新庄発 … 短信集 … 皐 月

2023年5月15日
文責 : 遠藤 敏信

● 昨年農作業所の階段から飛び降り着地が悪かったのか足を骨折してしまう。最後の米の収穫作業中だった。病院にいくのは歯医者の他には健康診断ぐらいで治療をするような怪我や病気など無かったので自分でも驚いた。2週間の入院だったが入院している間は春になって農作業が出来るか心配だった。退院して冬の間は雪掻きなどできるだけ身体を動かして体力を付けるように心がけていたが農作業が始まり忙しくなってくると自然に身体が動いて普通に作業が出来たので心配するほどでも無かったようだ、良かったことは息子が進んで手伝いをするようになった。
 田んぼの畔の1坪ほどの場所だが日本在来のタンポポが群生しているところがある。在来種のタンポポを見つけるのが大変な時代だその場所は大切にしている。今そのタンポポが満開になっている。
【 星川 広見 】

● 「ゆうきでぇ~す。げんきでぇ~すか」こもったような声で電話がくる。話がはずんでくるといつものように「農水省のバカ役人ども」、「文化庁のアホ、文化の意味もわかっていない」いつもの結城節である。
 意外なことに「地域おこし協力隊」というのは、彼のアドバイスで実現したものであることを知った。「農文協の甲斐さんを通して、総務省の審議官(大臣・次官に次ぐNo.3)が彼の家にやってきたという。
「“緑のふるさと協力隊”というのを実施しているが全く実績が上がらないので何とかならないだろうか」と相談されたという。そのときのアドバイスをもとにしてできたのが「地域おこし協力隊」だという。初年度の応募が50数名だったのが、今は6500名を超えているという。若者の移住・定住に貢献する事業となっている。
 ただ、最近の結城さんも弱気が目立つようになってきた。「俺はよう、今年でもう78歳(S.20年生)になるんで終活をやっているところだ」。最近は一切の原稿執筆と講演を断っているのだが、最後に新庄・最上の方々に語り伝えたいことがあるという。1960年(15歳)に、新庄にあった農村工業指導所(雪調の後身)で、ホームスパン(羊毛加工科)の研修生となり、1年間寄宿舎にすみこんで羊の糸つむぎをしたという。このことが彼の原点になっているということは何度も聞いている。
 以前、ネットワーク農縁の主催で「雪調に学ぶ」講座を開催した。2010年~2017年まで8回行い、結城さんをメイン講師として雪国東北の暮らしについて語っていただいた。折角の要望なので実現してはどうだろうか。私案なのだが3回シリーズにして、
 ①ひとつの東北、ひとつひとつの東北/②東北は手仕事の国である/③東北―その先へー
 農縁の主催として、「雪調の会」や「農家のつくえ」、「キトキトマルシェ」の若手メンバーに声がけしたいと思うのだがどうだろうか。
※「結城登美雄」山形県大江町生まれ、仙台市在住。「民俗研究家」               Sumiyakisut Q  【 佐藤 恵一 】

● 今、代掻耀き真っ最中である。1日中トラクターに乗っているとくたびれるが、まわりの景色を眺めると新緑がより濃くなっていくのが、はっきりわかる。特に早い人は田植えを始めた人もいるが、私は20日頃からを予定している。一部苗の発芽が不ぞろいのところもあったが持ち直したみたいだ。田植えの時分は晴れであってほしい。                               【 今田 多一 】

● 私にとってー  ○冬の間は天国。雪が解けて春になると地獄だ。とは言え、5月に入ると新緑が一気に山の峰を駆け上り、あっという間に頂上にたどり着く。青い空に山の新緑が美しい。同じように月山や鳥海山の残雪も一番美しい時期だ。
 ○春の統一選で、新庄市では議員の半数近くが新人に変わった。全国的に地方議員のなり手がない中で、これだけ手を挙げる人が多いことは新庄市の未来はまだ明るいということか … ?
 ○ 先月の工藤さんの文章を読み、親の最後の願いを親族の反対があったとしても叶えてやるのがそのひとにとって一番の供養になるのではないか。それをするのが息子ではないだろうかと私は思った。
【 三原 茂夫 】

