新庄発 … 短信集 … 皐 月

2025年5月15日
編 集:遠藤 敏信


●天気が長続きせず、田が乾かず田起こしが遅れ気味だったが軟弱な田を無理やり興起し、代掻きを始めた。
 コメの小売価格の高騰を数多くのテレビが伝える。法人化している生産農家の声は出てくるが、中山間地の現場や家族経営の農家の声はあまり出てこない。
【 今田 多一 】

●慌ただしくなる田んぼ、山々の緑も鮮やかになるこの季節、朝起きるのも冬に比べて苦ではなくなり、一日の行動時間が長くなるようで嬉しい。
 さて、高校生の娘が長距離通学をしているため、5時前に起きてお弁当と朝食を作るのだが、最近の娘の口癖「ご飯を食べている時が一番幸せ、特に午前中にキツい教科があった日はお弁当が癒し。」年齢の割には食の好みは渋く、お味噌汁や煮物、この時期ならではの山菜料理も好んで食べる。
 話しは変わるが、新庄最上有機農業者協会の佐藤あい子さんが3月に亡くなられ、先日、手を合わせる機会があったため、ようやく採れたタラの芽とコシアブラ(ウコギ科コシアブラ属)の天ぷらを仏前にあげた。あい子さんにはワラビやアイコ、ウルイなど、お裾分けと称してよく会いに行っていたので、また食べさせたかったなぁ … としんみりしてしまったのだが、自宅に帰ると、偶然にも同じ名前の娘(愛子)が「この天ぷら、もっとたべてもいい?」とたくさん食べてくれた。あい子さんがよく言っていた「人の体は食べたものでできているの。美味しいって言って食べることで、心ができていくの。」そんなことを思い出しながら、山里の春の恵みを家族とともにありがたくいただく毎日を過ごしている。          【 工藤 恵子 】

●新庄は雨降りが続き、田起こし、代掻き、田植えの準備が遅れがちです。先日、堰掃除に行ったが関係者は昔みたいに集まらない。農家が減ったためなのか。 以前は豊かだった農地は今は住宅地となり、エライ人が農地を大きくまとめて作った方がより効率が良くコメなどを作れるのではないかという。ひら野で良質だった大地に住みながら、何を言っているのか、と思う。
 そんな大きな日本では、そんなに良い農地でやっていける人はそんなに多くいるのかな?                               【 吉野 昭男 】

●先の日曜日、仙台からIさんが草刈りを手伝いたいとやってきました。Iさんとは、東日本大震災のあと、炊き出し支援で宮城を中心に何度か出かけましたが、その際知り合いになり、以来、交流が続いています。新庄のそば祭りなど年に2,3回仲間とともに訪れていました。いよいよ援農ですか。縁とは全く不思議なものです。
 ここで、もう一つ。事務局の工藤さんが山菜のことを書いています。私も山どこ育ちなので、ひときわ山菜とは馴染みが深い関係にあります。ところが、私が育ったところではコシアブラを食べる習慣がありませんでした。鳥越に来て、裏山にすぐコシアブラが芽吹き、春のG・Wあたりに天ぷらやおひたしで食べることを知りました。特に「すごい」とottotto が感動したのが、茹でて細かく刻んだものをご飯に混ぜ合わせた物。
Ottotto曰く「これぞ山の香り、独特の香り、すごい!」と。さすがに美味しいです。
山の恵みよ、ありがとう。                   
【 遠藤 信子 】

●代掻き作業の真っ最中です。しらさぎ、カラス、ムクドリなどの鳥類がおびただしく虫を求めて寄ってきて素早く口ばしで虫をついばむ。見ている分には飽きが来ない。が、トラクターで田面をゆっくりと均していく作業は下手をすると眠気を催す。代掻きはむずかしい。20日から田植えに入る予定。
【 遠藤 敏信 】


