新庄発 … 短信集 … 文  月

 2025年7月15日
編集 : 遠藤 敏信

● 農家は収入から経費を引くと手元に残るのはごくわずか…肥料代、ガソリンや軽油の燃料代や電気代、繁忙期に人を頼めば人件費もかかり、消費者に届けるにも運送代がかかり、表示のためのシール作成や印刷にかかる外注費、袋代なども経費として負担しています。これらの価格は年々上がる一方で、この先も下がる目途が立ちません。
 ネットワーク農縁設立から30年がたち、消費者の皆さんに在来作物の栽培や有機農業、遺伝子組み換え作物反対の運動に興味を持ってもらい、手に取ってもらえるように…と、できる限り値上げをせずやってきました。消費者の方々との繋がりを最優先したいとの想いからですが、いまや農縁米の価格は世の中の慣行米よりも安く、令和の米不足の状況下では、理念や活動への理解は置き去りに、単に安い有機米がネットで購入できる!と思った方からの注文も見られるようになりました。「本当に無農薬栽培か?訳アリでは?」と、その信頼性を問う心配の声も上がっているようです。この、『価格と価値のねじれ』をどうにかしなければ…と感じているところです。
 さて、農家の担い手不足は深刻です。自分の子供に継いでほしいといえないのは切ない。次の世代が誇りをもって農業を続けていけるよう、希望を見いだせるようにすることもネットワーク農縁の重要な課題の一つです。適正な価格での販売も進めていかなければ、この先、確実にきえてしまうという危機感をお察しいただきたいと思います。苦渋の選択ではありますが、9月以降の新米からは新しい価格を提示させていただくことになりそうです。慎重に検討した上で、8月頃には新価格(送料負担の見直しも含む)を具体的にお知らせしたいと考えております。どうぞご理解いただけますようお願い申し上げます。
ネットワーク農縁新庄事務局【 工藤 恵子 】


この参議院選で、米不足を受けて「減反政策を見直す」と言う。今さら言われても私の場合、大豆とエン麦を毎年交互に減反作付けしているが、もし田んぼに戻せと言われても畦畔を取り払い、何十年も畑として使ってきたものをそう簡単には田んぼに戻せない。ユンボなどの、大型重機を入れ整地し直さなければならないのだ。
 そしてメディアへの出番の多い小泉進次郎は農協批判。農協改革と称し、農協の株式会社化を言い始めている。大資本に農協を売り渡せと聞こえる。農協改革ではなく、農協解体を目指しているように見える
【 今田 多一 】

● 「SDGsは大衆のアヘンである」にはじまる斉藤幸平の著書「人新生の資本論」は
60万部に達しようとしている。私の身近なところで、読んで感動したという声は、5人をこえている。読みっぱなしでは、もったいないので、若い方々に「リーデングス・斉藤幸平」という読書会を提案したい。
1867年(今から158年前)に、マルクスが「資本論」を著し、その中で資本主義が行き詰まる原因として4つをあげている。
① 人々が許容できないほどに、経済格差が広がる。
② 地球環境が破壊される。
③ 少子化が止まらない。
④ どうでもいいような仕事が増える。
 100年前も200年前も資本主義の本質は変わらない。「資本という化け物が口から赤い血を滴らせながら、労働者・農民を食い散らかしている」
 いきなり読書会というよりは、矢野コーヒー(米仙人)を飲みながらのおしゃべり会をしてはどうだろうか。映像はたくさんある。
〇斉藤幸平と坂本龍一  〇落合陽一とオードリータン  〇エンデの遺言とお金の話  等。
のんびり、ゆっくり、気長にやりましょう。
【 佐藤 恵一 】