● 5月に入っても高温傾向が続き、苗の生育に尻を叩かれながらの作業が続いている。水を張った田圃では夕方になるとカエルのすざましいばかりの大合唱。都会ならば騒音として問題となるかもしれないが、農村では風物詩のひとつという事か。
 屋敷の晩生の桜も散り、例年より一足早く木々の緑の美しい季節となった。木といえば、木材価格が上昇し、以前の1.7倍以上との事。しかし立木に関しては何ら変わらず伐採の現場では運搬用の大型車1台まとまらなければ採算が取れないとして、それに満たない林には手をつけない。しかも本当に良いものしか用材用とはせず、あとは地元企業が経営するバイオマス発電所に運び込むだけ、と。そんな風で、今平地や里山の杉林が伐採されている。このままではいずれ、伐採可能な林地は尽きてしまうであろう。バイオマス発電も今迄の蓄積といってもよい林を食いつぶすだけなら、環境問題の解決とは逆行するものではないのか。
 又、製材所に入った原木、以前は職人が一本一本の性質・クセを見てそれ等を活用するように用途を決め最大限、良品、数量を取れるよう製材したものだが、今はコンピューター制御で人手要らずで希望の製品をいかに早く仕上げるかに尽きるとの事。SDGs的には、どちらが良いのであろうか ?  
【 笹 輝美 】

● 今回は短信ならぬ長文が多いため、活字ポイントを小さくした。ご容赦下さい。
 4/25早朝霜が降り、車の窓ガラスが白くなっていた。外に出していたプール育苗の水が凍っていた。日中晴れた。やがて苗の葉っぱが細く立ってきて、緑を失い枯れ始めた。 昨年4/30の朝、3cmほどの積雪があったが苗はそれに耐えた。高温には弱いが低温には強いと思っていたが限度がある。水が凍るほどの氷点下には耐えられなかったようだ。播き直しを考えたが、暫く様子を見ることにした。水をだっぷりと張り、がまんして見続けた。外のプール枠に出していた約1000枚の苗は、第1葉目は枯れたが、第2葉目が生きていた。10日程の遅れるものの回復した。生命力を感じた。
【 遠藤 敏信 】
              
月山遠望

短信集 卯 月

2023年4月15日
文責 : 遠藤 敏信

●過去に例のない3月のバカ陽気で雪はアッという間に無くなってしまった。3月中に田んぼの雪が無くなり田面が乾くなど、今迄見た事も聞いた事もない。このお返しは必ず来るだろう。
 この3月で99歳となった父が昨年末から[我が道を行く人]となってしまい以来その介護と農作業で忙しい日々が続いている。上野千鶴子さんが 「 老いは進化だ 」 と書いていたが、だんだん子供に還っていく父を見ていると明日のわが身を見ているようで心細くなる。輪廻転生そのものかもしれない。そんな父がいつも口にしていたのは「日本は本当にバカな戦争をしたものだ」という言葉。父は出征はしたものの、外地に行く前に敗戦となり無事帰ることができた。衛生兵として教育を受けていた時、同室の岩手出身の同年兵が誰もいない部屋で静かに「この戦争で日本が負けるのだ」と言ったという。外国の事情に詳しい人だったというが、それに比べ、当時の指導者は神風が吹くなどと馬鹿なことを言って、惜しげもなく若い人たちを死に追いやってきた。以前「名将愚将」という本を読んだことがあったが、名将と言われる人たちは皆部下を思い、危険なことは自分が先頭に立って戦い、多くは命を落としているのに対し、愚将と言われた者たちは部下も同胞も見捨てて、さっさと逃げ帰り生き延びて頬かむりをしている。
  北方領土も沖縄をはじめとする全国の米軍基地問題も、日米地位協定も、安保条約も、今に尾を引いている原爆の被害も、徴用工・慰安婦問題等々、すべて先の戦争が生み出したものであるが、生き延びた当時の指導者たちは米国のポチとなっただけで、何一つ解決していないのだ。そしてまた戦争を始めるつもりなのだろうか。
【 笹 輝美 】

 ●集落の入口にまつられている“湯殿山”と彫られたい石台。4/8,夕方から集まり清掃などをやり、お祈りし、3年ぶりに飲み会をやった。毎年4/8に集まっていたが、なぜ4/8になったか、誰も知らない。お釈迦様の誕生日だからという説。湯殿山とお釈迦様は関係があるのか、と誰かが言う。又、農休日がなかった時代、4/8だけは皆休んでいた。娯楽が少なかったので湯殿山にかこつけて、皆飲んできたのではという説。これが一番有力じゃないかと言う。
 あとは血圧の薬を飲んでいるか、とか、足腰がいたい、とか、俺は糖尿病だ、とか、病気話になったが皆、酒量も多く、高齢者だが元気だ! 
【 今田 多一 】