新庄発 … 短信集 … 卯 月

                
2025年4月16日
編 集:遠藤 敏信


 •  ネットワーク農縁 の設立から30年、去る3月22日・23日に新庄で収穫感謝祭を開催しました。生産者と消費者・支援者を含め総勢43名が集いました。餅つきや郷土料理を囲んで交流を深め、農家が直面する多くの課題と現状を共有しました。参加いただいた皆様からの深い励ましと提案に心から感謝申し上げます。

 さて私の実家は農家ではないものの、わずかに山林を所有しており、80代の父が間伐や下草刈り、林道の整備などの管理をしてきました。春の山菜、秋のキノコ類はもちろん、冬の暖房となる薪は山の恵みによるものです。しかし、これらは両親が手をかけてきたからこそのもので、私の世代では手に負えるものではありません。あと何年維持できるか … 。
  手をかけてこその恩恵であり、放置しては何も得られないばかりか、里山の生活にマイナスをもたらす恐れさえあり、そう考えると親のありがたさや偉大さを感じずにはいられません。どうにかして誰もが納得できる代替わりを、前向きに進めていかなければいけないのですが、課題は山積みの状態です。何事も「継ぐ 」ことの難しさを痛感しています。
【 工藤 恵子 】  

 • 現在、就農している生産者の平均年齢が68,5だというが、私は73歳である。村の中では明るいうちに夜上り(廃業)だという。でも同年輩の人達もなかなか決断がつかない。村では受け手になる人ももう拡大は限界だという。貸してはあるが、受け手になる人もいないのである。私は農業は崖っぷちで崩壊寸前であると思っている。だから3月30日の「令和の百姓一揆」にはぜひ参加したいと思っていた。
 繁栄の象徴でもあるグローバル企業のブランド店舗が立ち並ぶ東京・渋谷の表参道を”時給10円“の農民が「限界超えてる。農家を守ろう。今動かなきゃ農業守れない。みんな立ち上がれ。今が正念場」とコールする。好奇の目でデモを見る人もいたが、沿道や歩道橋の上から「頑張れ!」と励ましの声援をくれる人も大勢いた。
 長い間、高い・安い、うまい・まずい、有機・慣行、専業・兼業、作付け面積が大きい・小さい、様々な分断を今改めて乗り越えて生産者・消費費者が日本の農といのちを共に作って行こうという呼びかけだと思った。
【 今田 多一 】

• 新庄での収穫感謝祭では、餅やら納豆汁など多彩な郷土料理を用意しましたが、満足できましたでしょうか。
 春野がはじまり、苗づくりやパイプハウスへのビニールかけとか忙しくなってきました。
 防衛費には43兆円(安全保障費)とか言われますが、国民の職の安全保障にはいったいどれだけの経費があてられているのだろうか。どこかの誰かに言われるままの職の安全なのかな?  
【 吉野 昭男 】

 • 戦争がまぢかに見えてきた。YOASOBI、Ado、藤井 風の歌がそれを教えてくれる。
「 マッチ擦る つかの間の海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや 」
   二十歳の寺山 修司は絶対安静のベッドの上から、父を奪った国家とはなんだ、という問いを、投げかけたのだろう。  
 【 佐藤 恵一 】

 • 3/22~23、「2024年度農縁収穫感謝祭 in 新庄」に参加された皆さんいかがでしたか。
 22日夕から餅つき、納豆汁、その他持ち合わせの田舎ならではの多彩な手料理(切り干し大根の煮物・玉こんにゃく・イノシシ肉・ウルイ・フキノトウの天ぷら、etc.)を食しながらの交歓会。皆さんありがとうございました。
 23日、積もる課題の意見交換会はさながら激論会となりました。いったん決めたことがむし返され、振り出しに戻されるってこと、あるのかよ。農縁スタート時の理念・規範はあるにせよ、時代の変化に対応せず、不変であり続ける必要があるのか、疑問に思いました。
 ともあれ、懐かしい友人・知己との交流会は大変有意義だと思うとともに、こういうことは楽しくなければ、とつくづく思った次第です。
【 遠藤 信子 】