● 前年2024年7月25日に豪雨災害があり、田んぼが埋まり、田んぼが流されたりした。国が何とかしてくれる、来年の春には回復しているだろうと思ったが、さすがに生産者ひとりの山奥にはなかなか工事が来なかった。ひとりの声はかぼそくて非効率の農地はあとまわし、妥当な選択肢だし優先順位は低い。大きなインフラは工事をしてくれるが、段々田んぼの個人的な工事はもちろん自分達で田植えシーズンが始まりなかなか同時進行とは行かなかった。田んぼは誰か専門業者が作り、、農家は使うだけ、そんな人もいるだろうが自分の理想は自分で作らなければならない。水の流れ水のたまり調整していくものだから、田植えまでの助走はすごくかかる。
 実は農家は土木作業がメインだと思う。水が来た喜び、水が満ちる喜び、それを一番伝えたい。そしてお金もかかる。出費は燃料代だけではない。今この国は、山から広葉樹をなくし中山間地の田んぼを非効率だと放棄させてる。広葉樹特にブナは水を貯める水田そのものがダムの機能を果たす。山や田んぼは川をせき止めないダムなんだよ。地域の古老がブナを切り、護岸をコンクリートで固めたから洪水が起こった、そう意気込んで語っていた。里を守るのは里山だったり、自分が稲作をしている中山間地の田んぼだと思っている。効率が優先され、誰もいなくなった全員農家みたいな地域から農家はいなくなった。無農薬・無化学肥料・天日干しをそんな農業をやりながら効率化お金儲けばかりが全てじゃない、気候変動、洪水から暮らしを守る農業・林業、たくさん仲間を集めて学んで実績して共有して、またこの一年やっていきます。是非遊びにきてください。
【 矢野 雄彦 】 

● 先日、初めて少し遠出をして温泉・観光地を巡りました。題して「兄妹会」、3組6人の行き当たりばったりの小旅行、なかなかにいいものだと思いました。が、帰ってみると、畑の畝間には草が目立ち始め、ブルーベリー摘みも忙しくなってきています。               【 遠藤 信子 】

● 「マナグ メネェ。ミミハ キケネェ。アシハ モツレ、ツマヅキコロブ。チョット ウゴグド、ムネァ、トカトカスル」。そんなことをこのところ実感することしきり、なのです。カタカナ語の意味、眼が遠くなった。耳も遠くなった。足も弱り、躓き転ぶ。少し動くと胸がトカトカする。

この度の参院選挙、与党の過半数割れを心待ちにしている自分がいます。
【 遠藤 敏信 】


新庄発 … 短信集 … 水 無 月

 2025年6月15日
編集:遠藤 敏信

● 随意契約の備蓄米の放出に大勢の人が並び買い求める姿がテレビで毎日流される。今まで食の多様化で米の消費量が減る一方で、米は余っていると政府は発表していたのに、主食の米を並んでまで求めなければならない状況は、やはりおかしい! 同じ放出でも大企業のため込んでいる内部保留金も放出させる政策を出してほしい。
【 今田 多一 】

● 令和4年、5年産米の加工用米の単価は、仮渡し金(包装代、消費税込み)で
6000円でした。玄米1㎏当たり100円です。それが色々と、加工用米がどのような経緯で備蓄米になるのか、私たち農家はわからない。まだまだ政府はもうかりますな?

 【 吉野 昭男 】
(註) JAの担当者によると「備蓄米は、主食用米を区分して保管し、コメ価格を安定させる仕組みで加工用米と同様に生産調整に扱われます。価格は主食用米並みで政府が買い上げ販売できるメリットがあるため、加工用米の場合より高く精算できます。精算の際は申し込みいただいた加工用米うるち米の中から、共同計算の中で公平に精算いたします」との事。

● 大変な騒ぎになっています。備蓄米の放出・販売です。何年もかけためてきたもの、災害なんかの対策用の備蓄米です。5~6年も前からためてきた米も在庫も少なくなってきているとのテレビの情報ですが、今年生産された米から又備蓄米として確保されるのか。何か大変な事がなければいいのですがと、老婆心なんですが想うのです。なぜ国の食の自給率を上げようとしないのか。 不思議な国、日本です。
【 高橋 保廣 】