 ●今田さんに写真を届けに来た山岳カメラマンを、新庄市北部にある石動神社(いするぎじんじゃ)の杉の巨木に案内する。車からカメラを取り出し「おおッ」と声を出しながら撮影する。大杉の大きさが比較するものがないとわからないからと、木のそばに立ち私がにわかにモデルになる。
  その帰り道、私の本に興味があるからと寄る。又しても「おおッ」」と声を上げて写真を撮る。「何かお宝が埋まっていそうな本棚だ。泊りがけで宝探しをしてみたい」と。  私は蔵書への誉め言葉と受け取った。  かつてもう20年近くも前になると思うのだが、私の本棚を前にして「心ゆくまでこの空間を味わいたい」と言ってくれた人がいたが、私の本棚をほめてくれたのはまだ一人目だ。
【 三原 茂夫 】

 ● 11月に極めて個性的な義父が永眠。生前から「葬式不要、戒名不要、最後は音楽をかけてくれ」と、好きなクラシック曲の指定もしていた。とはいえ、「普通が一番」と親族に猛反対された。無難な道を行けば、無駄に周囲も止めることはないが、最後ぐらい故人の意思・価値観や「その人らしさ」を尊重したいと強く思った。
 さて、春が来て新一年生のランドセルに目を細めつつも、100%希望したものを一体どれくらいの子が背負っているのか?と疑問を感じる。柔軟性や多様性が叫ばれるわりに、既存の型にはめた「普通」ばかりが望まれてはいないか?  義父のように「変わり者」と言われた個性も、貫けば一つの道となる。火葬場で古い写真を囲んで子や孫が大笑いしたひとときは、この上ないあたたかな時間だった。
  他者との違いを怖がるな。自分は自分。らしく生きよう。        
【 工藤 恵子 】

 ●新庄は今、桜が満開。城跡の堀沿いの並木に見入る市民がおおぜい出ている。 こんなに早い開花は記憶にない、新庄の春の名物(風物詩)カド焼き祭りもゴールデンウィークに設定されている。つまり、通常はGWが桜の季節なのだから相当に早いのだ。
 相当に早い、と言えば、我が家の農作業のペースが今年はめっぽう早い。はたから見れば、異常に早いと見えるらしい。何せ、通常20日頃から3,4日間隔で3回種まきするところを今年はすでに3回目を播き終えたのだから。事情によって5月に食い込んだこともあったのに、である。この結果がどうなるのかは分からない。が、仕事を先取りしているのは確かで、やるべき作業に追われていないという安心感がある。この体験この齢にして初めて。
  14日夜、NHKテレビで「アナザストーリー・高倉健」を観た。任侠映画のヒーローから国民的スターになったのは?という流れだった。転機は山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」だったという。普通の人を演ずることで彼は大スターになった。
 【 遠藤 敏信 】



新庄発 … 短信集 … 弥 生

 2023年3月15日
文責 : 遠藤 敏信


● この冬も過ぎてみればアッという間だった! 去年の12月は1日で40cmも降り続け、こんな調子が続けば相当の積雪量になると、先を心配したものだ。
 1月、雨が降ったり又、低温・寒波はあったが連続した降雪はそれほどでもなかった。2月の降雪も平年より少なかった気がした。
例年必ずある雪の揺り戻しもなかった気がする。それでも家の前の田んぼにはまだ50cmの雪が残る。でも確実に春の光である。
【 今田 多一 】

● 作家や学者の多くが死後思い出の詰まった蔵書の行く末を心配しているのに、立花隆さんは遺言できれいサッパリ1冊の本も残さず古本屋へ売り払うように書いた。そして実行された。「知の巨人」と言われた人の数万から数十万冊の、空っぽになった本棚が映し出された。
 私はとてもこの人のようにはなれない。とは言え、これくらいは見栄で揃えておきたい、いつかは読めそうだと思って買った本や、いつかは高く売れそうだと仕入れたり、知人・友人からもらったりした本が本棚に並びきれず、ダンボール箱に詰めて重ねて、それが倉の入口にまできてしまった。残りの寿命も少なくなってきたことだし、そろそろ何とかしなくてはと … 。
 本をゴミにしないイイ解決策はないのだろうか。
【 三原 茂夫 】

● 農縁のフェイスブック担当者から本の写真とメッセージが送られてきた。
鈴木宜弘(のぶひろ)・署「農業消滅」(平凡社新書)を読んでいます。暗澹たる気持ちになります。」に対して、私の返信。「農地は残すが、農民はいらないという政策です。これが資本の意志と言われるものです」
に対して「本当にひどい状態ですね。そしてそれがほとんど国民に知られていないのが、もっとも大きな問題だと思います。伝えていかねば」
 というのが、やりとりの内容。
 資本というバケモノが、口から赤い血を滴らせながら、労働者・農民を丸ごと喰い尽くしているというのが現状です。「SDGs」などというユダヤ資本の陰謀に騙されてはいけません。諸悪の根源は資本主義にあります。今からでも遅くはありません。資本主義を足元から掘りくずす運動を …。「希望を失うな、希望を育てよ」
【 佐藤 恵一 】