● 「丸くなるな、星になれ!」とは、ビール会社のCMのフレーズだ。これに共感する思いと、反発する思いがある。老爺心ながら、若者にはとんがれ、と言いたい(特に政治において)。老いた者には丸くなれ、と言いたい(特に人間関係において)。 年を重ねたな、と思う。【 むらのじゅうにん 】
                                     
●  我が家では 種まきを700枚づつ4日間隔で3回に分けて行う。2回目の種まきを終えた。 品種は 晩生種から順に、「つや姫」、「雪若丸」、「はえぬき」、「さわのはな」、「あきたこまち」、「ヒメノモチ」の6品種である。何故、品種を多くするか。作期幅 を拡大するため。
 面倒ではないのか。面倒だ。各品種、混ぜてはならないわけだが、特にモチゴメを作る場合、他品種と絶対混ぜてはいけない。だから、種まきはもちろん、田植え機、コンバイン、乾燥機、籾摺り機 等の掃除が大変なのだ。ために、一般的にはモチを植えるのを避ける傾向がある。
 自作地、借用地併せて面積的には手が回る範囲でかなり作っている方だと思う。が、この規模を維持していくのは今年限りにしようと思っている。つまり、縮小したいと考えている。
 政府は、強い農業を構築するために輸出を強化するという方針を立てている(農水省)。45%余の生産調整をしておきながら、である。
今朝の新聞を見て驚いた。財務省が、コメ価格高騰対応巡り、主食用コメの輸入枠拡大を提言したというのだ。45%余の減反を課しておきながら、だ。全く矛盾甚だしい。バカげたこととしか言いようがない。
 また、コメの市場流通を促すために“備蓄米”を放出した。この米は農家から通常出荷価格の半値以下で買い求めた“加工米”の一部が備蓄米と化したものである。なんぼで落札したかは分からないが、これは政府によるボロ儲けの極みなのである。百姓と国民はもっと怒っていい
【 遠藤 敏信 】  


収穫感謝祭 in 新庄
 
1回目の苗だし


新庄発 … 短信集 … 弥 生

 

2025年3月15日
編 集 : 遠藤 敏信


 ♬ 「雪が解けて川になって流れてゆきますー。つくしの子が恥ずかし気に顔を出しますー。」  この季節になると

条件反射的にこの曲が口に出る。とはいえ野にはまだ40cmほどの雪が残る。キャンデーズという女性トリオが歌った曲だ。これが49年前の曲であることに驚く。年月の速さにも驚くばかりだ。


● 3月半ば、ここに来て急激に雪解けが進んでいます。2月に2回の長期寒波で平年並みの積雪量になった感じでもあるが、陽の光りは春の兆しである。
 私が若かった頃、村の戸数は60軒だったが現在は51軒である。この半世紀の農業の衰退で村は確実に瘦せ細っている。
【 今田 多一 】


● 雪の中で余り動くことの少なかった冬の季節のなまった体、この3~4日の天気が良いので今年の種籾の選別作業を始めた。急に動いたためか足腰の筋肉痛でギックリ腰みたいな感じになったので、温泉に行き体を伸ばしてきました。
 昨年は災害の発生が多く、特に山間部の被害地の復旧はまだまだです。今年こそは穏やかな年であってほしいと祈る矢先に岩手の山火事です。何かマイナス分の事柄があまりにも続き、この先不安になります。気を付けなければ。
【 高橋 保広 】


● いつかの農業新聞から … メモ   引き算のブランド作り
 たくさんあるから選ばれない ー、良い商品がいろいろあるのに成果が出ない ー
 長所が沢山あるのに選ばれないー、足し算すると「個性」が弱まる悪循環、
 → 個性の希釈化 → 顧客減少 → 何か売れるものはないか → 品ぞろえの足し算 ↓
 ↑← ← ← ← … … … … … … … … … ← ← ← ← ← ←
資源を有効に活用するためには「何を売らないか」を決めることも重要である。
品ぞろえをむやみに足し算するとブランド力は薄まってゆく。「小学校で「引き算」=減らすこと」と思ってきた。しかし、引き算には減らす引き算だけでなく、生み出す引き算もある。強いブランドを作るためには「積極的な引き算」があることを知る必要があるだろう。 岩崎邦彦・静岡県立大学経営情報学部教授・地域経営研究センター長
今回のコメ相場は誰がブランド力を作ったのかな?
【 吉野 昭男 】