● 連日、お米の価格がニュースで話題になっています。古米(2023年産)・古古米
(2022年産)・古古古米(2021年産)、といったワードは、一般消費者にとって馴染みのないものだったのではないでしょうか?街頭インタビュー等で備蓄米の購入について問われると、「安いにこしたことはない」「食べられれば安い方を買う」「古いお米って、味はどうなの?と思うので周りの評判を聞いてから … 」「これまで食べてきたお米が手に入るのであれば高めでもそれを買い続けたい」といったように、考え方は様々です。価格の安定もさることながら、一番の問題点は供給の安定です。それには米農家が抱えている課題や不安を少しでも払拭することこそが必要不可欠なのに、目先のことだけにとらわれていては、こうした米騒動はこれから何度でも起こりうると思います。
 一年間手間ひまかけて作ったお米の値段を農家が決められないばかりか、品質を担保するにはある程度の設備が必要だったり、販売する場合の表示においても定められたものをクリアするために袋やシール等を外注しなければならない … 大変さばかりが目につきます。どうにかならないものでしょうか?! 若い世代が農業を続けていけるような希望を持てる農政を望んでやみません。
【 工藤 恵子 】

● 中耕除草を始めました。5月下旬に植えたばかりの幼い稲の条間に雑草が目立ちだしました。慣行栽培の田んぼでさえそうなのだから、有機・無農薬栽培の圃場は推して知るべしと言えます。稲づくりにおいては、雑草対策が最大の課題なのかもしれません。
 先日スーパーに行って驚きました。昨年夏からの米価格の高騰で、お店に並ぶ米の価格が農縁で扱う無農薬栽培米より高く設定されているのです。昨年暮れあたりに始まり米のネット注文などが増えた感がありました。昨年夏の轍を踏むまいと4月に新規の方の注文受付の停止を要請したところです。なぜなら、旧くからの顧客を優先したいからです。
【 遠藤 信子 】

●  この季節の山菜は”ミズ”。私はこれが好きで、特にミズ汁(味噌仕立て:ジャガイ・・・・
と、ここまで打ってパソコンが固まってしまった。一旦消したら、今度は立ち上がらなくなってしまった。何回も試みたが駄目で、ツレのものを借りて再打ち込みを行った。そのため、今夜の例会を欠席。短信も中途半端で、終り。
【 遠藤 敏信 】

中耕除草









新庄発 … 短信集 … 皐 月

2025年5月15日
編 集:遠藤 敏信


●天気が長続きせず、田が乾かず田起こしが遅れ気味だったが軟弱な田を無理やり興起し、代掻きを始めた。
 コメの小売価格の高騰を数多くのテレビが伝える。法人化している生産農家の声は出てくるが、中山間地の現場や家族経営の農家の声はあまり出てこない。
【 今田 多一 】

●慌ただしくなる田んぼ、山々の緑も鮮やかになるこの季節、朝起きるのも冬に比べて苦ではなくなり、一日の行動時間が長くなるようで嬉しい。
 さて、高校生の娘が長距離通学をしているため、5時前に起きてお弁当と朝食を作るのだが、最近の娘の口癖「ご飯を食べている時が一番幸せ、特に午前中にキツい教科があった日はお弁当が癒し。」年齢の割には食の好みは渋く、お味噌汁や煮物、この時期ならではの山菜料理も好んで食べる。
 話しは変わるが、新庄最上有機農業者協会の佐藤あい子さんが3月に亡くなられ、先日、手を合わせる機会があったため、ようやく採れたタラの芽とコシアブラ(ウコギ科コシアブラ属)の天ぷらを仏前にあげた。あい子さんにはワラビやアイコ、ウルイなど、お裾分けと称してよく会いに行っていたので、また食べさせたかったなぁ … としんみりしてしまったのだが、自宅に帰ると、偶然にも同じ名前の娘(愛子)が「この天ぷら、もっとたべてもいい?」とたくさん食べてくれた。あい子さんがよく言っていた「人の体は食べたものでできているの。美味しいって言って食べることで、心ができていくの。」そんなことを思い出しながら、山里の春の恵みを家族とともにありがたくいただく毎日を過ごしている。          【 工藤 恵子 】

