年のことだが、やはり気が緩み"明日できることは、今日やるな“方式になる。 田植えまでの諸道具のあと片づけをやっと終えたばかりだ。
 それにしても暑い。雨も少ない。私達の泉田土地改良区が管轄する枡沢ダムの貯水量が平年に比べ大分少ないそうだ。
 これから、出穂期にかけて、さらに8月いっぱい登熟を促すために水は必要だ。
6月3日から、3日に1日しか水は流れてこない。管理されている。「用水の節約に努めて」と改良区の職員が水回りをチエックしに巡回してくるのだが、なかなかうまく下部にまで通水できないことがある。
 昨年同様の、暑さを予感させる日々が多い。
【 今田 多一 】

●〈 鍬頭 ― くわがしら 〉 これは田植えが手植えのころに使われた言葉で、大勢の人を頼んでの作業なので  、植える前の田んぼの水を抜いて型枠という道具で植えるところの印しをつけたり、苗の準備をしたりと、先頭に立ってすべてに目配りし、作業が滞りなく円滑に進むようにする人を指し、30代、40代の働き盛りの人がその役目に当たったものである。しかし今、その任を受け持っているのは老体にバシバシ鞭を打って働いているジジイ達である。東京の身内が 「此の頃、野菜が高値で品数も少ない」と言っていたが、天候の為だけでなく高齢化による野菜農家の減少も一因といえよう。
 冬の少雪と春からの少雨・干天はいまだに続いており、水不足が現実のものとなってきた。空梅雨となれば、まともなコメの収穫は望めないだろう。
国がどのような目標を立てようと、経済界がどのようなご立派な提言を行おうと、自己責任のもと、それで生活が維持できなければ農から離れていくのも無理からぬ事。東京一極集中は進むばかりであろう。
 I 氏の放言からすれば、「この国から農業がなくなれば、国民は年間10兆円得をする」という日も近いことだろう。
【 笹 輝美 】

●4月から長女が高校生になり、早起き生活がスタート。5時前に起床、朝食とお弁当作りが3年間続くことを考えるとため息も出る。しかし、往復3時間の長距離通学をしながら慣れない高校生活に適応中の本人が一番もがいていると思う。
 そんな娘が、「農家って朝早いんだね。中学の時は7時に起きても間に合う生活だったから気づかなかった」と駅までの送迎の車中でおにぎりを食べながらつぶやく。田植え前の慌ただしい朝の作業に目をやり思ったのだろう。
 視点を変えると見えてくる世界が変わる。毎日同じように口にするご飯も、お米の生産者の視点であったり、それを炊いて移動時間に食べやすいようにおにぎりを握る母親の視点で捉えた時、おそらく、いつもと違った味がしたのではないだろうか。食べ終わると必ず言う 「ごちそうさま」 に、いつも以上に感謝の念が感じられ、人としての成長を感じずにはいられない親バカの私がいる。
【 工藤 恵子 】

●この冬の少雪で田んぼに使う水の確保に苦労しながらも何とか田植えを終える、いつもの年は田植えが終わるころになっても水源となる高い山の所々に残雪が見えるのだが今年は四月中には雪らしいものは見られなくなっていた。隣の町に有る大きなダムの水が無くなる寸前らしい夏場の水不足が気がかりだ。
温暖化で変わってゆく気候にこれからの農業が大変な時代になってゆくのは間違いない。
【 星川 公見 】

●田植えを終え、いつになく早く畑のものも種を播いたり定植したり作業は順調に進んでいる。今は畦地の2回目の草刈り最中である。その間、目に入るのは、田んぼの中にはびこるヒエや オモダカ等の雑草だ。
除草剤を散布するか、中耕除草を行うか。悩むところだ。それにしても暑い日が続く。雨が欲しい。
【 遠藤 信子 】

●なかなか疲れが抜けなくなってきた。暑い日が続くこともあって、田植え後、外仕事は早朝と夕方だけにすることにしている。
 目の前に、一冊の写真集がある。表題「たんぼ」―めぐる季節のものがたり―写真・ジョニー・ハイマス(イギリス人写真家)。発行が1994年5月だから、30年前のものだ。確か、日本の有機農業の草分け・星寛治さんの勧めで求めたものだった。田んぼが織りなす様々なありよう。そこに暮らしがあり、実直な人間の息づかいが感じられ、ほっとするのである。
【 遠藤 敏信 】