● 新庄に「農家の机」というグループがある。代表が非農家の Webライターで「農家ほど 地に足のついた商売はない」と考えている人である。事務局をされている方がデザイナーでこれまた非農家である。集まっている農家が30~40代で30人近くいる。冬期間は休業状態だが、春から秋にかけて地元のホテルの駐車場を借りて「マルシェ」の開催をはじめとして県内県外へと出かけてネットワークづくりをしている。SNS世代の新しい農の形が 新庄から動きはじめた。 
【 佐藤 恵一 】


● 発足から約30年、農縁の生産者会員は20数名から6名となった。当初コメの価格は農縁で扱うものが高かった。昨今は送料を含めても慣行栽培の普通のコメの市場価格の方が高いという逆転現象が起きてしまった。なぜかを考えてみる。農縁という組織は生消連系、都市と農村の連携、遺伝子組み換えノー、ゲノム編集ノー、などを掲げるが、理念に固執して融通が効かなくなっていはしまいか。結果、ただ高齢化が進み若い世代につながらないことになってしまった。
【 むらのじゅうにん 】


● 先月、実家の父が亡くなった。93歳まじかだった。去年の春までは車を運転し、種まきなど農作業の手伝いに来ていた。いくつになっても、娘可愛さの表われなんだと皆が言う。穏やかな心根の優しい父だった。摂理として死は避けられないものだが、かけがえのない人を亡くしたと思う。ありがとう様でした。
【 遠藤 信子 】


● ツレの父が亡くなった。寡黙で働き者だった。多くの人に慕われた。抗がん剤を投与されながら一言もねをはかなかったという。看護士さんがいう。「多くの患者さんを見てきたが、○○さんのように私達を気遣い、感謝の気持ちを伝えてくれた方はそういない」と。
【 遠藤 敏信 】


早春の息づかい















新庄発 … 短信集 … 如 月

2025年2月15日
編 集 : 遠藤 敏信                               


● 1月末に村の同級生が亡くなった。私の頃は就農すると同時に青年団に加入し、田植えを終えると土洗いと称し温泉地に一泊旅行、稲刈りを終えると、また、刈り上げと言って一泊旅行。春・秋年2回、同じ顔ぶれだから酔うと喧嘩になったりすることもあったが13人一緒の団体行動であった。欠席する者はほとんどいなかった。その後、消防団に入り、同様のことを繰り返してきた。
 村で暮らすには青年団と消防団加入は義務に近いものであり、良くも悪くも団体行動であった。青年団はとうの昔になくなり、消防団はかろうじて残っている。
 私も村で男では10本指に入る年齢になり、年長組である。
【 今田 多一 】

● 11日、テレビで「時給10円という現実 - 消えゆく農民 菅野芳秀を見た。
 2022年、1経営体当たり
 農業粗収益(作物収入・補助金含む) 378万円
 農業経営費(肥料代・光熱費等)   377万円
 農業所得                 1万円
 時給 (労働時間1030時間として 10円(農水省営農類型別経営統計から)
 ということだそうだ。

 大恐竜(都市)はまだまだ進化していくだろうけど、それを充たす空気・水・食糧をいつまでも作り出す小さな恐竜(市町村)たちが育つ場所がいつまでもあるだろうか。ないだろうか。しんぱいです。
【 吉野 昭男 】 


● 若い時スキーに没頭する時期があった。雪焼けで顔を真っ黒にして、鼻水をたらして走っている写真まである。きっとスキーに行ったらただ楽しむことができるだろう。
が、いま、冬を暮らすうえで 雪処理が辛くなってきた。母屋の北側は屋根から落ちた雪によって窓が埋まってしまい、昼でも明かりを点けなければならない状態だ。天気をみて掘り出すのだが、全く嫌な仕事だ。
 ということで、あれほど好きだった冬が、雪は嫌だ、と変節してしまった。残念ながら、とても、老いを感じてしまった。
【 遠藤 信子 】