●新庄は雨降りが続き、田起こし、代掻き、田植えの準備が遅れがちです。先日、堰掃除に行ったが関係者は昔みたいに集まらない。農家が減ったためなのか。 以前は豊かだった農地は今は住宅地となり、エライ人が農地を大きくまとめて作った方がより効率が良くコメなどを作れるのではないかという。ひら野で良質だった大地に住みながら、何を言っているのか、と思う。
 そんな大きな日本では、そんなに良い農地でやっていける人はそんなに多くいるのかな?                               【 吉野 昭男 】

●先の日曜日、仙台からIさんが草刈りを手伝いたいとやってきました。Iさんとは、東日本大震災のあと、炊き出し支援で宮城を中心に何度か出かけましたが、その際知り合いになり、以来、交流が続いています。新庄のそば祭りなど年に2,3回仲間とともに訪れていました。いよいよ援農ですか。縁とは全く不思議なものです。
 ここで、もう一つ。事務局の工藤さんが山菜のことを書いています。私も山どこ育ちなので、ひときわ山菜とは馴染みが深い関係にあります。ところが、私が育ったところではコシアブラを食べる習慣がありませんでした。鳥越に来て、裏山にすぐコシアブラが芽吹き、春のG・Wあたりに天ぷらやおひたしで食べることを知りました。特に「すごい」とottotto が感動したのが、茹でて細かく刻んだものをご飯に混ぜ合わせた物。
Ottotto曰く「これぞ山の香り、独特の香り、すごい!」と。さすがに美味しいです。
山の恵みよ、ありがとう。                   
【 遠藤 信子 】

●代掻き作業の真っ最中です。しらさぎ、カラス、ムクドリなどの鳥類がおびただしく虫を求めて寄ってきて素早く口ばしで虫をついばむ。見ている分には飽きが来ない。が、トラクターで田面をゆっくりと均していく作業は下手をすると眠気を催す。代掻きはむずかしい。20日から田植えに入る予定。
【 遠藤 敏信 】


新庄発 … 短信集 … 卯 月

                
2025年4月16日
編 集:遠藤 敏信


 •  ネットワーク農縁 の設立から30年、去る3月22日・23日に新庄で収穫感謝祭を開催しました。生産者と消費者・支援者を含め総勢43名が集いました。餅つきや郷土料理を囲んで交流を深め、農家が直面する多くの課題と現状を共有しました。参加いただいた皆様からの深い励ましと提案に心から感謝申し上げます。

 さて私の実家は農家ではないものの、わずかに山林を所有しており、80代の父が間伐や下草刈り、林道の整備などの管理をしてきました。春の山菜、秋のキノコ類はもちろん、冬の暖房となる薪は山の恵みによるものです。しかし、これらは両親が手をかけてきたからこそのもので、私の世代では手に負えるものではありません。あと何年維持できるか … 。
  手をかけてこその恩恵であり、放置しては何も得られないばかりか、里山の生活にマイナスをもたらす恐れさえあり、そう考えると親のありがたさや偉大さを感じずにはいられません。どうにかして誰もが納得できる代替わりを、前向きに進めていかなければいけないのですが、課題は山積みの状態です。何事も「継ぐ 」ことの難しさを痛感しています。
【 工藤 恵子 】  

