新庄発 … 短信集 … 長 月

2024年9月16日
編 集 : 遠藤 敏信


●9/3、村の公民館で地域計画集落座談会があった。農業の担い手不足と高齢化であと10年もたないと皆が危惧している。
 7年ほど前の、人・農地プランの時は村では15経営体を挙げていたが現在は1ケタにも満たないのだ。市の農林課職員も国の農政を説明するだけで具体的な話はなく、ただ今後の計画書だけは作成してほしいとお願いするだけ。
 9/8、稲刈りを始めた。収穫作業機の故障・トラブルがないことを願っている。大農業機具が壊れた時と、健康が壊れた時が離農の時期にならぬ様
【 今田 多一 】

●9月も中旬というのに、就寝時に汗でパジャマがびしょ濡れ。日中の暑さにへとへとであるが豪雨や台風の被害もなくイネは順調に実っている。もうすぐ稲刈りに入る。
 今年はコメの不足感とコスト高が続いたことから、大幅な値上げとなっているがそれでも45年前の水準で生産コストの上昇分には追い付かない。
 昔は米を値上げするから物価が上がると批判されたものだが、今迄の流れを見れば、米など値上げしなくても、いやいくら安くなっても物価は上がり続けてきた。
 私の記憶から消えないのは1960年代であったと思うが、米価を決める米価審議会の席上で、生産者側委員が「今の価格では生きてゆけない」と発言したのを受けて消費者側委員であった関西主婦連副会長を務めていた 比嘉 某が「それなら死んでみなさい」と発言し問題となった事である。そしてまた税金泥棒発言。農業は日本経済発展の足かせ、日本から農業が消えれば国民は年間10兆円得をする、と日本農業不要論が上がり続けてきた。
 農業・農業者をこれほど小馬鹿にし、悪しざまにののしり続けた国は他に無いのではなかろうか。
 そして、8月からコメの先物取り引きが始まった。これは突き詰めれば生産と消費の間にマネーゲームのシステムが割って入ったという事で、その犠牲となるのは汗して働く生産者と消費者の側である。
 気象条件は厳しくなる一方の中、益々離農が増え続けるばかりだ。と、私のボヤキも諸般の事情によりこれが最後となるかも知れない。
【 笹 輝美 】

●ここ数年、猛暑が常態化し、「酷暑」という表現もよく耳にするようになった。今やエアコン(冷房)設備の無いところで真夏日を乗り切ろうとするのは、倹約どころか無謀で危険、メディアでも連日「冷房を適切に使い、無理せず熱中症対策を心がけましょう!」と呼びかけ注意を促すようになった。ヒトという種が地球で生きていく上で、過酷な条件となっていることは間違いなさそうだ。ヒトだけでなく他の生き物も生きにくくなっているに違いない。
 8月末、自宅兼会社の1階のレーザープリンタの裏でとぐろを巻いているヘビが発見された。要は、ヘビも自然環境がどうにも暑くて少しでも快適なところに移動してきたのだ。うちでは朝、コンクリートに打ち水をし、午前中は窓を開けて風の通り道を作ることでできる限り冷房に頼らない暑さ対策をしていたため、入り込む余地があったのだろう。ヘビが苦手な者は身がすくみ建物の中から非難することになったのだが…。これは大変! と捕獲作戦を決行。ヒトも ヘビもお互いに「やれやれ」という、真夏の珍事であった。
【 工藤 恵子 】

●今田さんが短信に書いていますが、まさに百姓は大農機具が故障して買い替えをしなければならなくなったり、働き手が健康を害すると持続的に続けていくことができなくなることをつくづく実感しています。思わぬことに、息子が倒れて障がいを持つ身になってからは特に …
【 遠藤 信子 】

