新庄発 … 短信集 … 水 無 月

 2024年6月15日
編集 : 遠 藤 敏 信



●田植えまでは気を張り続けて農作業に取り組んでいるので、終えると毎年のことだが、やはり気が緩み"明日できることは、今日やるな“方式になる。 田植えまでの諸道具のあと片づけをやっと終えたばかりだ。
 それにしても暑い。雨も少ない。私達の泉田土地改良区が管轄する枡沢ダムの貯水量が平年に比べ大分少ないそうだ。
 これから、出穂期にかけて、さらに8月いっぱい登熟を促すために水は必要だ。
6月3日から、3日に1日しか水は流れてこない。管理されている。「用水の節約に努めて」と改良区の職員が水回りをチエックしに巡回してくるのだが、なかなかうまく下部にまで通水できないことがある。
 昨年同様の、暑さを予感させる日々が多い。
【 今田 多一 】

●〈 鍬頭 ― くわがしら 〉 これは田植えが手植えのころに使われた言葉で、大勢の人を頼んでの作業なので  、植える前の田んぼの水を抜いて型枠という道具で植えるところの印しをつけたり、苗の準備をしたりと、先頭に立ってすべてに目配りし、作業が滞りなく円滑に進むようにする人を指し、30代、40代の働き盛りの人がその役目に当たったものである。しかし今、その任を受け持っているのは老体にバシバシ鞭を打って働いているジジイ達である。東京の身内が 「此の頃、野菜が高値で品数も少ない」と言っていたが、天候の為だけでなく高齢化による野菜農家の減少も一因といえよう。
 冬の少雪と春からの少雨・干天はいまだに続いており、水不足が現実のものとなってきた。空梅雨となれば、まともなコメの収穫は望めないだろう。
国がどのような目標を立てようと、経済界がどのようなご立派な提言を行おうと、自己責任のもと、それで生活が維持できなければ農から離れていくのも無理からぬ事。東京一極集中は進むばかりであろう。
 I 氏の放言からすれば、「この国から農業がなくなれば、国民は年間10兆円得をする」という日も近いことだろう。
【 笹 輝美 】

●4月から長女が高校生になり、早起き生活がスタート。5時前に起床、朝食とお弁当作りが3年間続くことを考えるとため息も出る。しかし、往復3時間の長距離通学をしながら慣れない高校生活に適応中の本人が一番もがいていると思う。
 そんな娘が、「農家って朝早いんだね。中学の時は7時に起きても間に合う生活だったから気づかなかった」と駅までの送迎の車中でおにぎりを食べながらつぶやく。田植え前の慌ただしい朝の作業に目をやり思ったのだろう。
 視点を変えると見えてくる世界が変わる。毎日同じように口にするご飯も、お米の生産者の視点であったり、それを炊いて移動時間に食べやすいようにおにぎりを握る母親の視点で捉えた時、おそらく、いつもと違った味がしたのではないだろうか。食べ終わると必ず言う 「ごちそうさま」 に、いつも以上に感謝の念が感じられ、人としての成長を感じずにはいられない親バカの私がいる。
【 工藤 恵子 】

●この冬の少雪で田んぼに使う水の確保に苦労しながらも何とか田植えを終える、いつもの年は田植えが終わるころになっても水源となる高い山の所々に残雪が見えるのだが今年は四月中には雪らしいものは見られなくなっていた。隣の町に有る大きなダムの水が無くなる寸前らしい夏場の水不足が気がかりだ。
温暖化で変わってゆく気候にこれからの農業が大変な時代になってゆくのは間違いない。
【 星川 公見 】

●田植えを終え、いつになく早く畑のものも種を播いたり定植したり作業は順調に進んでいる。今は畦地の2回目の草刈り最中である。その間、目に入るのは、田んぼの中にはびこるヒエや オモダカ等の雑草だ。
除草剤を散布するか、中耕除草を行うか。悩むところだ。それにしても暑い日が続く。雨が欲しい。
【 遠藤 信子 】

●なかなか疲れが抜けなくなってきた。暑い日が続くこともあって、田植え後、外仕事は早朝と夕方だけにすることにしている。
 目の前に、一冊の写真集がある。表題「たんぼ」―めぐる季節のものがたり―写真・ジョニー・ハイマス(イギリス人写真家)。発行が1994年5月だから、30年前のものだ。確か、日本の有機農業の草分け・星寛治さんの勧めで求めたものだった。田んぼが織りなす様々なありよう。そこに暮らしがあり、実直な人間の息づかいが感じられ、ほっとするのである。
【 遠藤 敏信 】

6/14 トラスト畑種まき          2回目の畦畔の草刈り    


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