6/14 トラスト畑種まき          2回目の畦畔の草刈り    


新庄発 … 短信集 … 皐 月

2024年5月15日

編集 : 遠藤 敏信


 木の葉っぱが展開し、日に日に山肌が膨らんでいる。今、代掻き作業の真っ最中だ。   

● 高温傾向が続いている。例年なら神室連峰にはまだ残雪が見えるのに、今年は早々に姿を消してしまった。川の水も減少し続けている。田んぼの土は乾ききってしまい、代掻きの水を入れてもなかなか湛水状態には至らない。苗だけが伸び放題となっている。この先の天候はどうなるのであろうか。
 此の頃、新聞やテレビで報じられたのは、近い将来全国の744の自治体が消滅の可能性があるとの事。そして2060年には認知症高齢者が645万人に達するとか、そして2023年までの国の借金が1297兆円という庶民からすれば天文学的数字となっているといった嫌な話ばかりである。そのうえ労働者の実質賃金は減り続けているのだから、首をかしげるばかりだ。
 赤ちゃんが産声を上げた時から、一人1000万円超の国の借金を頼みもしないのに背負わされるのだから、今を生きる大人達の無責任はこの上ない。
 国の借金を返す方法の一つは、国民に負担を強いる事、もう一つはインフレ状態にして貨幣の価値を下げる事、の二つだと聞いた事がある。政治家は自分が返すわけでもない借金をガバガバと借り続け、もっともらしい使途を口にするが、自分の点数稼ぎにしか映らない。
 私達は私達であめ玉で誘導され続け、いつしか乞食根性が身についてしまったようだ。
 民衆はやせ細り続け、資本は丸々と肥え太るばかり。〈この国に未来はあるのだろうか?〉 トラクターに乗って代掻きをしながらそんな事を考えてしまう。
【 笹 輝美 】

● この春、4月は20℃を超える日も多く、用意した種もみは水浸状態だけでも発芽の気配がみられた。が、催芽器で芽出しをした後、洗濯機を使い脱水し、袋のまま放置していたら内部の方に熱がこもったのか芽が伸びすぎた。そのため、種まき機械では均等に播種できず当惑した。最大量播けるよう機械をセットし,なおかつ中間で手播きで手直しし、何とかしのいだ。
  芽出しはハト胸状態が理想なのだが今年は伸びすぎた。毎年同じ作業を繰り返しているのだが、同じようにはいかない。田植え真近だ。
【 今田 多一 】

● いつもの年より早めに畦畔の草刈りを終えたので、畑に取り組む余裕ができている。おっとっとが代掻きをしている間の時間を、自分の時間にあてることができるのだ。
 4月下旬、ショッキングな記事が新聞のトップをにぎわしました。“人口戦略会議”(民間)が開いたシンポジウムで向こう30年間で全国の市町村の4割が「将来消滅」するという記事です。それによると、山形県内では35市町村中28市町村が該当、新庄市もその中に入っているとのこと。なんともこの国は情けないことになっているのでしょう。
 裏山に入れば、季節ごとに山菜が豊か。今はあく抜きをしないでも、即ゆでて食せるタケノコが旬。このささやかな贅沢感を分けてあげたいと思います。
【 遠藤 信子 】

● 冬の小雪の影響が早くもあらわれている。河川の水不足である。土地改良区(近年イメージチェンジで水土里ネットなどと愛称を使うようになった)が10日から従来河川と最上川から揚水した水を通水し始めたが、昨年までと比べて7~8割の水量アップにとどめているという。雪解け水が、早くもピンチなのだそうだ。そのため、代搔きが進んだ、水回りのよい圃場から田植えをしながら代掻きをする、という農家が現れた。なるほどその手があったか。
 通水期間 5/10 ~ 8/31 (しかも6月からは3日に1日だけしか水が回ってこない)加えて、水代金だ。10a当たり2000円だったものが1000円アップして3000円になった。面積に乗ずると大変な額になる。灌漑用水は、ただではないのだ。
【 遠藤 敏信 】