●10日、早生種のヒメノモチから稲刈りを始めた。続いて あきたこまちの刈り取りに入った。8月末以来の雨のため倒伏した箇所が多く、機械に負担がかかり、本来壊れそうにないところを破損してしまった。部品の調達に時間がかかりそうだ。
稲刈り ⇒ 乾燥調製 ⇒ 籾摺り ⇒  積み込み保管 ⇒ 出荷 ⇒ のローテーションを繰り返す。この繰り返しの一つが滞ると作業は進まない。これから約1か月、あきたこまち、さわのはな、はえぬき、雪若丸、つや姫 の順に狩り進める予定だ。
 15日の例会の際に、米の価格をこのままにしていて果たして自分たちは耐えられるのか、という話になった。この30年近くの間に、資材費は高騰し、宅配運賃も倍贈した。加えて、生産者会員数の減少は例えば有機栽培米を作るにあたり、残った生産者への負担が大きくなってきた。予め計画を立てたら … という向きもありそうだが、嘗て大量の在庫を残してしまうことがあった。それで新米ができる時期にはほぼほぼ切れるように調整してきたのである。そして、今年の夏コメが店頭に並ばない騒ぎ。
みんな年を重ね、体力的に衰えを感じ始めている。おのずと気力も萎える。はて、どうする。
心苦しさがありますが、利用している皆さんにどう思うかお尋ねしたい。詳細は後日、お知らせしたいと思います。
【 遠藤 敏信 】



新庄発 … 短信集 … 葉 月

2024年 8月16日
編集 : 遠藤 敏信


●約1か月前、農業共済新聞に“改正食料農業農村基本法”の成立を受けて、柴田昭夫さん(株・資源・食糧問題研究所代表)の論評が載っていた。その中に、食糧供給困難事態対策法があることを指摘していた。食料が2割以上減った場合、生産者や事業者に向けた計画を策定し、指示に従わない場合は罰金を科すというのである。柴田さんは戦時食糧法みたいだという。
 食料不足の折、農民は2番米を食い、強制的に供出させられたことを思い出す。でも村では改正基本法のことは話題にもならないし、私はこの記事を読むまではぜんぜん知らなかった。 村で話題になるのは、離農者が増える中、誰が今の農地を耕すのだべーという話になる。そして、今回の7月25日の水害に際し、皆さんからのお見舞いの電話ありがとうございました。                                          【 今田 多一 】   

●今迄にないくらいの大雨の被害は私の所ではほとんど無く、救われた思いの中アスリート達の活躍に拍手を送っていた。しかし一方ではオリンピックの理念とは関係なく、戦争・殺戮がやむ気配すらない現実がある。戦争によって失うものより得るものの方が大きいとはとても考えられない(私の頭では)。
 今、二つの戦争によって一番利を得ているのは軍事産業だけである。そして今年、前の戦争が終わってから79年となるが、戦争の歴史・事実を知れば知るほど戦争を推し進めていった者達の無責任さに腹が立ってくる。特攻だけでも狂気の命令により6371人の将来ある有能な若者を無駄死させている。「欧米列強の支配から東アジアを守る聖戦であった」というのであれば、何故戦勝国に対し声を大にして言わずにどこかの国のポチとなっているのであろうか。無差別空爆、原爆投下、模擬原爆投下そして今も続く全国の基地問題。日米地位協定から見えてくるのはこの国をイエローモンキーの国として扱っているということである。
 ある米国人文化人のことを思い出す。「資本と政治の無責任が社会を混乱に陥れる」  ♬ おらがぁ国さで自慢の物は  ナスとキウリと盆踊り … … 花笠音頭の一節の通り、今の食卓はナスとキュウリのオンパレード。漬物、みそ汁の具、炒め揚げナス、蒸しナス、茹でナス、酢の物と、ナス攻め・キュウリ攻めの毎日である 。
【 笹 輝美 】

●7月25日の大雨は、「観測史上で最も激しい」とか、「過去最悪」とかと報道され、実際、各地で大きな爪痕を残した。床上床下浸水、停電、断水、土砂崩れや道路の崩壊など … 
  備えあれば憂いなしというが、どう備えておけばいいのか?という気持ちで、過ぎ去った後の片づけに追われる日々。どうやっても元に戻れない方々もいて、ため息をつきながらいたたまれない気持ちになる。これをきっかけに引っ越しや移転、農業や生業をやめようとする人も少なくないのではないだろうか。無力感が暑さとともに少しづつ積もっていく中で、若手の農業者で仲間のインタビューが県内版のニュースで流れた。「何が辛いって、手間暇かけて育てた収穫間際のこの子たち(育てた胡瓜を指して)を皆さんに届けることなく、廃棄しなければならない…これが一番堪(こた)えます。でも負けてらんねぇ。こんなことで負けてられないですよ!」この一言に救われた気がして、また日常に向き合うことができた。
【 工藤 恵子 】