 • 現在、就農している生産者の平均年齢が68,5だというが、私は73歳である。村の中では明るいうちに夜上り(廃業)だという。でも同年輩の人達もなかなか決断がつかない。村では受け手になる人ももう拡大は限界だという。貸してはあるが、受け手になる人もいないのである。私は農業は崖っぷちで崩壊寸前であると思っている。だから3月30日の「令和の百姓一揆」にはぜひ参加したいと思っていた。
 繁栄の象徴でもあるグローバル企業のブランド店舗が立ち並ぶ東京・渋谷の表参道を”時給10円“の農民が「限界超えてる。農家を守ろう。今動かなきゃ農業守れない。みんな立ち上がれ。今が正念場」とコールする。好奇の目でデモを見る人もいたが、沿道や歩道橋の上から「頑張れ!」と励ましの声援をくれる人も大勢いた。
 長い間、高い・安い、うまい・まずい、有機・慣行、専業・兼業、作付け面積が大きい・小さい、様々な分断を今改めて乗り越えて生産者・消費費者が日本の農といのちを共に作って行こうという呼びかけだと思った。
【 今田 多一 】

• 新庄での収穫感謝祭では、餅やら納豆汁など多彩な郷土料理を用意しましたが、満足できましたでしょうか。
 春野がはじまり、苗づくりやパイプハウスへのビニールかけとか忙しくなってきました。
 防衛費には43兆円(安全保障費)とか言われますが、国民の職の安全保障にはいったいどれだけの経費があてられているのだろうか。どこかの誰かに言われるままの職の安全なのかな?  
【 吉野 昭男 】

 • 戦争がまぢかに見えてきた。YOASOBI、Ado、藤井 風の歌がそれを教えてくれる。
「 マッチ擦る つかの間の海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや 」
   二十歳の寺山 修司は絶対安静のベッドの上から、父を奪った国家とはなんだ、という問いを、投げかけたのだろう。  
 【 佐藤 恵一 】

 • 3/22~23、「2024年度農縁収穫感謝祭 in 新庄」に参加された皆さんいかがでしたか。
 22日夕から餅つき、納豆汁、その他持ち合わせの田舎ならではの多彩な手料理(切り干し大根の煮物・玉こんにゃく・イノシシ肉・ウルイ・フキノトウの天ぷら、etc.)を食しながらの交歓会。皆さんありがとうございました。
 23日、積もる課題の意見交換会はさながら激論会となりました。いったん決めたことがむし返され、振り出しに戻されるってこと、あるのかよ。農縁スタート時の理念・規範はあるにせよ、時代の変化に対応せず、不変であり続ける必要があるのか、疑問に思いました。
 ともあれ、懐かしい友人・知己との交流会は大変有意義だと思うとともに、こういうことは楽しくなければ、とつくづく思った次第です。
【 遠藤 信子 】

● 「丸くなるな、星になれ!」とは、ビール会社のCMのフレーズだ。これに共感する思いと、反発する思いがある。老爺心ながら、若者にはとんがれ、と言いたい(特に政治において)。老いた者には丸くなれ、と言いたい(特に人間関係において)。 年を重ねたな、と思う。【 むらのじゅうにん 】
                                     
●  我が家では 種まきを700枚づつ4日間隔で3回に分けて行う。2回目の種まきを終えた。 品種は 晩生種から順に、「つや姫」、「雪若丸」、「はえぬき」、「さわのはな」、「あきたこまち」、「ヒメノモチ」の6品種である。何故、品種を多くするか。作期幅 を拡大するため。
 面倒ではないのか。面倒だ。各品種、混ぜてはならないわけだが、特にモチゴメを作る場合、他品種と絶対混ぜてはいけない。だから、種まきはもちろん、田植え機、コンバイン、乾燥機、籾摺り機 等の掃除が大変なのだ。ために、一般的にはモチを植えるのを避ける傾向がある。
 自作地、借用地併せて面積的には手が回る範囲でかなり作っている方だと思う。が、この規模を維持していくのは今年限りにしようと思っている。つまり、縮小したいと考えている。
 政府は、強い農業を構築するために輸出を強化するという方針を立てている(農水省)。45%余の生産調整をしておきながら、である。
今朝の新聞を見て驚いた。財務省が、コメ価格高騰対応巡り、主食用コメの輸入枠拡大を提言したというのだ。45%余の減反を課しておきながら、だ。全く矛盾甚だしい。バカげたこととしか言いようがない。
 また、コメの市場流通を促すために“備蓄米”を放出した。この米は農家から通常出荷価格の半値以下で買い求めた“加工米”の一部が備蓄米と化したものである。なんぼで落札したかは分からないが、これは政府によるボロ儲けの極みなのである。百姓と国民はもっと怒っていい
【 遠藤 敏信 】  