この月山の景は3年前にも使った。


新庄発 … 短信集 … 卯 月

2024年4月15日                                        編集 : 遠藤 敏信


●「年をとると涙もろくなる」
〇 私にとって昭和30年代は小学生から中学卒業までの年代で、土門拳の「筑豊の子供たち」や「昭和のこども」と時代が重なる。写っている子供達の姿が皆、同じ時代を生きたなつかしい顔ばかりである。中でも弁当を持たない子が本で顔をかくして回りの子供達が食事をしている様子を見ないようにしている1枚がある。皆貧しかった時代とはいえ、あの幼い子がどんな思いであの時間を耐えていたのかと思うと、ひとりでに涙が出てきてしまうのだ。
 それは映画「砂の器」で病をかかえた父と子が巡礼(乞食)の旅で同じ年頃の子供達に石をもって追われたりしながらも、小学校の校庭で先生と一緒に運動をしている生徒達を遠くから羨望の眼差しで食い入るように見つめる秀男少年とだぶり、またしても涙となってしまう。
〇 ウクライナやガザには今も多くの人々が死の恐怖に耐え、人の命を省りみない独裁者のために、無念の涙を流している。
【 漂泊 旅人 】

● 9月の第一日曜日、私の村で“神楽回し”という行事があった。「悪魔払ってチョトナ」という掛け声と太鼓をたたき、集落の家々を回り、神楽の口でその家の家人の頭を風邪をひかぬよう、頭病みしないよう噛んで回るのである。そして、お神酒とご祝儀をいただくのだ。
 50軒ほど家々を回りきると、皆、お神酒が効いてベロベロである。(その年に不幸があった家は回らない)  私たちの時は青年団が担当し、その後消防団、そして隣組が担当してきたが、負担が大変だということもあって今年の総会で中止となった。昔のことを懐かしむのは、やはり年をとった証拠でもあるが、村で動ける若者がいなくなった。
【 今田 多一 】

● 4月に入り例年にない高温が続き、3月の低温で足踏みしていた木々や草花は急速に活動を始め、屋敷の梅と花桃の花もほころび始めた。と同時に急に農作業も忙しくなり、もうすぐ稲の播種作業である。そして心配なのは少雪による水不足である。自然は私達に都合の良い天候をなかなか与えてはくれない。
 自然といえば、今自然エネルギー事業には国が湯水のごとく血税を放出している。私たちの新庄市に隣接する町に今、関西の事業者による風力発電計画が持ち上がっている。その手法は、関係自治体首長・議長及び議員・役所の幹部職員・町内会長・各団体の長等への根回しを完了した後に初めて公表する、というもののようである。本当にその地域に貢献するものであるならば根回し等必要なく、リスクも含めて発表すればよいものを、と思ってしまう。
私の知人にも事業者の社員が訪ねてきたようで、その時知人は「何で西の会社が、はるばる東北電力のエリアまで進出してくるのか?」と尋ねたところ「何が悪いのか」との返答であったそうな。
 今全国の風力発電において、事業者と4割の立地自治体との間で問題が生じているとの新聞記事があった。又、採算面で計画通りいかないと撤退の例も数例報告されている。そして撤退しても国からの補助金は返還の義務がないとのことであり、残されるのは荒れ地のみ。
 やはり、資本というのは“今だけ、金だけ、自分だけ”のようである。
【 笹 輝美 】

● 桜の花が咲きだした。新庄はまだ咲き始めだが、用事で出かけた山形市は満開だった
馬見ヶ崎川沿いの桜並木は花見客の車でごった返していた。やはり見事な景観だった。
春先のこの季節は毎年のことながら格別な思いがする。心も解き放たれるような感がある。
 農作業が始まり、外での仕事が忙しくなります。がんばっちゃうかな。
【 遠藤 信子 】

● 農作業が始まると、カレンダーとにらめっこをしながら、毎年同じような作業パターンに入る。
 その繰り返しこそが“農の営み”なのではないかと思う。
今年もイネの種まきを終えた。約2100枚を3回に分けて播く。以前は3日おきのローテーションだったが6日毎に改めた。ビニールハウスから外に移した苗に、保温目的の被覆資材のかけ外しの手間を省くためだ。この繰り返し。だが、水を含んだ育苗箱は結構重い。あと、何回(年)できるか、をいつも考えている。あと2年ぐらいは頑張るつもり。膝が言うことを聞かない。
【 遠藤 敏信 】



                                









