新庄発 … 短信集  葉 月

2020年8月15日
文責 : 遠藤 敏信

●やはり冬の少雪の倍返しが来た。梅雨が明けたとは言ってもよくもまぁ雨が降るものだ。6月以降、田んぼには一度も水を入れていない。いつもなら出穂のこの時期、受粉するためには水分が必要な為、「花水」と称して水を入れるのだが今年はその必要がない。先日の豪雨こそ新庄では被害が無かったものの、もうウンザリ。
お天道様が姿を見せてくれず、蒸し暑い日は稲の病気でカビの一種であるイモチ病の発生を促していると同じで、そんな天気をイモチ空と呼んでいる。今年は例年よりかなり多くイモチ病が発生しており、今後の天候によっては穂への移行が心配され、気が抜けない。
 県内のお盆はほとんど月遅れの8月で、7日にお墓を掃除、13日に墓参りをしてから集落内の親戚の家々に行き仏壇に手を合わせ、親戚としての絆をより深め、帰省中の人々は近況を語り合い旧交を温めるのであるが、今年はむら祭りやお盆の行事はすべて中止。コロナを心配してのことであるが、自分一人で治まらないことを考えると、万が一を恐れ地方では出来る限りの予防線を張っているのだ。
 百姓は日中の暑い中でも屋外での作業があり、“強盗トラベル”とか言われているメンツと利権のかたまりなんかにかまっている暇はない。いくら立派な発言をしていても自分が動かなければ立派な作物は育ってくれないのだから。
【 笹 輝美 】

●毎年8月に入ると太平洋戦争に関する番組が放映される。今年は ETV特集「焼き場に立つ少年」が心に残った。死んだ弟を背負い、火葬の順番が来るのを唇をかみしめ「気をつけ」の姿勢で待っている写真だ。写したのは米軍カメラマン
ジョー・ オダル。場所や日付の記録もないので詳しいことは今も分からない。この1枚の写真をローマ法王が「戦争がもたらすもの」として世界に発信し話題になった。この写真から少年が戦災孤児であることが解るという。親がいれば少年がこの場所にいることはないと。また少年の鼻に詰め物があることから、原爆症で出血していたこと等。番組の中でこの少年と同じ年頃の人がその後の戦災孤児たちが歩んだ過酷な人生を語った。かろうじて私達の年代ならその話に何とか思いを巡らすことができるが、今の若い人たちには想像すらできないことだろう。
 大人たちがはじめた戦争で家や親を亡くした戦災孤児たちを東京では「浮浪児狩り」の名のもとに、子どもたちを捕まえて鉄格子の檻に入れている写真がある。
【 三原 茂夫 】
●コロナで夏のむら祭りでの子供たちの奉納相撲の中止を知らせる回覧板が回ってきた。そんな中、新聞の川柳欄で「テレワーク 米や野菜が作れるか」の一句が載っていた。なるほど、なるほどと納得し、うまいもんだと感心した。
【 今田 多一 】

●7月末山形県に集中した大雨で、県を縦断する最上川の水かさが増し中流域では濁流が堤防を超え、家屋の浸水や農地の冠水被害をもたらしました。新庄も一昨年の例があるので心配したもののこの度は大丈夫でした。気遣いの電話やメールをくださった沢山の方々にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 7月に入ってから朝1日おきにブルーベリーの摘み取りを行なっています。
9日雨の中で無心になって熟したものを籠に採り入れていて、ふと耳にするのは秋の虫。暦の上では立秋を迎えてしまいました。
今年感じるのは、冬を感じないまま春が来て、雨と曇天続きの7月を過ごし、夏を実感しないまま秋を感じてしまった、ということです。8/10日過ぎに猛暑がきているものの、これって冬の反動かしら、何か変です。    
【 遠藤 信子 】

●年の初めに「今年こそ、心穏やかに過ごしたいものだ」と書いた。ところがなんだかんだと身辺が騒がしく、穏やかな心境になどなれやしない。
 世の中には、思い通りにならない事はもちろん、どうにもならないことがある。何とかしよう、と抗いたくなるがどうしようもない。善意であろうが、好意であろうが全く余計なことになってしまう。ザワワザワワ、煩悩の厄介さに心は乱れる。
【 遠藤 敏信 】 

稲の出穂が盛りを迎えている

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