収穫感謝祭 in 新庄
 
1回目の苗だし


新庄発 … 短信集 … 弥 生

 

2025年3月15日
編 集 : 遠藤 敏信


 ♬ 「雪が解けて川になって流れてゆきますー。つくしの子が恥ずかし気に顔を出しますー。」  この季節になると

条件反射的にこの曲が口に出る。とはいえ野にはまだ40cmほどの雪が残る。キャンデーズという女性トリオが歌った曲だ。これが49年前の曲であることに驚く。年月の速さにも驚くばかりだ。


● 3月半ば、ここに来て急激に雪解けが進んでいます。2月に2回の長期寒波で平年並みの積雪量になった感じでもあるが、陽の光りは春の兆しである。
 私が若かった頃、村の戸数は60軒だったが現在は51軒である。この半世紀の農業の衰退で村は確実に瘦せ細っている。
【 今田 多一 】


● 雪の中で余り動くことの少なかった冬の季節のなまった体、この3~4日の天気が良いので今年の種籾の選別作業を始めた。急に動いたためか足腰の筋肉痛でギックリ腰みたいな感じになったので、温泉に行き体を伸ばしてきました。
 昨年は災害の発生が多く、特に山間部の被害地の復旧はまだまだです。今年こそは穏やかな年であってほしいと祈る矢先に岩手の山火事です。何かマイナス分の事柄があまりにも続き、この先不安になります。気を付けなければ。
【 高橋 保広 】


● いつかの農業新聞から … メモ   引き算のブランド作り
 たくさんあるから選ばれない ー、良い商品がいろいろあるのに成果が出ない ー
 長所が沢山あるのに選ばれないー、足し算すると「個性」が弱まる悪循環、
 → 個性の希釈化 → 顧客減少 → 何か売れるものはないか → 品ぞろえの足し算 ↓
 ↑← ← ← ← … … … … … … … … … ← ← ← ← ← ←
資源を有効に活用するためには「何を売らないか」を決めることも重要である。
品ぞろえをむやみに足し算するとブランド力は薄まってゆく。「小学校で「引き算」=減らすこと」と思ってきた。しかし、引き算には減らす引き算だけでなく、生み出す引き算もある。強いブランドを作るためには「積極的な引き算」があることを知る必要があるだろう。 岩崎邦彦・静岡県立大学経営情報学部教授・地域経営研究センター長
今回のコメ相場は誰がブランド力を作ったのかな?
【 吉野 昭男 】


● 新庄に「農家の机」というグループがある。代表が非農家の Webライターで「農家ほど 地に足のついた商売はない」と考えている人である。事務局をされている方がデザイナーでこれまた非農家である。集まっている農家が30~40代で30人近くいる。冬期間は休業状態だが、春から秋にかけて地元のホテルの駐車場を借りて「マルシェ」の開催をはじめとして県内県外へと出かけてネットワークづくりをしている。SNS世代の新しい農の形が 新庄から動きはじめた。 
【 佐藤 恵一 】


● 発足から約30年、農縁の生産者会員は20数名から6名となった。当初コメの価格は農縁で扱うものが高かった。昨今は送料を含めても慣行栽培の普通のコメの市場価格の方が高いという逆転現象が起きてしまった。なぜかを考えてみる。農縁という組織は生消連系、都市と農村の連携、遺伝子組み換えノー、ゲノム編集ノー、などを掲げるが、理念に固執して融通が効かなくなっていはしまいか。結果、ただ高齢化が進み若い世代につながらないことになってしまった。
【 むらのじゅうにん 】