● 全農山形の県本部が昨年暮れ、新聞に2面通しの意見広告を載せた。「未来につながる原風景を 一つでも多く残したい」、「今日のあたりまえが 未来にもつながるように」
「お茶碗1杯の価格は39円」「菓子パン1個〇〇円」などという言葉が連なる。
 農産物(特にコメ)価格が高騰する中、実は農用資材価格は3年前から50%もの値上げがなされているのである。主食である米は安いに越したことはない。が、生産者にとって対価を補償するものでなければならない、と思う。
【 遠藤 敏信 】






新庄発 … 短信集 … 睦 月

2025年1月15日
編 集 : 遠藤 敏信

謹 賀 新 年

新年が良い年になりますよう お祈りいたします。今年もよろしくお願いします。


●新庄事務局からのお知らせ

ネットワーク農縁「収穫感謝祭」開催について ※日程と会場の詳細案内については別途 今年度は2025年3月22日(土)~23日(日)に、新庄を会場に開催すべく準備を進めております。交通費など参加者の方々にはご負担をおかけしますが、新庄の郷土料理「納豆汁」や餅つき・地酒・春の山菜料理など、ここでしか味わえない振る舞いで皆様をお待ちしています。
先着予約20名様には10,000円の交通費補助を行います!夜の交流会などはオンラインでも参加で来るよう企画していきますので、今のうちからご検討ください。
【 工藤 恵子 】

●村で暮らしていてキリスト教の人と触れ合うことは皆無である。村では田の神、水の神、山の神などの八百万の神と先祖供養と葬式仏教があるが、信仰といえるか疑問。むしろ慣習に近い。
 ネットワーク農縁発足初期の頃、修道院を訪問した時、讃美歌を歌ってほしいとお願いしたら、カトリックでは聖歌というと教えられ、私には異文化に触れた感じでした。
 年を取るとやはり思いで話が多くなる。お互い高齢化したがキリスト教、ユダヤ教、イスラム教について違いや歴史などをレクチャーしてもらう時間がほしかった。   
【 今田 多一 】

●寒中お見舞い申し上げます。今年も宜しくお願い致します。
 ネットワーク農縁を立ち上げ、今年で30年になります。若かったころ、心も体ももえにもえ、人との交流を楽しみ、意識の向上を楽しみ、農業をやる力の支えにも … 。
 あれから30年、ちょっと落ちてきたのかな、それでもひとふんばり、今年もやりますよ、皆さんと一緒に。
 どうか皆様にとって幸多き一年になりますように心よりお祈り申し上げます。
【 高橋 保広 】

●今年もよろしくおつきあいください。
 コロナ禍以来、大きく変わったことといえば葬儀のあり方、正月礼・彼岸礼・盆礼。蜜を避ける結果、近しい親戚以外は見直しが行われ、行ったり来たりの関係は少なくなった。いつ来るかわからない親戚を待つことがなくなったのだ。加えてあれもこれも、という正月料理の品数を減らすことができた。仏前に線香をあげた後は、普通の茶飲み会の情報交換の場になりそれが当たり前になった。コロナ禍がもたらした最も大きな変化ではないかと思うのである。
【 遠藤 信子 】