「新庄の積雪審の推移表」
2023年~2024年にかけての冬はこの表によれば、2番めの少雪でした。










新庄発 … 短信集 … 弥 生

 2024年3月15日                                         編集 : 遠藤 敏信


● 昨年売却した杉林跡に植林をやらないかと最上広域森林組合の若い職員が来てくれた。私も伐採だけでは気が引けるので依頼した。34アールの植林代が¥20,000で、1回の下草刈りが¥1,400だという。でも森林組合に出資金と組合費を納めなければ補助金が出ないという。 私の若いころは下草刈りは10年やらないと杉がよく成長しないと教えられていたが、現在は6年が普通だという。
 今、新庄・最上の森林の伐採状況を見れば植林する人たちがいるか、と聞くと高齢化も進み人手は完全に足りないともいう。そして私の村で植林を依頼した地権者はどれくらいだと聞いたら、約半数だという。杉は植林した世代が利用するのではなく、次の世代が利用するのだが、そのころの農村はどう変わっているか!?
【 今田 多一 】

● 3月に入ったら冬本番なったものの降雪量は少ない。先日、友人が自分で採取したメープルを4ℓほど持ってきてくれた。早速薪ストーブで煮詰めてシロップを作ってみた。出来上がった量はほんの少しだがすこぶる甘い。友人の話では、今年は例年より1か月ほど早くイタヤカエデの樹液が出たという。さてさて今年の夏はどんな天候となるやら。
 先月某資本がコメの先物取引を国に申請したとの記事が載っていた。一物をも生産することの無い者達が金を転がすだけで、富を手にする方策をあの手この手で打ち出してくる。又もや過去に逆戻りである。彼らが得る富はいわば、汗して働く人々達から掠め取るに等しい。一方農水省は離農が相次ぐ為、農地の確保を至上命題のようにしているが、耕してこその農地である。耕す人がいなければたちまち雑草や樹木が生い茂ってしまう。土地だけ残しても農地とは言えない。
 労働者を低賃金で働かせる為に、農産物(食糧)を低廉で供給するという図式を改善しなければ何の解決にもつながらない。少子化とて同じで、その場しのぎであり、百年の大計には結びつかない。もっとも自己保身と無責任競争に終始している輩の考えることはこんなものであろうか。
 そういっている私も自己保身(健康)にヤッキとなっている一人である。ビニールハウス内での作業はまだまだ続くから … 。
【 笹 輝美 】

● 申告書をまとめ終え、ほっとしている。我が家は義父のころから青色申告を行っており、仕分け作業を私が引き継いだ。潤沢な金の扱いならば作業も楽しいのかもしれないが、通帳残高を見てはため息が出るばかりの苦行である。
 今年度、稲の作柄は我が家の場合そう悪くはなかった。しかし、農用資材の高騰や作業機械の修理費などが影響し、支出がことのほかかさんでしまった。
 農業は、面白い仕事だ。が、残念ながら、突き詰めれば儲かる仕事ではないと思う。
【 遠藤 信子 】


● この冬は小雪で、2月末で雪はほとんど消えかけていたが、3月に入って3日ほど除雪を伴う積雪があり、また地面を覆った。簡単に春はやってこない。
 とはいえ、陽射しは長くなり、春めいてきたことは確かカレンダーを見るまでもない。
 稲の種もみが、全種全量揃った。5㎏づつ、小分けにすることから始めようと思う。
 生育の早い順に、ヒメノモチ、あきたこまち、さわのはな、はえぬき、雪若丸、つや姫                             である。
【 遠藤 敏信 】


2月14日

3月12日




                                                            


新庄発 … 短信集 … 如 月

 2024年2月15日
編集 : 遠藤 敏信


•  新庄でこんなに雪の少ない冬は、私の記憶にはない。野良のあちこちに稲株が見える状態である。いつもなら、雪下ろし作業による転落事故や雪の被害などは必ず地方ニュースになるのだが、今年はそれも聞かない。
 雪の排雪作業をやらなくて済むので、労力的には助かるのであるが、夏の天候がおかしくなるのではないかと心配! 降ったら降ったで又心配なのが農業である。そして冬の農閑期の会話で聞こえてくるのが、誰誰が“春から田んぼを貸すんだと”という話である。70歳代の私たちによく言われる離農の時期は、農業機械が壊れた時か体を壊した時だと!
【 今田 多一 】