● 東京は待ちに待った桜の開花ですか。こちらは田んぼも畑も雪に覆われ、春まだ遠い冬景色ですよ。今の作業工程は、今年植え付ける種籾を雪を入れた水槽に水漬けして13日目になりました。この工程は4/10日ころまで続けます。
 種籾の芽は水温5℃以上の毎日の累積で100℃以上になりますと、籾は自然に芽生え始めるのです。その芽の動きを止める為に雪を入れて冷水にするため、雪を利用するのです。そして、長時間の水漬けを可能にするのでより自然界に近い条件を与える事で、種の持つ発芽阻害要素を取り除くのです。籾は何百年も前の籾が発見され、発芽実験され芽が出ているのです。そんな阻害要素をもって生存しているのです。
 これから田んぼに植えられ、育つであろう種籾により試練を、と想えての作業工程なのです。
  いくらかでもこれからの気候変動に対応できる種に育って、と願うのですが、みなさんも一緒になってガンバレと支援を送ってくださいネ。
【 高橋 保広 】

● 14日、「つや姫、雪若丸」栽培講習会に行く。日本穀物協会の食味ランキングで、山形県では“つや姫”が上場以来13年、“雪若丸”が6年連続特A評価を得ている。両銘柄とも栽培圃場が特定され、種もみは知事名により、面積に応じて供給される仕組みができている。
加えて、“つや姫”の場合、特別栽培がスタンダードで化学肥料・農薬の使用が地域通常の50%以下に制限され、さらに収穫後のたんぱく質含量のチエックがある。基準より数値が高いと評価ランクが下がる。食味と品質を維持するためだ。そのほか、余った苗の処分方法、使用資材、栽培管理等の報告義務があるため、厄介で返上したいという農家がある反面、作付けしたい、面積を増やしたいと希望する農家がいるものの要件は厳しい。
今年私は息子に代わり、つや姫は160a(内、有機栽培30a)、雪若丸は210a、他(ヒメノモチ、あきたこまち、有機さわのはな、はえぬき)は740aの作付け予定だ。

講習会に≒70名の方々がいた。(山形県最上総合支庁)

 過日、三原さん、今田君と「百姓の百の声」というドキュメンタリー映画を見た。
 先月、舞台挨拶付きのこの映画があった際、行きそこなったのでもうダメかなと思っていたら、なんと別の映画館で上映するとのことではないか。かつて、ドキュメンタリーは自主上映と相場が決まっていた。いま、劇場で映され、観客も多い。
 狭い日本、でもそこに住む人の知恵と工夫する力は、限りなく広く大きいと改めて知る。「農の世界は、近くで遠い」「近いけれども遠い」だったかな…、というテロップがエンドロールの前に映ったが、農・百姓にのめりこむ人間は多くが哲学を持っているように思う。

さて、種もみが届いた。農の準備作業が始まる。
【 遠藤 敏信 】

新庄発 … 短信集 … 如 月

 2023年2月15日

文責 : 遠藤 敏信


●“10年に1度”という寒波予報の時、トイレの水道管がひび割れ漏水した。設備屋さんに修理を頼んだが、依頼が多いので元栓を締め、少し待ってほしいとのこと。屋外の蛇口が凍ることはたびたびあったが、室内の管が割れることなど初めてだ。そんな中、なんかボオーッとした1ヶ月を過ごしている時、「防衛費倍増」、「原発再稼働」と、国論を二分する政策を内閣だけで決定し危険な道を拡大させている。
【 今田 多一 】