●先日新聞のコラムに気を取られた。「突然ですが、クイズを一つ。次の○○に当てはまる言葉を入れよ。『今はなくなったが○○は、人間の最大の悪の一つでした』。アルゼンチンの作家ボルヘスの短編をヒントに問題を作ってみた。さて答えは。幻想作家の大家が記した文字は「印刷」。登場人物に語らせた台詞は「それは、入りもしない本をどんどん増やし、あげくの果てに、目をくらませるだけだからです。(「疲れた男のユートピア」)。情報があふれる世界にあって、首肯できる面がある。」― 山形新聞「談話室」から ー
「ふーん、そういう見方もあるのか」と思った。
 ところで、農縁新庄が毎月発行している“短信集”をまとめてみないか、という提案が三原さんから出たことがあったが、却下された経過がある。
 さらにところが、である。農縁の会員でない私の友人が、2011年以来の短信集をファイル化して保存していたのだ。これにはびっくりした。欠号はあるにしても暑さ7cmにも及ぶ大冊なのだ。短信集を遡れば、この倍以上の暑さになるはずだ。農縁は発足して30年に近い。“農縁だよりや”“短信集”はその歴史を語る。拾い集めてコピー化し、ファイルに収めたい。自分を振り返り必要とする者には宝となり、そうでない人には無用のゴミとなる。やがて、無用化するかもしれないが、紙化も必要だ、と改めて思うのだ。
【 遠藤 敏信 】

有田焼の置物  今年は巳年、皆さんのご健勝を祈ります




新庄発 … 短信集 … 霜 月

2024年11月15日
編 集:遠藤 敏信


●冬の準備をやっています。一気にできないから少しづつ。ナスのの片づけ、成長した苗木は、木のように固くなり、枝木剪定ハサミで小さく刻み、スコップで値の部分を掘り起こす。
 茄子とピーマンは7月から10月まで実を着けてくれて本当に助かるが、たくさんあるときは飽きが来てうんざりすることもあるのだが、でも、長くもってくれて有難い。
 そがき(雪囲い)は終えたが物置や作業小屋の整理、7/25の豪雨で崩れた田んぼの畦畔・土手の復旧はこれからだ。
【 今田 多一 】

●天気の中期予報に雪マークが出てきました。冬への備えが急ピッチで進んでいます。大豆やそばを取り入れてビニールハウス内で自然乾燥をしています。頃合いを見て白菜、大根の収穫を  する予定です。
【 遠藤 信子 】                                    

●大豆トラストの圃場、今年はまだ収穫していない。背丈ほどの草がぼうぼうなのだ。新庄農縁の協力者 Nさんが剪定ハサミで草を除いているが、先月の20日から入って、あと数日はかかるという。今年は7月に雨の日が多く、中耕作業ができなかったため、作業に入った時には草が生い茂り、さらに畑の土が固くなりすぎていた。雑草対策は深く反省しなければならない。
ところが、である。Nさん、草刈りから豆刈りに方針を変えたのである。個体数は草よりも豆の方が圧倒的に少ないのだから。いずれにせよ、難儀するばかりの事は避けなければならない。ちなみに、豆畑の写真を撮ろうとカメラを借りると、何と2014年のデータが残っていたのには驚いた。
【 むらのじゅうにん 】

●10月下旬、新聞の訃報欄に覚えのある名があり驚いた。ノスタルジックで感傷的なことを書く。 
 約50年前に一緒になりたいと思った人の名だった。本好き甘ったれで、しかしきちんとものをいう利発な娘(こ)だった。農家の長女で跡取り娘として育てられた。農家の長男として生まれ育った私と心を通じ合うのは当たり前だったといえる。

 当時私は金もなければ意気地もないヘナチョコだった。会うことがなかなか難しく、映画をともに見たこともなく、共有体験はほとんどなかった。連絡の多くは手紙だった。『○月○日、○時頃電話する』などということを書いたこともあったように思う。数年前、部屋を片付けていたら、処分したつもりの手紙が袋詰めで出てきた。読み返すとムショーに懐かしさが湧いた。
彼女の昔の友人に動向を伺った。20数年前に脳腫瘍を患い大きな手術をしたという。
私の記憶など失せたかもしれなかった。
いざ訃報に接すると、体の力が抜けた。供養のためにかの地の地酒を求め、したたかに飲んだ。酔うために … 。
彼女の家に一度行ったことがある。母親の言葉がとても印象に残っている。
「うちの娘を好きになってけで、おしょうしな」
安らかなご冥福を 心より 祈る。    合掌。
【 遠藤 敏信 】