  

●「○月○日区長になる女!」を観てきました。2022年6月の東京・杉並区長選のドキュメンタリー映画です。“区政を変えたい”と奮闘した市民と立候補要請を受けた候補者の想い。「市民の市民による市民のための選対本部の議論と裏話」、そして、候補者の苦悩と苦闘。「平和な私たちの暮らしは選挙を通して、私たちが変えるんだ!」という思いを共有する仲間を増やしていくことの大切さに共感し、励まされた映画でした。
 驚いたことには、彼女が区長になったことにより、翌年の区議会議員選挙では、彼女に触発された女性たちが大勢当選し、男性議員数を上回ったことでした。
加えて彼女・岸本聡子さんは20数年前、ア・シード・ジャパン(環境NGO)のメンバーとして草取りツアーに参加されています。当時から社会の矛盾に敏感だったと思います。
【 遠藤 信子 】


●6月、好天続きで雨を欲した日々。7月曇天・雨の日が多く梅雨特有のじめじめした日々。そして、7月25日未明からの雨は、線上降水帯となり、避難指示が出されるほどの大雨となりました。TV報道で繰り返し「新庄」が出たことで、多くの方々から身を案じたり心配の電話やメールをいただきました。気遣ってくださったことに感謝いたします。
 近年のことで思い出すのは2018年8月の豪雨災害です。今回の場合、あの時よりも影響が少ないのでは、と思われたのですが、日が経つにつれ被害が拡大していることが分かりました。河川の決壊、土砂崩れによる用排水路の埋没などで日常が日常でなくなりました。自然の猛威に改めて畏怖しています。
【 遠藤 敏信 】


新庄発 … 短信集 … 文 月

 2024年7月15日 

 

●7日から3日間新庄に大雨注意報が出された。時折雨足が強くなり、田んぼののり面に、いつかみたいにまた崩れる被害が出たりするのではないか心配したが、無事でまずはよかった。そしてこの雨のおかげで、ダムの水かさも増し不足状態もまずは解消した感じだ。
 百姓は、雨が降れば降ったで心配し、降らなければ干ばつだと言って又心配、ちょうどよい具合とはなかなかならないもんだ。
【 今田 多一 】

●今月に入り雨が続き、当面の水不足は心配なくなったが今年も無農薬栽培を断念する事となってしまった。体力の低下には逆らえず口だけは動くのに無念でならない。
 それにしてもウクライナ戦争以来のすべての物の値上がりは凄まじい。農業関係でも生産資材・出荷資材・機械・とその修理のための部品、とあらゆる物が上がり続ける中農産物だけはそれに応じて上がる事は許されず、経営は厳しさを増すばかりだ。
 報道によると実質賃金は下がり続けるばかり。一方、グローバル資本の利益は過去最高を記録。国民の預金残高は過去最高、株価は実体経済と関係なく最高値を更新し続けているとか。庶民とは縁のない話ばかり。
 改革とは名ばかりの壊攪が騒ぎ立て始めてから我が家の生活はマイナスの方向へ動き出し、格差は米国と同じに広がるばかりである。
 今月に入りお札が新しくなったが、渋沢栄一も五大友厚もそしてアダム・スミスもあちらの世界でさぞかし嘆いている事だろう。
 今この国で離農が増えていることを嘆いている人はどれだけいるのであろうか。
【 笹 輝美 】

●今年も、田んぼの草の伸びが良すぎます。草の伸びに追いつけなくなってきたようです。いつもと変わらずトンボが銀色の羽根をばたつかせ、イネから飛んでいます。
いつ、田んぼにくるのか?   
【 吉野 昭男 】