•  この冬は一体何なんだ。過去にも暖冬は何回もあったが、この冬はその比ではない。大寒というのに雪も降らず、厳しい寒さもなし、吹雪の中全身真っ白になっての除雪作業もなく、毎朝夕の除雪も必要なし。こんな楽な冬はないのだが、このお返しがどのような形で現れるのかが一番気になるところだ。
 この冬もビニールハウスで山菜のウルイの促成栽培を行っているが昨年の猛暑の影響で株が充実しきれなかった為、全体に細く収穫は平年の7割止まりとなっている。いくら技術が向上し、資材が高度なものとなっても、天候には逆らえないのが農業である。今年は気を引き締めて取り組まなければならない。
 蛇足に、近年目や耳にしたことわざ・謹言・熟語を記してみたい。
○三権融合   ○忖度主義社会   ○減子力政策 ⇒ 新自由主義
○無責任競争力推進会議   ○アメリカ合衆国日本総督府   ○虚言実行
○国民次権   ○国内植民地 = 地方   ○寄生壊撹怪疑   ○働かせ方改革
 それぞれに意味・解釈はお任せしますが、このような言葉が生まれる社会にしたのは誰でしょう。
【 笹  輝美 】

•   2月。この時期になるといつも味噌づくりにとりかかります。いわゆる寒づくりというものです(もっとも節分は過ぎたわけですが、例年であれば厳寒期であることに変わりはない)。
 ところが今年はいつになく雪が少なく暖冬、過ごしやすくていいのか、悪いのか複雑な思いがします。今日14日、糀づくりを始めました。豆は従来”秘伝豆“を使っていましたが、今年は同じく“最上伝承野菜”に認定されている“くるみ豆”を使い、糀量を豆量の2倍使う甘味噌仕立てにしようと思っています。
【 遠藤 信子 】

•  確か去年の2月の短信に、車で妻の実家に行こうとして、ホワイトアウト状態に見舞われて引き返したことを書いた。それと比べると今年は過ごしやすいが、拍子抜けするほどの暖冬でむしろ不安が頭をかすめる。
 11日、憲法改悪反対山形集会に参加してきた。ジャーナリスト・志葉玲氏による講演がメイン。ウクライナとガザで民間人がロシアとイスラエルの侵略によっていかに悲惨な目にあっているかをプロジェクターを駆使して、メディアで見る報道・映像とは違う観点から語ってくれた。どう理屈をつけても戦争(侵略)はだめだ!と思う。
高校3年の頃、倫理社会の授業で日本国憲法の前文を暗唱させられたことを思い出す。
 気概のある教師がいたものだ。前文の理念こそが狂気を律する普遍的規範だと思う。
【 遠藤 敏信】

稲の苗代用地
:例年、3月中旬に融雪用に、もみ殻くんたんを播いて雪解けを促す。
4月初旬まで積雪が残るのだが、今年は2月半ばにしてほとんどない。

新庄発 … 短信集 … 正 月

 2024年1月15日

                            責任編集 : 遠藤 敏信


●みなさまにとってすばらしい一年になりますよう 心からお祈りいたします。
 気力、体力の老いを感じながらも元気に過ごしております。
 本年もよろしくお願い致します。  2024年年賀
【 高橋 保広 】

●正月早々、地震・航空機事故。何だか、不安な年明けです。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのパレスチナ・ゴザ地区での戦火、どう考えても収まってほしいとは思うのだが、やはり実感が伴わないのです。
【 今田 多一 】

●年の初めから能登半島地震、飛行機事故と大災害大事故と痛ましいニュースが多すぎる年明けになってしまいました。犠牲となられた方々や被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。被災された方々には一日も早く普通の生活ができるように願う毎日です。今年もよろしくお願いいたします。
【 星川 公見 】

●大変な年明けとなってしまった。被災者の大変さは自然災害が続く昨今とても他人事では済まされない。予報通りの暖冬で、クリスマス前後に私のところでは30㎝ほど積もった雪は1/10日までにほとんど消えてしまった。その為、秋にやり残した今秋から使用する薪の伐採を正月明けに行うことができた。
 年末に人口予測が発表されてショックを通り越し「やはりそうか」と納得してしまった。極論すれば新自由主義経済の当然の帰結という事であろう。
 やはり年末のテレビで食糧をテーマにした番組があったがその中で農水省関係者が近い将来食糧生産の減少が予想されるが人口も減少するので大丈夫、といったような事を述べていたのを聞き、この国の立法行政を担っている者達の認識はその程度なのであろうかと開いた口が塞がらなかった。農林業で生計を立てるのが不可能となれば土地から離れるのは当然。努力不足、経営能力の欠如と言うのであれば、そういう言葉を吐く人達が自ら実践し例を示して欲しいものである。かくして人口は年に集中、地方はジジ・ババばかり。もはや風前の灯である。
 「お前は噓つきだから将来は政治家だな」 ある父親が子供に言っていた。役人になる事が目的だった人、議員になる事が目的だった人ばかりのような気がする。何の為役人や議員になったのかを考えて欲しいものである。そして子供達が将来安心して暮らせる社会を築いて欲しいものである。
【 笹 輝美 】