新庄発 … 短信集 … 神 無 月

2024年10月15日
編集 : 遠藤 敏信

天 候 不 順 の 秋 を の り こえ て
 ●10月に入ってようやく少しづつ秋らしくなってきました。温暖化に伴い年々夏が長くなっているようで暑い日が遅くまで続きます。今年スーパーなどで売られているおコメの値段の高いのには驚きました。
 昨年高温障害で不作になり品薄になっていましたが今年も7~8月の雨の多い天候で収穫量は全国的に良くなかったようで新米が流通し始めても価格が下がらないようです。もともとお米の生産費が年々高騰していき生産するのが大変になっている時代です。すべての物価が上がっているのでやむをえませんがこのままではお米の生産農家が激減してお米を作る人がいなくなるのではないかと生産者の私達が心配するほどです。実際80戸ある私の村は全戸多かれ少なかれお米を作っていたのですが年々栽培農家が減り今では半分ほどになりました。
 稲作農家1時間当たりの時給10円これでは生活ができません。手作業の多い有機栽培はほとんど0円に近い時給です。今月から農縁のお米の価格を上げさせていただきましたがご理解いただきたいと思います。
 それと7月27日の集中豪雨による災害に支援金を送っていただいた皆さんにあらためてお礼を申し上げます。有効に使わせていただきました。     10/12
【 星川 公見 】 

●この年齢になると稲刈りを終えることができたことにホッとしている。
この秋、同じ集落の人2人からコメを分けてほしいと頼まれた。何年か前から高齢により農業をやめた人と昨年から全耕作地を貸した方である。農業共済新聞によると、現在基本的農業従事者数は116万人だそうだ。そして、20年後に30万人に減る見込みだという。
 新規就農者の数が医者になる人より少ないといわれて久しいが、今100%自給可能な米も困難になるかもしれないともいう。私も作る人から買う側に回るのも近い。
【 今田 多一 】

●「 墓一つ 残して稲を 刈りつくす 」 ( 作者不詳 )
 今年の稲刈りは昨年より1週間早く、9月10日からはじめた。秋分の日までには8割ほど刈り取り、こころにゆとりができる彼岸となり先祖の供養ができた。
 正月、春彼岸、お盆、秋彼岸と親族との交流はあったのだが、コロナ以降全くなくなってしまった。
 虚礼廃止や生活改善にはプラスになるのだろうが、とてもさみしい気がする。無縁社会が深化し、人と人との関係がデジタルにおきかわり、自然と向き合うことがなくなってしまった現代。
「民俗学」という学問がこれから存続できるのだろうか、ふと考えた。腰に手ぬぐいをぶら下げた彼のうしろ姿と共に。 
Sumiyakist・Q【 佐藤 恵一 】

●今年の稲刈りは難渋しました。9月10日から10月13日まで1か月余を要しました。
9月20の強い雨で、イネが倒伏し、特に早生種のあきたこまちに至ってはほぼ全倒伏という状態に。作期幅の拡大を図るために早刈りができる、ということで作付けしてきましたが、来年は植えないつもりでいます。
 以前、9月の彼岸の頃に稲刈りを始めていたころ、神室連峰の中腹当たりに紅葉を目で確認したものです。このころから「紅葉は里に下りてくる」と感じたのでした。ところが、今年は山肌の色づきをまだ確認できていません。考えられることは暖かかったこと、寒暖さがなかったこと、みたいです。連峰の尾根道が目に浮かびます。でも、ひざの故障でもう登れない。
 総理が変わったとたんに、国会でろくな論戦もしないうちに衆議院が解散、総選挙となった。先日テレビを見ていたら、裏金作りに関わった議員が出ていて、政権党を非公認になった事で、あろうことか「どうかわたしを助けてください。」などとほざいていた。国民のために働かなければならない人間が何をバカなことを言ってるんだ。この国はどこを向いて進むのだろう。
【 遠藤 敏信 】