●此の冬も節分が過ぎて峠を越し、日も長くなり何となく肩の荷を下ろしたような気分である。ビニールハウスの中は薄日が射しただけでも汗ばむほどで、鉢植えの寒梅も見事な花を咲かせてくれた。ビニールハウスの中では山菜のウルイを栽培しているが熱源は電気なので電気料金の著しい値上がりは直ちに費用の増大につながり、資材の値上がりと合わさって経営の存続を左右する。
 新聞を開けば詐欺、強盗、汚職、談合……とイヤな記事ばかり。そして年々カタカナ語ばかり多くなり、私などはチンプンカンプン。外来語辞典を引っ張り出しても載っていない、とくる。
 戦時中、朝鮮等で日本への同化政策で日本語を教えたというが、この国は自ら進んで米国への同化政策をとっているといえるのではないか? 明治維新後、西洋に比べすべての面で劣っていると思い込んできたように思う。自国の文化を大切にすることさえ忘れてしまったようだ。経済社会システムを米国と同じにすると言い放ってから急激に格差は広がり、子供の出生数は毎年最低を更新し続け、亡国の道を進んできた。米国がそんなに良い国だと思い込んでいる人達は米国に移住すべきで、この国を名実ともに壊攪してくれなくてもよいのである。
 家の前を乳母車が通った時、私が「乳母車だ」と言ったら、嫁が「お義父さん、あれはベビーカーだよ」といった。私は「日本人なら、日本語を使え」と返した。
【 笹 輝美 】

●トルコとシリアの国境近くで起きた地震は死者3万人とも、だんだん明らかになると5万人を超えるともいわれる大災害になっている。
 国際支援の方は、反政府組織や難民が多く住んでいる地域もあって、迅速にはいってないようだ。一瞬にして家族や家・生活を奪われて嘆き悲しみ、呆然とたたずむ人々が映し出される。地震大国日本も他人事ではない。こんな時に被災地に手を差し伸べるどころか、ロシアのプーチンは更にウクライナ攻撃を強め、惨劇を繰り返している。狂人化した独裁者は始末におえない。求む “ゴルゴ13” 様。
 NHKドラマ「ガラパゴス」を見る。私達からは見えない日本企業の実態が派遣社員の死を巡って展開していく。どこか「砂の器」のストーリーを思わせるような見ごたえのある番組であった。
【 三原 茂夫 】

●ほぼこの1年、気の滅入ることの多い中、癒されたテレビ番組があった。NHK BSで何度か放映された「大和尼寺精進日記」「……食いしん坊日記」である。尼寺の尼僧さんやご近所の人たちが、身の回りにある食物を巧みに活用して食したり、支えあって 暮らしを楽しんでいる日常を追ったものである。つましく、おだやかで、ほほえましく、テーマ音楽が耳に入るだけでほっこり、心の安らぎを感じたものである。
 もう一つ、「ぽつんと一軒家」という番組。衛星写真でとらえた人里離れた山奥の一軒家を訪ね、そこに住む方にどうしてここに?なぜ?生計は何で?などと聞いていくのである。そこに住み続けるってことに様々な思いがあり、生き方を見る。そこには、必要なものを自給するという知恵や工夫がある。寂しさや辛さもあるのだろうが、人を思いやるやさしさや強さをも感じるのだ。
 ふと思った。こんな現象は地方の山奥ではなく、人が密集する都会のなかにもあるのではないかと。そしてそれは、無関心という要素が加わり、より深刻なのではないかと。
【 遠藤 信子 】

●昨日の午後、つれあいの実家のある最上町に所要のため出かけた。亀割バイパスを抜けて小国川を渡ったあたりから吹雪きはじめ車のライトはもちろん、時にハザードランプを点滅させてこちらの存在を知らせなければならない状況になった。いわぬるホワイトアウト状態である。節分を過ぎたのだから、とタカをくくっていたのだが、ちとまだ早いようだ。結局、急ぐことはないと用を果たさぬまま引き返したのだった。
 家に戻って、非常に肩の凝った運転だった、と、どっかどした。引き返してよかったと思っている。
こんなことがあったとしても、確実に日が長くなっているのを感じる。2月も半ばである。
とりとめのないことを書いてしまいました。
【 遠藤 敏信 】

2月15日・国道13号



新庄発 … 短信集 … 睦 月

2023年1月15日
文責:遠藤 敏信

賀 正  今年もよろしくお願いいたします。 農縁新庄生産者一同

● 謹賀新年
  良い年をお迎えのことと存じます。旧年中は大変お世話になり誠にありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。ご家族の皆様のご多幸を心からお祈り申し上げます。
【 高橋 保広 】