新庄発 … 短信集 … 水 無 月

 2024年6月15日
編集 : 遠 藤 敏 信



●田植えまでは気を張り続けて農作業に取り組んでいるので、終えると毎年のことだが、やはり気が緩み"明日できることは、今日やるな“方式になる。 田植えまでの諸道具のあと片づけをやっと終えたばかりだ。
 それにしても暑い。雨も少ない。私達の泉田土地改良区が管轄する枡沢ダムの貯水量が平年に比べ大分少ないそうだ。
 これから、出穂期にかけて、さらに8月いっぱい登熟を促すために水は必要だ。
6月3日から、3日に1日しか水は流れてこない。管理されている。「用水の節約に努めて」と改良区の職員が水回りをチエックしに巡回してくるのだが、なかなかうまく下部にまで通水できないことがある。
 昨年同様の、暑さを予感させる日々が多い。
【 今田 多一 】

●〈 鍬頭 ― くわがしら 〉 これは田植えが手植えのころに使われた言葉で、大勢の人を頼んでの作業なので  、植える前の田んぼの水を抜いて型枠という道具で植えるところの印しをつけたり、苗の準備をしたりと、先頭に立ってすべてに目配りし、作業が滞りなく円滑に進むようにする人を指し、30代、40代の働き盛りの人がその役目に当たったものである。しかし今、その任を受け持っているのは老体にバシバシ鞭を打って働いているジジイ達である。東京の身内が 「此の頃、野菜が高値で品数も少ない」と言っていたが、天候の為だけでなく高齢化による野菜農家の減少も一因といえよう。
 冬の少雪と春からの少雨・干天はいまだに続いており、水不足が現実のものとなってきた。空梅雨となれば、まともなコメの収穫は望めないだろう。
国がどのような目標を立てようと、経済界がどのようなご立派な提言を行おうと、自己責任のもと、それで生活が維持できなければ農から離れていくのも無理からぬ事。東京一極集中は進むばかりであろう。
 I 氏の放言からすれば、「この国から農業がなくなれば、国民は年間10兆円得をする」という日も近いことだろう。
【 笹 輝美 】

●4月から長女が高校生になり、早起き生活がスタート。5時前に起床、朝食とお弁当作りが3年間続くことを考えるとため息も出る。しかし、往復3時間の長距離通学をしながら慣れない高校生活に適応中の本人が一番もがいていると思う。
 そんな娘が、「農家って朝早いんだね。中学の時は7時に起きても間に合う生活だったから気づかなかった」と駅までの送迎の車中でおにぎりを食べながらつぶやく。田植え前の慌ただしい朝の作業に目をやり思ったのだろう。
 視点を変えると見えてくる世界が変わる。毎日同じように口にするご飯も、お米の生産者の視点であったり、それを炊いて移動時間に食べやすいようにおにぎりを握る母親の視点で捉えた時、おそらく、いつもと違った味がしたのではないだろうか。食べ終わると必ず言う 「ごちそうさま」 に、いつも以上に感謝の念が感じられ、人としての成長を感じずにはいられない親バカの私がいる。
【 工藤 恵子 】

●この冬の少雪で田んぼに使う水の確保に苦労しながらも何とか田植えを終える、いつもの年は田植えが終わるころになっても水源となる高い山の所々に残雪が見えるのだが今年は四月中には雪らしいものは見られなくなっていた。隣の町に有る大きなダムの水が無くなる寸前らしい夏場の水不足が気がかりだ。
温暖化で変わってゆく気候にこれからの農業が大変な時代になってゆくのは間違いない。
【 星川 公見 】

●田植えを終え、いつになく早く畑のものも種を播いたり定植したり作業は順調に進んでいる。今は畦地の2回目の草刈り最中である。その間、目に入るのは、田んぼの中にはびこるヒエや オモダカ等の雑草だ。
除草剤を散布するか、中耕除草を行うか。悩むところだ。それにしても暑い日が続く。雨が欲しい。
【 遠藤 信子 】