●年明け早々大きな地震には驚きました。能登地方に大きな被害をもたらし、めでたさ気分が一気に吹っ飛びました。無力感を覚えながら、被災地の方々にお見舞いを申し上げます。寒空の中救援と復旧が速やかに進みますことを切に願います。
【 遠藤 信子 】

●暮れに東京から戻り、家を空けていた分の新聞を読んでいたら“星寛治さん”の訃報が載っていた。農民詩人であり。理論的にも実践的にも日本の有機農業運動の草分けでした。二十歳のころ、図書室で読んだ詩集「滅びない土」に感動し、無謀にも車も持たぬ時代に高幡のご自宅を訪ねたことがある。有機農業研究会の発足前だった。
私が師と仰いだ“故大滝十二郎”が星さんとともに山形農民文学誌「地下水」の同人であったことがご縁で何度かお会いし、講演会も複数回快く引き受けていただいたことがある。 4年ほど前から体調を崩していたという。「農の営みは生命の営みそのもの」を体現した御方だった。ご冥福を祈ります。
【 遠藤 敏信 】




新庄発 … 短信集 … 師 走

2023年12月15日
編集 : 遠藤敏信

●12/9、もも保育園の冬まつり(川崎)・12/10、収穫感謝祭(池袋)。4年ぶりの皆さんとの再会でした。  馴染みの皆さんとは、「高齢者の祭りになってきたなぁ」と言いながらも顔と顔を合わせられるのはやはり、リモートなんかよりもうれしいものです。収穫祭などでの感想はほかの生産者が記すと思うので、私は12/11に伺った鎌倉のモンタナ修道院について書きたい(吉野さん同行)。ここのシスター達には農縁の設立当初から応援していただいている。
修道院の玄関口「憲法9条は世界のたから」と銘板にしるされた立派な看板が迎えてくれる。お昼ご飯をご馳走になりながら、米田総長が大量生産・大量消費・大量廃棄・環境汚染などについて、1970年代の反省から聖母訪問会(教会)全体で環境問題に取り組むようになった縁で”農縁“につながったと説明してくれた。
 以前伺った際、雨水を再利用したり、教会の壁面に湘南の貝殻を埋め込んだり、暖房も木材チップを利用したりで環境に配慮した施設だった事、そして自給用野菜の一部をパーマネント農法※で栽培しているといった事を思い出す。自分たちの生活と暮らしを問い直していると思った。 信仰心のある人たちの持続継続力・実践力は、中途半端な私からすれば、いつもすごいと思う。 ※無農薬・無化学肥料による有機自然栽培
 無教会派と言われる内村鑑三の“読むべきは聖書、成すべきは労働、学ぶべきは自然”の言葉も思う。そしてお互い年齢を重ねてきたのでもう一度新庄への再訪をお願いした。本当に楽しい時間でした。
 最後に、収穫祭会場を提供してくれた「ワーカーズコープ」の皆さんにも感謝です。
【 今田 多一 】

●4年ぶりに東京で開かれた収穫祭に参加して頂いた皆様、4年ぶりに訪問させていただいた三浦修道院の皆様、そして首都圏側の手伝って下さった皆様、スタッフの皆様、本当に感謝感謝です。ありがとうございました。又、コロナ禍が収まらない中、会場を提供して下さったワーカーズコープさんには心より御礼を申し上げます。
 様々な話題の中で、将来の食料不足もその一つであったと思いますが、10月から正米市場が正式に開設され、今後の動向を注視している。適正な価格形成が強調されているが戦前の実態を見れば、それは絵に描いたモチに過ぎないと言わねばならない。何故ならそこには必然的に恣意(投機)が巾を聞かせるようになるからである。資本の手先により豊作時は買いたたかれ、凶作時は涙金でゴマ化され肥え太るは資本ばかりの歴史であったから。
正米市場は生産する側にも消費する側にも何ら寄与するものでは無かった。それ故、戦後農業者は協同組合に結集したのである。正米市場の復活は近い将来危惧される食料不足下での投機の道を開くものと言えよう。
 世の中すべての物が値上がりし、農業でも生産資材・機器すべてが大幅に値上がりしているが、生産されたものへの転嫁は許されない。故に若者は農業に就かず、離農が続出し、来年は更に増える見通しとなっている。
 今、故山下惣一さんが言い続けてきた「日本の農業(食糧)がどうなろうと俺の知ったこっちゃない」という言葉を想い出す。今年のボヤキ納めです。
 本年も有難うございました。
【 笹 輝美 】