● あけおめことよろです。
  年賀状を出す人が激減しているという。私は流れに乗らず60枚ほどを出している。毎回山の写真とコメントを載せている。今年はわが母なる山「神室連峰」をとりあげている。「山椒は小粒でピリリとからい」日本百名山に選ばれてもおかしくない山なのだが、背丈が足りず選に漏れている。
 日本山岳会のお偉方も結構訪れている。「1000メートル級の山でこのような山容は見たことがない。又来たい。」とは桑原武夫(京大学士山岳会・1904~1988)氏の弁。
 なんと イマキン ー 今西錦司(京大学士山岳会・進化論・1904~1992)も登っているではないか!
砂利押沢(じゃりおしざわ)を下る途中に会ったという山仲間の話によれば、弟子たちに体の前後を支えられながら連峰最高峰の小又山(1367m)に上っている。イマキンが何と言ったかは定かでない。
 彼は昭和10年代に、雪害調査所(現雪の里情報館)の雪害対策委員に任命され、新庄とつながっている。
緑色のインクで書かれた手紙が残されている。彼は生前に「今西天皇」と呼ばれ、批判もはばかられるほどだったが、死後すぐに雑誌「科学」(岩波書店)に批判論文が載ったのには驚いた。どんな世界にもカリスマを作ってはいけないという教訓。
 昨年は田んぼの草取りに追われどこにも行けなかった。今年は以前から気になっていた上越国境の山「巻機(まきはた)山」に出かけたいと思っている。「風のように歩く」が私のモットーなのだが、だいぶ怪しくなってきた。                 SumiyakistQ 【 佐藤 恵一 】

● 新年おめでとうございます。本年もお付き合いのほど宜しくおねがい致します。
  年末のいきなりのドカ雪には悲鳴を上げてしまった。日中40cm、夜30~40cmも降られると、終日雪の片づけに追われヘトヘト、寒に入ってからは大雪もなく、おだやかな日が多くなっている。
 ウクライナ戦争により、ガソリンをはじめとする燃料が高くなり、暖房費等が家計を直撃している。このエネルギー危機をチャンス、待ってましたとばかり火事場泥棒のように、国は原発行政を180度転換、福島原発事故以前よりもひどい方針を決めてしまった。核のゴミの処分方法が何一つ決まっていないのに、福島原発事故の検証さえ終わっていないのに、である。規制委も結論ありきで、前身の保安院と何等変わっていない。
 事故が発生しても、国も規制委も電力会社も、誰一人責任を負う必要が無いという無責任体制の下では再び同じようなことが起きるのは必至、その時彼等は“想定外”という言葉で誤魔化すのであろう。そしてその処理費用には税金を投入、電気料金も値上げし、当事者は誰も損する事は無く、電力会社は株主配当に尽力する。あまりに都合がよすぎるではないか。
 私たち素人目からすれば、原発に湯水のごとく注ぎ込む金を、自然エネルギー活用の研究に充てた方が将来に負の遺産を残さずに済むのではないかと思うのだが。ある方が言っていました。「原発が本当に安全であるなら、又送電コストの点からも、電力大消費地のすぐ近くの東京湾に人工島を作り、そこに原発を建設し同時に国会議事堂・議員会館・原子力官庁と役人宿舎並びに電力会社の役員の居住地を建設し、原発行政のすべてをそこで行うようにした方が最も効率的である」と。是が非でもそうして欲しいもので、それこそが国民のためである。                              【 笹 輝美 】

● 座員・俳優がコロナに感染したため、山形公演が延期になっていた“わらび座”「いつだって青空」を観に行った(12/18)。女は良妻賢母がよいとされた時代、アメリカへ留学し、スエーデン体操、ダンス、バスケットなどスポーツを普及させ、日本女子体育の母、秋田の津田梅子と称された“井口阿くり”さんをモデルにミユージカルにしたもので大変楽しいものであった。
 私たちをいつも応援してくれている川崎の「こどものいえもも保育園」を農縁初期のころ訪問した時、故元・瀬川園長が和光中学の教師の時、観光地・名所旧跡・名刹などを回る修学旅行をやめ、地元農家の農作業の手伝い、”わらび座“で伝統芸能の体験などを企画・実践した人であることを知った。そこでわらび座の話で盛り上がったことを今でも忘れられない。その修学旅行の体験がもとになり、わらび座に入座した”渡辺哲“さんが今回も出演していた。前にも似たようなことを書いたような気がするが、昔のことと同じことを何回も言う現象は老化の始まりだと思うのでご勘弁してください。        【 今田 多一 】

なんとこの短信は電話で原稿を受けた。
● 謹賀新年
  今年初めての登山を伊豆大島の三原山に決め、13日から15日の予定で友人と雪の新庄を後にした。
 伊豆半島では3年ぶりに会った知人の心のこもったおもてなしと、温かな日差しのもと、城ケ崎海岸を散策することができた。
 13日、快晴。東京の友人と3人で三原山を登る。目の前に広がる雄大な風景にみな圧倒され、歓喜の声を上げた。私の先祖とも縁のある三原神社にも参拝することができ、大満足の初登山であった。
 今年一年よろしくお願いいたします。                      【 三原 茂夫 】