●なかなか疲れが抜けなくなってきた。暑い日が続くこともあって、田植え後、外仕事は早朝と夕方だけにすることにしている。
 目の前に、一冊の写真集がある。表題「たんぼ」―めぐる季節のものがたり―写真・ジョニー・ハイマス(イギリス人写真家)。発行が1994年5月だから、30年前のものだ。確か、日本の有機農業の草分け・星寛治さんの勧めで求めたものだった。田んぼが織りなす様々なありよう。そこに暮らしがあり、実直な人間の息づかいが感じられ、ほっとするのである。
【 遠藤 敏信 】

6/14 トラスト畑種まき          2回目の畦畔の草刈り    


新庄発 … 短信集 … 皐 月

2024年5月15日

編集 : 遠藤 敏信


 木の葉っぱが展開し、日に日に山肌が膨らんでいる。今、代掻き作業の真っ最中だ。   

● 高温傾向が続いている。例年なら神室連峰にはまだ残雪が見えるのに、今年は早々に姿を消してしまった。川の水も減少し続けている。田んぼの土は乾ききってしまい、代掻きの水を入れてもなかなか湛水状態には至らない。苗だけが伸び放題となっている。この先の天候はどうなるのであろうか。
 此の頃、新聞やテレビで報じられたのは、近い将来全国の744の自治体が消滅の可能性があるとの事。そして2060年には認知症高齢者が645万人に達するとか、そして2023年までの国の借金が1297兆円という庶民からすれば天文学的数字となっているといった嫌な話ばかりである。そのうえ労働者の実質賃金は減り続けているのだから、首をかしげるばかりだ。
 赤ちゃんが産声を上げた時から、一人1000万円超の国の借金を頼みもしないのに背負わされるのだから、今を生きる大人達の無責任はこの上ない。
 国の借金を返す方法の一つは、国民に負担を強いる事、もう一つはインフレ状態にして貨幣の価値を下げる事、の二つだと聞いた事がある。政治家は自分が返すわけでもない借金をガバガバと借り続け、もっともらしい使途を口にするが、自分の点数稼ぎにしか映らない。
 私達は私達であめ玉で誘導され続け、いつしか乞食根性が身についてしまったようだ。
 民衆はやせ細り続け、資本は丸々と肥え太るばかり。〈この国に未来はあるのだろうか?〉 トラクターに乗って代掻きをしながらそんな事を考えてしまう。
【 笹 輝美 】

● この春、4月は20℃を超える日も多く、用意した種もみは水浸状態だけでも発芽の気配がみられた。が、催芽器で芽出しをした後、洗濯機を使い脱水し、袋のまま放置していたら内部の方に熱がこもったのか芽が伸びすぎた。そのため、種まき機械では均等に播種できず当惑した。最大量播けるよう機械をセットし,なおかつ中間で手播きで手直しし、何とかしのいだ。
  芽出しはハト胸状態が理想なのだが今年は伸びすぎた。毎年同じ作業を繰り返しているのだが、同じようにはいかない。田植え真近だ。
【 今田 多一 】

● いつもの年より早めに畦畔の草刈りを終えたので、畑に取り組む余裕ができている。おっとっとが代掻きをしている間の時間を、自分の時間にあてることができるのだ。
 4月下旬、ショッキングな記事が新聞のトップをにぎわしました。“人口戦略会議”(民間)が開いたシンポジウムで向こう30年間で全国の市町村の4割が「将来消滅」するという記事です。それによると、山形県内では35市町村中28市町村が該当、新庄市もその中に入っているとのこと。なんともこの国は情けないことになっているのでしょう。
 裏山に入れば、季節ごとに山菜が豊か。今はあく抜きをしないでも、即ゆでて食せるタケノコが旬。このささやかな贅沢感を分けてあげたいと思います。
【 遠藤 信子 】

● 冬の小雪の影響が早くもあらわれている。河川の水不足である。土地改良区(近年イメージチェンジで水土里ネットなどと愛称を使うようになった)が10日から従来河川と最上川から揚水した水を通水し始めたが、昨年までと比べて7~8割の水量アップにとどめているという。雪解け水が、早くもピンチなのだそうだ。そのため、代搔きが進んだ、水回りのよい圃場から田植えをしながら代掻きをする、という農家が現れた。なるほどその手があったか。
 通水期間 5/10 ~ 8/31 (しかも6月からは3日に1日だけしか水が回ってこない)加えて、水代金だ。10a当たり2000円だったものが1000円アップして3000円になった。面積に乗ずると大変な額になる。灌漑用水は、ただではないのだ。
【 遠藤 敏信 】