● 先月、実家の父が亡くなった。93歳まじかだった。去年の春までは車を運転し、種まきなど農作業の手伝いに来ていた。いくつになっても、娘可愛さの表われなんだと皆が言う。穏やかな心根の優しい父だった。摂理として死は避けられないものだが、かけがえのない人を亡くしたと思う。ありがとう様でした。
【 遠藤 信子 】


● ツレの父が亡くなった。寡黙で働き者だった。多くの人に慕われた。抗がん剤を投与されながら一言もねをはかなかったという。看護士さんがいう。「多くの患者さんを見てきたが、○○さんのように私達を気遣い、感謝の気持ちを伝えてくれた方はそういない」と。
【 遠藤 敏信 】


早春の息づかい















新庄発 … 短信集 … 如 月

2025年2月15日
編 集 : 遠藤 敏信                               


● 1月末に村の同級生が亡くなった。私の頃は就農すると同時に青年団に加入し、田植えを終えると土洗いと称し温泉地に一泊旅行、稲刈りを終えると、また、刈り上げと言って一泊旅行。春・秋年2回、同じ顔ぶれだから酔うと喧嘩になったりすることもあったが13人一緒の団体行動であった。欠席する者はほとんどいなかった。その後、消防団に入り、同様のことを繰り返してきた。
 村で暮らすには青年団と消防団加入は義務に近いものであり、良くも悪くも団体行動であった。青年団はとうの昔になくなり、消防団はかろうじて残っている。
 私も村で男では10本指に入る年齢になり、年長組である。
【 今田 多一 】

● 11日、テレビで「時給10円という現実 - 消えゆく農民 菅野芳秀を見た。
 2022年、1経営体当たり
 農業粗収益(作物収入・補助金含む) 378万円
 農業経営費(肥料代・光熱費等)   377万円
 農業所得                 1万円
 時給 (労働時間1030時間として 10円(農水省営農類型別経営統計から)
 ということだそうだ。

 大恐竜(都市)はまだまだ進化していくだろうけど、それを充たす空気・水・食糧をいつまでも作り出す小さな恐竜(市町村)たちが育つ場所がいつまでもあるだろうか。ないだろうか。しんぱいです。
【 吉野 昭男 】 


● 若い時スキーに没頭する時期があった。雪焼けで顔を真っ黒にして、鼻水をたらして走っている写真まである。きっとスキーに行ったらただ楽しむことができるだろう。
が、いま、冬を暮らすうえで 雪処理が辛くなってきた。母屋の北側は屋根から落ちた雪によって窓が埋まってしまい、昼でも明かりを点けなければならない状態だ。天気をみて掘り出すのだが、全く嫌な仕事だ。
 ということで、あれほど好きだった冬が、雪は嫌だ、と変節してしまった。残念ながら、とても、老いを感じてしまった。
【 遠藤 信子 】


● 全農山形の県本部が昨年暮れ、新聞に2面通しの意見広告を載せた。「未来につながる原風景を 一つでも多く残したい」、「今日のあたりまえが 未来にもつながるように」
「お茶碗1杯の価格は39円」「菓子パン1個〇〇円」などという言葉が連なる。
 農産物(特にコメ)価格が高騰する中、実は農用資材価格は3年前から50%もの値上げがなされているのである。主食である米は安いに越したことはない。が、生産者にとって対価を補償するものでなければならない、と思う。
【 遠藤 敏信 】