● 暮れはドカ雪が来ていきなり根雪になり、先が思いやられました。しかし正月が明け寒中に入ったのに
  似つかわしくなく雨降りになっています。今年もよろしく … です。       【 遠藤 信子 】

● 3年ぶりに映画館に行った。「Dr.コトー」を観た。20年近く前、TVで放映されていた。ずいぶん時が経ったが、コトー先生は沖縄の離島で島医者として生きていた。
 地方の医師不足を解消しようと「医学部地域医療枠制度」というものがある。6年間の高額な学費を免除する代りに、卒業後おおむね9年間は学費を出してくれた地域で医療活動をしなければならないというものらしい。しかし近年、免除を反故にして、地方を去り都会に向かう医師の卵が多いという。
 奇しくも、新庄市の民間病院(全国展開する系列の一つ)の院長が突如退職したという。引継ぎも何もなくである。看護師や職員、それに何より、患者の方々の困惑は大変なものだろう。
 今、県立新庄病院の建て替え工事が急ピッチで進められている。等しく医療が受けられるよう、”人徳”に通ずるものであってほしいと願う。               【 遠藤 敏信 】


 



 

新庄発 … 短信集 … 師 走

2022年12月15日
文責 : 遠藤 敏信

●〇世界各地で今進んでいる地球温暖化は環境に対して何もいいことはないが、唯一の例外と思われるのが、東北地方、特に太平洋側に発生する山背(やませ)に伴う冷害が、このところほとんど皆無に近くなっていることだ。
  宮沢賢治の母校である盛岡高等農林学校が昭和11年7月に刊行した「東北地方古今凶饉誌」によれば、江戸時代の南部藩250年間に実に76回もの凶作、飢饉が続き、それに伴って農民による一揆も続発した。そんな時代であれば弱者の老人や子供がどんな境遇に置かれるかは想像を絶する。「北からの詩人論」真壁仁 宝文館出版(賢治と飢餓の風土より)
〇今年一年間、私達農縁を応援し支えてくれた皆様に感謝の言葉で終わりたいと思います。本当にありがとうございました。来年こそコロナが静まり、皆様と会えることができますように祈りながら …。
【 三原 茂夫 】

● 今、家の前の道路を木材を積んだトラックが1日何回も通る。以前、笹さんが里山の杉材の伐採が進んでいることを短信に記したが、ここにきて私の村の裏山も伐採が急激に進んでいる。その先に私が小さかった頃、唐鍬をもって親と一緒に植林した杉もわずかばかりだがある。
大方50年以上経っていると思う。伐採業者の若い社員が見積もり書を持ってきた。
1石¥1100円だという。私は杉の売買などしたことがないから、高いのか安いのか皆目わからない。そして新庄のあっちこっちで伐採され貯木されている光景を見る。バイオマス、チップ、合板。林業の活性化という大名目で政府の大きな補助事業が拍車をかけている。
でも、伐採した後又植林する力がある農家はいない。
【 今田 多一 】

● 14~15日にかけて冬本番の警報級の大雪予報が出ている。田んぼの作業が終わっても、植木や建物の雪囲い、越冬用野菜の収穫と畑の後片付け、田や畑で使用済みとなったポリ・ビニールを乾かし、附着している土を落としてから廃棄処分場へ運んだり、又来年の冬に使う薪用に雑木を伐り運んできたり、植林地の木の手入れや雪対策と忙しい日が続いた。まだやることは残っているものの降雪前にやらなければならないことは何とか終えた。あとは例年のごとくビニールハウスの中での隠遁生活にはいるばかり、となった。
 先日の新聞に「子供たちの遊び声がうるさい」という訴えに、公園を閉鎖することにしたという記事があった。私などは加齢と共に益々どこの子供でもかわいく思えてくる。そしてエネルギーを撒き散らしながら走り回る子供達の元気な声からエネルギーをお裾分けしてもらっているような気分になるのだが。
 以前にも保育園の建設計画に同じ理由で反対運動が起きたニュースが思い出される。
 子供は風の子、元気なのが当たり前、勉強しかしてこない人がどうなるかは政治家センセイや役人・経済界の連中の行状を見ればすぐわかるというもの。
  次代を担う子供達、この先自分たちが世話になる子供達である。そして子供の出生数と年寄りの認知症は相関関係にあることも否定できない。子供は皆の、国の宝であろう。それを”うるさい”と言っている人達はどんな人達なのであろうか。
【 笹 輝美 】

