新庄発 … 短信集  霜 月


2018年11月15日
文責 : 遠藤 敏信

●今年の稲の収穫とその関連作業が終わり、植木等の雪囲いとうるい根株の掘り取り作業も終わり、越冬野菜の収穫とその畑の後片付けを残すのみとなった。
 それにしても今年の稲作は近年にない不作となってしまった。とりわけ無農薬栽培は過去最低の収量に終わった。天候不順以外の原因としては穂の数を不足させてしまった事と紋枯れ病の多発によるところが大きい。紋枯れ病菌はカビの一種で前年に発生すると稲わらや畔の枯草等の下で越冬し、翌6月頃気温・水温が上昇してくると活動が活発となり、田圃の水面で浮遊している菌が稲の水際の茎に侵入し、徐々に下葉を枯死させ、8月上旬には上位の葉をも枯らしてしまう。結果、登熟不良となり未熟粒や死米が多くなり、減収となる。
20年近く同じ圃場で無農薬栽培を続けてきた結果、その発生が年々多くなってきていたのだが … … 。
 これから雪の降るまでの間は山の植林地の手入れを予定している。樹種によっては幼木に雪害が目立ち、その対策として杭を作り支柱を立てたり、枝打ち・間伐等である。森の中で汗を流すとやや鈍くなっている脳ミソと体が活力を取り戻したような感じとなる。
【 笹 輝美 】

●先月の中旬、天気もよいので紅葉を見ようと秋田県側から鳥海山のふもとを巡る。漫画家の矢口高雄が描く「ふるさと」に出てくるような村落が続く。鳥海山にある5合目の駐車場で「日本一週の旅5日目」と書いたバイクを見つける。話を聞こうと近づくとまだあどけない顔をした青年が気軽に私の質問に答えてくれた。
「浜松を出て太平洋側を走り、北海道を回って、帰りに日本海側を通って九州まで行き、四国も回って今年中には家に帰る計画だ」と言う。
 荷物いっぱいのバイクの後ろ姿に「今度の旅はこれからの人生で必ず力になる時がくる。交通事故に気をつけて!!」と声援を送った。
【 三原 茂夫 】

●稲刈りを終え一息ついた頃、夏野菜の茄子の枯木の片づけをする。7月から9月まで3か月も食べられる野菜は他にない。葉物の野菜などの食べごろ適期は一週間ぐらいである。夏は“ばっかり”料理の代表格である茄子だが、やはり助かる。本当に世話になった。
 ◦ 8月初めと末、2回のゲリラ豪雨で崩れた田んぼの畦畔を直そうと、刈り取りが終ってまもなく、重機のリース屋さんにユンボを手配した。が、11月まで予約でいっぱいと言われる。あれからまもなく一月、未だ連絡がない。雪の降る前に直しておきたいのだが。
【 今田 多一 】

●雪囲いにまだ手が回らない。周囲は皆用意周到に済ませているのに。越冬野菜の取入れもこれからだ。以前なら11月の半ばには霜が降りたものだが、近年は冷え込むことが少ないように思う。
 先日、「南米ペルー沖にエルニーニョ現象の発生を確認」という記事があった。今年は暖冬になるのだろうか。この現象は1年ほど続くという事だから、という事は、来夏は冷夏?などと余計な考えが先走ったりする。
 ところで、そばの生産量が激減状態だという。北海道産が打撃を受けた影響が大きく、山形県も集中豪雨のあとが残る。我が家の場合、7月末1町歩に種を播いた。発芽は揃ったものの8月5日の大雨で、作付面積の半分が冠水し、やがて消滅してしまった。今でさえ輸入ものが多い中、市場ではとって代わられるのだろうか。
それにしても種まきから全てホームメイドで仕立てたそばは、うまい。
【 遠藤 敏信 】

新庄発 … 短信集  神無月

2018年10月15
        文責:遠藤敏信

   7月のあの天気はどこへ行ったのやら?大豆畑草取りツアー以降、雨 雨 雨、しかも降雨量が半端でない。為に稲刈りは遅々として進まず、しかも田面はぬかるみ苗代のごとし。コンバインがハマらないように注意して時間をかけての作業となる。
そして籾摺りをしてビックリ。田圃での見た目とは異なり、平年を下回った昨年よりも減収、というありさま。その原因としては、出穂までの異常高温により稲体の体力消耗が大きいだろう。加えて出穂後、最も登熟が進む時期に低温と日照不足にさらされた事によるものと考えられる。故にクズ米ばかりが平年の2倍の量だ。
 このような結果は、どんなハイテクを駆使しデータを活用したからといって解決出来るものではない。
 収穫作業が大幅に遅れ、好きな山へも行く事ができず少々イラついていている自分である。果ては、「お義父さんが植えた玉葱はダメ、アスパラもダメ、イチゴもみんなダメ」と、それらを楽しみにしていた息子の嫁に言われてしまい、百姓としてのプライドを傷つけられてしまったが「気にしない、気にしない。ただ前進あるのみ」である。
【 笹 輝美 】

   稲刈りを終えた。9月の雨続きの天候と用水路のU字溝からの漏水があり、一部の田が軟らかく田んぼの隅に稲杭を敷きぬかるのを防いだ。作業は今年も難儀した。
 私の村では稲作総面積の1割がえさ米である。8月下旬ホップロールにして牛のえさ用に回す。飼料米とホップロール。昔は一粒の米も大事にしたが、今や牛のえさである。それゆえ、稲刈りを終えていないのはごくわずかだけになっている。
 まずは刈り取りを終え、少しホッとしている。        
【 今田 多一 】

   ・13日に稲刈りを終えた。今年は未熟米が多く豊作とは言えなかった。
近くの山々も紅葉が始まっている。

 ・11日の      NHK「まんぷく」を朝2回、昼も見て、3回とも泣いてしまった。テレビを見ながら涙を流すのは久しぶりだ。出演者が皆うまく、とても演技しているとは思えないくらいにその役になりきっている。誰が言ったか忘れてしまったが「この世に生まれて誰もが自分を演じている。それがその人の人生となる。自分で生まれてくる国や時代、両親さえ選べない。運命としか言いようのないものだ」
  この世では自分で描く台本どおりにはいかないことの方が多いが、最後の幕が下りる時に、自分を演じきった満足感からくるここちよい気持ちの中でこの世を去りたいものだと、このドラマを見て思った。         
【 三原 茂夫 】 
   15日、稲刈り終盤ようやく天気予報に マークが目立つようになった。刈り取りをあと4日残している。
それにしてもこの秋は雨の日が多く、外の作業が進まなかった。加えて、事もあろうに長い間(20年)連れ添ったコンバインが壊れてしまった。操作機能をコントロールする中枢・電子制御が効かなくなった、のだという。しかも、もうその部品の在庫はなく、生産もされていないとのこと。機械に頼らなければ作業は進まない。さてさて、買い替えの選択しかない事態に。
メーカーの違う2機種を試乗運転した。当節当たり前だが、すごく性能がイイ。便利だ。今の機械は更に電子制御化され、農業用でさえマシーンと呼ぶに値する。でも、肝心なところはマニュアル操作でも生きる機械であってほしい、と思う。
必要不可欠だとは言え、半端でない高い買い物をした。
しばらくぶりに”はえぬき“の白米を炊いてもらった。うまい今年は在庫しておこう。【 遠藤 敏信 】
幼稚園の子らが稲刈りに来た1011(E)