この月山の景は3年前にも使った。


新庄発 … 短信集 … 卯 月

2024年4月15日                                        編集 : 遠藤 敏信


●「年をとると涙もろくなる」
〇 私にとって昭和30年代は小学生から中学卒業までの年代で、土門拳の「筑豊の子供たち」や「昭和のこども」と時代が重なる。写っている子供達の姿が皆、同じ時代を生きたなつかしい顔ばかりである。中でも弁当を持たない子が本で顔をかくして回りの子供達が食事をしている様子を見ないようにしている1枚がある。皆貧しかった時代とはいえ、あの幼い子がどんな思いであの時間を耐えていたのかと思うと、ひとりでに涙が出てきてしまうのだ。
 それは映画「砂の器」で病をかかえた父と子が巡礼(乞食)の旅で同じ年頃の子供達に石をもって追われたりしながらも、小学校の校庭で先生と一緒に運動をしている生徒達を遠くから羨望の眼差しで食い入るように見つめる秀男少年とだぶり、またしても涙となってしまう。
〇 ウクライナやガザには今も多くの人々が死の恐怖に耐え、人の命を省りみない独裁者のために、無念の涙を流している。
【 漂泊 旅人 】

● 9月の第一日曜日、私の村で“神楽回し”という行事があった。「悪魔払ってチョトナ」という掛け声と太鼓をたたき、集落の家々を回り、神楽の口でその家の家人の頭を風邪をひかぬよう、頭病みしないよう噛んで回るのである。そして、お神酒とご祝儀をいただくのだ。
 50軒ほど家々を回りきると、皆、お神酒が効いてベロベロである。(その年に不幸があった家は回らない)  私たちの時は青年団が担当し、その後消防団、そして隣組が担当してきたが、負担が大変だということもあって今年の総会で中止となった。昔のことを懐かしむのは、やはり年をとった証拠でもあるが、村で動ける若者がいなくなった。
【 今田 多一 】

● 4月に入り例年にない高温が続き、3月の低温で足踏みしていた木々や草花は急速に活動を始め、屋敷の梅と花桃の花もほころび始めた。と同時に急に農作業も忙しくなり、もうすぐ稲の播種作業である。そして心配なのは少雪による水不足である。自然は私達に都合の良い天候をなかなか与えてはくれない。
 自然といえば、今自然エネルギー事業には国が湯水のごとく血税を放出している。私たちの新庄市に隣接する町に今、関西の事業者による風力発電計画が持ち上がっている。その手法は、関係自治体首長・議長及び議員・役所の幹部職員・町内会長・各団体の長等への根回しを完了した後に初めて公表する、というもののようである。本当にその地域に貢献するものであるならば根回し等必要なく、リスクも含めて発表すればよいものを、と思ってしまう。
私の知人にも事業者の社員が訪ねてきたようで、その時知人は「何で西の会社が、はるばる東北電力のエリアまで進出してくるのか?」と尋ねたところ「何が悪いのか」との返答であったそうな。
 今全国の風力発電において、事業者と4割の立地自治体との間で問題が生じているとの新聞記事があった。又、採算面で計画通りいかないと撤退の例も数例報告されている。そして撤退しても国からの補助金は返還の義務がないとのことであり、残されるのは荒れ地のみ。
 やはり、資本というのは“今だけ、金だけ、自分だけ”のようである。
【 笹 輝美 】

● 桜の花が咲きだした。新庄はまだ咲き始めだが、用事で出かけた山形市は満開だった
馬見ヶ崎川沿いの桜並木は花見客の車でごった返していた。やはり見事な景観だった。
春先のこの季節は毎年のことながら格別な思いがする。心も解き放たれるような感がある。
 農作業が始まり、外での仕事が忙しくなります。がんばっちゃうかな。
【 遠藤 信子 】