●・9月に農縁を退会しましたが、皆様に直接会って今までの活動に対しての感謝の念を伝えたくて収穫際に参加させていただきました。4年ぶりに再会し、顔を見ながら近況を話し合ったりと有意義な時間を過ごすことが出来ました。又、休日返上で手伝ってくれたスタッフの皆様、本当にありがとうございました。(新庄の地酒“どぶろく”がなかったことが少しさびしかった)
・ ヒザに痛みを感じながら念願だった大菩薩峠へ何とかぼることが出来た。2000mの稜線から見えた富士山の美しさに、同行の3人とともに声をあげた。神々しいその姿は古代より霊峰として日本人にあがめられてきたことに納得した。
【 三原 茂夫 】

●暫くぶりのみんなでの上京。懐かしく旧交を温めることができました。世話人の皆さん、厳しい制限のある中、甲斐甲斐しく動いていただいた厨房スタッフの皆さん、参加された皆さん、とても感謝しています。ありがとうございました。
【 遠藤 信子 】

●もも保育園の冬まつりに芋の子汁と餅つきを受け持ち上京。会場設営の職員たちはてきぱきと動き、5人の厨房職員たちの連携は見事。相変わらず盛況だった。
ここに通う150人を超える園児たちは、私たちが育てた無農薬・無化学肥料米の5分搗きを給食として食べている。なんでも「山形・新庄の農家さんと繋がっていることが一つのブランド」なのだそうだ。うれしいことだ。
 収穫祭/コロナ禍を経て、行動に制限が設けられた。食事を作るのに清潔・安全性が求められるのは当たり前だ。当然、私たちは前もって保健所による便の検査を受け、また、厨房での使用器具の事前申請も求められた。コロナ以前と今日との違いである。
 それにしても、参加された方々に感謝致します。加えて、首都圏側世話人の方々、そして快く会場を提供してくださった”ワーカーズコープ“の皆様にも改めてお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
【遠藤 敏信】




〇ネットワーク農縁新庄事務局より

去る12月10日(日)、4年ぶりに「ネットワーク農縁収穫感謝祭」をワーカーズコープ池袋ISタマビルにて開催いたしました。コロナ後初めてとなるイベントに足を運んでくださった皆様、また開催にご尽力くださったワーカーズコープの皆様、当日準備を手伝ってくださった方々、本当にありがとうございました。応援してくださる皆様とつながることで、様々なニーズや託されている想いを直接感じられる大変有意義な機会とすることができました。私たちはこれからも農業についての課題に真摯に向き合い、「安心安全な食の提供に貢献していきたい」と生産者一同、改めて感じたところです。また、農縁の意思に賛同し興味を持って動いてくれている30~50代の若手農家の面々とも積極的に連携していきたいと考えておりますので、今後もぜひ応援いただければと思います。
 
〇「農産物お届け便」の予約受付について

ネットワーク農縁の農家さんたちが作った冬の野菜や豆類・漬け物・切り餅・自家製味噌など、普段はあまり販売しないような手づくり品をギフトパックにしてお届けします。
お届け時期:1月下旬~2月下旬
数量・個数:限定100個(総数)おひとり様2個まで
販売価格:60サイズ・・・2,000円、80サイズ・・・3,000円
氏名・住所・TEL・(コース60サイズか80サイズか)・個数をFAXまたはメールでお知らせください。
申込先:FAX 0233-25-2037
E-mail korira910@gmail.com(いずれも工藤まで)
※同封される内容はこちらにお任せください。
※ネットワーク農縁のHPからも申込みが可能です。
申込み締切:令和6年1月5日(金)まで ※数量に達した場合は期日前でも締切ます。