新庄発 … 短信集 … 睦 月

2025年1月15日
編 集 : 遠藤 敏信

謹 賀 新 年

新年が良い年になりますよう お祈りいたします。今年もよろしくお願いします。


●新庄事務局からのお知らせ

ネットワーク農縁「収穫感謝祭」開催について ※日程と会場の詳細案内については別途 今年度は2025年3月22日(土)~23日(日)に、新庄を会場に開催すべく準備を進めております。交通費など参加者の方々にはご負担をおかけしますが、新庄の郷土料理「納豆汁」や餅つき・地酒・春の山菜料理など、ここでしか味わえない振る舞いで皆様をお待ちしています。
先着予約20名様には10,000円の交通費補助を行います!夜の交流会などはオンラインでも参加で来るよう企画していきますので、今のうちからご検討ください。
【 工藤 恵子 】

●村で暮らしていてキリスト教の人と触れ合うことは皆無である。村では田の神、水の神、山の神などの八百万の神と先祖供養と葬式仏教があるが、信仰といえるか疑問。むしろ慣習に近い。
 ネットワーク農縁発足初期の頃、修道院を訪問した時、讃美歌を歌ってほしいとお願いしたら、カトリックでは聖歌というと教えられ、私には異文化に触れた感じでした。
 年を取るとやはり思いで話が多くなる。お互い高齢化したがキリスト教、ユダヤ教、イスラム教について違いや歴史などをレクチャーしてもらう時間がほしかった。   
【 今田 多一 】

●寒中お見舞い申し上げます。今年も宜しくお願い致します。
 ネットワーク農縁を立ち上げ、今年で30年になります。若かったころ、心も体ももえにもえ、人との交流を楽しみ、意識の向上を楽しみ、農業をやる力の支えにも … 。
 あれから30年、ちょっと落ちてきたのかな、それでもひとふんばり、今年もやりますよ、皆さんと一緒に。
 どうか皆様にとって幸多き一年になりますように心よりお祈り申し上げます。
【 高橋 保広 】

●今年もよろしくおつきあいください。
 コロナ禍以来、大きく変わったことといえば葬儀のあり方、正月礼・彼岸礼・盆礼。蜜を避ける結果、近しい親戚以外は見直しが行われ、行ったり来たりの関係は少なくなった。いつ来るかわからない親戚を待つことがなくなったのだ。加えてあれもこれも、という正月料理の品数を減らすことができた。仏前に線香をあげた後は、普通の茶飲み会の情報交換の場になりそれが当たり前になった。コロナ禍がもたらした最も大きな変化ではないかと思うのである。
【 遠藤 信子 】

●先日新聞のコラムに気を取られた。「突然ですが、クイズを一つ。次の○○に当てはまる言葉を入れよ。『今はなくなったが○○は、人間の最大の悪の一つでした』。アルゼンチンの作家ボルヘスの短編をヒントに問題を作ってみた。さて答えは。幻想作家の大家が記した文字は「印刷」。登場人物に語らせた台詞は「それは、入りもしない本をどんどん増やし、あげくの果てに、目をくらませるだけだからです。(「疲れた男のユートピア」)。情報があふれる世界にあって、首肯できる面がある。」― 山形新聞「談話室」から ー
「ふーん、そういう見方もあるのか」と思った。
 ところで、農縁新庄が毎月発行している“短信集”をまとめてみないか、という提案が三原さんから出たことがあったが、却下された経過がある。
 さらにところが、である。農縁の会員でない私の友人が、2011年以来の短信集をファイル化して保存していたのだ。これにはびっくりした。欠号はあるにしても暑さ7cmにも及ぶ大冊なのだ。短信集を遡れば、この倍以上の暑さになるはずだ。農縁は発足して30年に近い。“農縁だよりや”“短信集”はその歴史を語る。拾い集めてコピー化し、ファイルに収めたい。自分を振り返り必要とする者には宝となり、そうでない人には無用のゴミとなる。やがて、無用化するかもしれないが、紙化も必要だ、と改めて思うのだ。
【 遠藤 敏信 】

有田焼の置物  今年は巳年、皆さんのご健勝を祈ります