● 農作業が始まると、カレンダーとにらめっこをしながら、毎年同じような作業パターンに入る。
 その繰り返しこそが“農の営み”なのではないかと思う。
今年もイネの種まきを終えた。約2100枚を3回に分けて播く。以前は3日おきのローテーションだったが6日毎に改めた。ビニールハウスから外に移した苗に、保温目的の被覆資材のかけ外しの手間を省くためだ。この繰り返し。だが、水を含んだ育苗箱は結構重い。あと、何回(年)できるか、をいつも考えている。あと2年ぐらいは頑張るつもり。膝が言うことを聞かない。
【 遠藤 敏信 】



                                









「新庄の積雪審の推移表」
2023年~2024年にかけての冬はこの表によれば、2番めの少雪でした。










新庄発 … 短信集 … 弥 生

 2024年3月15日                                         編集 : 遠藤 敏信


● 昨年売却した杉林跡に植林をやらないかと最上広域森林組合の若い職員が来てくれた。私も伐採だけでは気が引けるので依頼した。34アールの植林代が¥20,000で、1回の下草刈りが¥1,400だという。でも森林組合に出資金と組合費を納めなければ補助金が出ないという。 私の若いころは下草刈りは10年やらないと杉がよく成長しないと教えられていたが、現在は6年が普通だという。
 今、新庄・最上の森林の伐採状況を見れば植林する人たちがいるか、と聞くと高齢化も進み人手は完全に足りないともいう。そして私の村で植林を依頼した地権者はどれくらいだと聞いたら、約半数だという。杉は植林した世代が利用するのではなく、次の世代が利用するのだが、そのころの農村はどう変わっているか!?
【 今田 多一 】

● 3月に入ったら冬本番なったものの降雪量は少ない。先日、友人が自分で採取したメープルを4ℓほど持ってきてくれた。早速薪ストーブで煮詰めてシロップを作ってみた。出来上がった量はほんの少しだがすこぶる甘い。友人の話では、今年は例年より1か月ほど早くイタヤカエデの樹液が出たという。さてさて今年の夏はどんな天候となるやら。
 先月某資本がコメの先物取引を国に申請したとの記事が載っていた。一物をも生産することの無い者達が金を転がすだけで、富を手にする方策をあの手この手で打ち出してくる。又もや過去に逆戻りである。彼らが得る富はいわば、汗して働く人々達から掠め取るに等しい。一方農水省は離農が相次ぐ為、農地の確保を至上命題のようにしているが、耕してこその農地である。耕す人がいなければたちまち雑草や樹木が生い茂ってしまう。土地だけ残しても農地とは言えない。
 労働者を低賃金で働かせる為に、農産物(食糧)を低廉で供給するという図式を改善しなければ何の解決にもつながらない。少子化とて同じで、その場しのぎであり、百年の大計には結びつかない。もっとも自己保身と無責任競争に終始している輩の考えることはこんなものであろうか。
 そういっている私も自己保身(健康)にヤッキとなっている一人である。ビニールハウス内での作業はまだまだ続くから … 。
【 笹 輝美 】

● 申告書をまとめ終え、ほっとしている。我が家は義父のころから青色申告を行っており、仕分け作業を私が引き継いだ。潤沢な金の扱いならば作業も楽しいのかもしれないが、通帳残高を見てはため息が出るばかりの苦行である。
 今年度、稲の作柄は我が家の場合そう悪くはなかった。しかし、農用資材の高騰や作業機械の修理費などが影響し、支出がことのほかかさんでしまった。
 農業は、面白い仕事だ。が、残念ながら、突き詰めれば儲かる仕事ではないと思う。
【 遠藤 信子 】


● この冬は小雪で、2月末で雪はほとんど消えかけていたが、3月に入って3日ほど除雪を伴う積雪があり、また地面を覆った。簡単に春はやってこない。
 とはいえ、陽射しは長くなり、春めいてきたことは確かカレンダーを見るまでもない。
 稲の種もみが、全種全量揃った。5㎏づつ、小分けにすることから始めようと思う。
 生育の早い順に、ヒメノモチ、あきたこまち、さわのはな、はえぬき、雪若丸、つや姫                             である。
【 遠藤 敏信 】


2月14日

3月12日