新庄発 … 短信集  皐 月


 2018年5月15日
 文責 : 遠藤 敏信

  「日本一幸せな本屋さん」
 3000人のお客さんが自分のために選んでくれた本を待っているという、NHKテレビ「プロフェッショナル自分の流義」を見る。今日、本を読まない、売れないという時代にあって、どんな本屋か興味津々で見る。(かつて私も古本屋を目指した)
 この本屋さんは、自分で読みたい・他人に読んでもらいたい本を並べている。問屋さんから送られてくるのをただ並べるだけの本屋さんではなかった。本を申し込む時にアンケート用紙(本屋さんはカルテと言っていた)の様々な項目に記入していくと、その人の性格が分かってくるという。そして、この人にはこの本が合うのではないかと選んで、1万円分をセットにして送る。送った相手から感謝の手紙が届く。本人は日本一幸せな本屋だという。見ていると顔も語り口も声までどこか養老孟司先生に似ている。日本一幸せな本屋さんおすすめの本が「逝きし者の面影」渡辺京二 であった。私の知らない作者だったので家になく、図書館より借りて一気に読む。幕末から明治にかけて日本を訪れた多くの外国人の目に、当時の日本人がどう写ったか克明に書かれている。つまり今はなくした昔の日本人の心と生活がこの本には記録されている。地元の中学校の図書館から16万円分の注文があり、本を納める時、生徒さんに向かって言った言葉が「本は皆さんの味方、人生の味方」。それは私達にも向けられた言葉でもある。今までそのことを私は何度も実感している。 
【 三原 茂夫 】

   民主党が政権を担った時、“コンクリートから人へ”と公共土木事業から福祉・医療・介護 … へと方向性が向けられたが、再び政権が変わり、ここにきて私たちの地域にも高規格道路の工事が急激に進もうとしている。プレハブの現場事務所があっちこっちに立ちはじめ、ヘルメット姿の工事関係者が農道で出会うことが多くなった。私の田に隣接する(道路予定地の)山林が伐採された。この春、日当たりが良くなったためか、タラの芽が数多く芽吹いた。おかげ様で3回ほど旬の味をご馳走になった。
 【 今田 多一 】

   ゴールデンウィークの頃は神室連峰のそこかしこに生い茂る山桜が満開となる。その様は吉野の山々や謡曲「鞍馬天狗」を思わせ、超多忙な中でも風流を感じる時である。そんな中、神室連峰で登山者1名が遭難、携帯の呼び出しはするが本人の返答がないということから、遭難ということになり、好転時の3日間は捜査ヘリが飛び、遭難者の家族等は連日山に入って探索を続けたが発見できなかったという。そんなことで、6日目に私たちの山の会からも私を含め3名が加わり、2班計8名が入山した。私達3名と家族1名の班はそれまで探していなかった沢コースでの探索。まだぶ厚い雪田や雪渓、スノーブリッジを渡りながら、雪のために荒れた沢を下る。が、発見できぬままじきに、沢から抜け出るという時、同行の家族に別の班が「発見した」との連絡が入り、急いで沢を抜けるとそこに家族らが待っていてくれ、私たちの姿を見るや川向うから「無事でしたー」と大声で叫ぶ。
  私たちは思わず「ワーッ」と歓声を上げ「よかった、よかった」と喜び合った。捜索の基地となっている登山口の山小屋に戻り経過を詳しく聞くと、途中スマホを落としてしまい、雪田で夏道を見失い迷ってしまったとのこと。それにしても、あの寒い悪天候の中6日間もよく耐えしのいだものと驚くばかりだ。
  後日家族からお礼の電話があった。怪我はなく1日入院しただけで仙台に帰宅したとのこと。本当に無事でよかった。同じ山をやるものとしては、戒めを新たにしたところである。
  そしてまた、超多忙な日常が続いている。
 【 笹 輝美 】

   毎年のことだがこの季節は忙しい。眠りから覚めた様々な植物の芽吹きが進み、樹々の葉っぱが日に日に展がる。自然界もめまぐるしく躍動している。
 新庄も早いところでは田植えが始まった。我が家も代掻きに入った。田植えが済むまではとにかく、家族とそれぞれの予定を計りながら作業の段取りを調整する。
 神室山で遭難した女性が、無事でいることが確認され、探索隊とともに下山した。雨風の日もあり安否が気遣われていた。6日間よくぞ耐え凌いものだと思う。
 再び:新庄藩の火消し組をモデルにした今村翔吾作の時代小説「羽州ぼろ鳶(とび)組」シリーズの第5巻「菩薩花」―祥伝社―が11日に出版された。短信集3月号にもちょっと書いたが、これが実に面白い。ドラマ化を期待しているのだが … 。
今回、出版社と新庄市の計らいで、作品を愛する読者への感謝として、新庄産農産物を使った加工品「HINjo  iinya  FOOD」(新庄いいにゃ風土)がプレゼントされるという企画が加わった。この中には、信子が考案した米粉を使った創作菓子も入っている。新聞に掲載されるまで本人も知らなかったという。
【 遠藤 敏信 】


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