●  今年もお付き合いいただいたことに感謝します。
ありがとうございました。
【 遠藤 信子 】

● 昨日から雪が降り続いている。前にも書いたが、新庄の冬は雪が降って当たり前の風土だ。だから、降ったからといって驚くことではない。ただ、年とともに除排雪の労がきつくなってきた。
  今日、あわててトラクターの前輪にチェーンをつけて、朝夕、2回除排雪を行った。雪はほどほどがいい。今年も、お世話様でした。ありがとうございます。          
【 遠藤 敏信 】

新庄発 … 短信集 … 霜 月

2022年11月16日
 文責 : 遠藤 敏信

●○里山の紅葉は茶色に代わり、初雪が降るころには落葉して寒々とした裸木になってしまう。毎年くり返される晩秋の風景である。
○暇なのでこんなことを考えてみた。皆さんもご一緒に … 。今、ウクライナで起きている戦争がもし日本であったら、政府や国民はどう対処しただろうか。ウクライナのように国を守るため武器をとって戦えるだろうか。「戦争絶対反対」と言って、無抵抗で白旗を上げ、占領され、その後ブチャで起きたような悲劇(ウクライナの小さな町で、ロシア軍撤退後、拷問・虐殺の痕跡が発見された)が繰り返されても容認するのだろうか。テレビでいくら悲惨な映像が流れても自分のこととしてとらえるのはむずかしい。実際、ミサイルや砲弾が落ちて多数の身近な人の死やケガ人を目前にしなければ。又、電気やガス、水が止まり寒さの中で食料を心配し、空襲警報のサイレンに脅えながら毎日を過ごさなければならない生活を今の日本人には想像すらできないことだろう。そんな中で北朝鮮ミサイル発射で、山形県にもJアラートが出され、その内容が「頑丈な建物に入り、窓から離れるように」と、台風の時と同じ感覚とは笑うに笑えない。
○“アルプス音楽団”新庄公演に行く。70歳のおじさんが歌うヨーデルの美声に酔いしれた。
【 三原 茂夫 】

● この時期新庄は朝もやがすごい。盆地だから、だという。
  あっという間に秋が終わり、雨が降ったりすると鉛色の空になり初冬の感がある。又少し小春日和が続いたりすると”明日できることは今日するな”となり、雪囲い、小屋の片づけ、野菜の取入れなど次々作業はあるのに少しサボってしまう。
冬は短いほど良い、と感じる年に私もなってきた。                
【 今田 多一 】

● 収穫作業の疲れからか、風邪をひいてしまった。忙しかったので多少無理をした為こじらせてしまい、ウイルスに居心地の良い肉体を提供することになってしまった。
若い頃、出稼ぎ等で様々な仕事を経験してきたが農作業はやはりキツイ。今この国の農業を支えているのは60代、70代の高齢者である。若者たちは早々に見切りをつけているといって言い。「農は国の大本なり」とは明治時代の話で、ある方々に言わせれば、日本経済のお荷物とか。そう言われコキおろされてきたのだから当然のことであろう。
そうした経済界の望み通り、農業(農業者)が消滅するのは時間の問題であろう。いま語られている食糧安保も農業者ではなく、農地を残すことに尽きる。その時国民は年間10兆円トクをするのかどうかこの目で確かめたいものである。
社会経済システムをすべて米国のコピーをしてきた彼等が目指すのは農地を掌握し、労働者を低賃金で働かせ、食料の生産から流通までを支配することである。ことは容易に想像できよう。そしてその下準備が農地の集積を進めることである。
傍流を歩み続けてきたヒネクレ百姓の独断と勘繰りは止まることを知らないが、将来そのようなことにならないことだけを願っている。歴史の逆戻りであるから。
【 笹 輝美 】

● 若い頃、イヤつい最近まで自分の住むこの地新庄は「冬に雪が降って当たり前」、「冬寒く、夏暑いのも当たり前」 と思ってきた。つれあい“おっかあ”に至っては「冬は雪、スキーができる」 だった。しかし年を重ねて雪と付き合う負の側面、除排雪の労を思うと「雪はほどほどがいいなぁ」となってしまった。母屋の雪囲いは済ませたが、庭木にはまだ手付かず、越冬野菜の取入れも半ばだ。さらにブルーベリーの雪囲いが手ごわい。
  8月の長雨で一般的に不作だった今年のそば、我が家の場合は上々だった。排水がよかったことや無肥料でスタートし、開花期に施した有機リン酸肥料が効いたようだ。天日干しにしたものを自家製粉し、二八で打って食べた。 「! … んまい 」。ご所望の方には実費で送ります。ご連絡ください。
【 遠藤 敏信 】

落葉が始まった