新庄発 … 短信集    霜 月




2016年11月13日

文責 : 遠藤 敏信

   11/9、平年より早い初雪。やはり寒い。今年は台風や大雨に見舞われることもなく概ね好天が続き、病害虫の発生も少なかった。が、やや栄養失調(肥料不足)気味となったため、思ったより収量は上がらなかったもののその分、品質と食味は確保できたように思う。自然相手の農家はいくら機械化・システム化を進め、データを最大限活用し、結果最高の出来栄え間違いなしと思っても、台風1つが襲来すればゲリラ豪雨で水害が起きれば、それで終わりなのだ。そして温暖化が進行する今、その確率はますます高くなっていると言わねばならない。
 私の地方には私の地方の土地条件(地形・地質)、水利条件、環境条件等から最もコストの安く上がる多様な形態がある筈で、十把一絡げ(じっぱひとからげ)で規模拡大のみを唱える人たちに違和感を覚える。そしてそのほとんどの人たちは自分では農業経営をやったことが無い人たちだから。
 そんなわけで今年も反省の年でした。が、何気ない日々の生活を楽しみながら過ごしています。このところ楽しみ続けてばかりいて、除雪前にやらねばならない作業がたくさん残っているため、慌てています。           【 笹 輝美 】

   例年より早く新庄は9日に初雪になり、里山は白一色になった。
今から50年ほど前になるが、東京から村はずれに山小屋風の小屋を建て、移住してきた青年がいた。村の子供たちの勉強を見て、村人からは「山の先生」と呼ばれていた。話をしているうちに良寛を師と仰ぎ、そのような人生を歩みたいとも言った。絵をよく描き、愚寛(ぐかん)とサインしていた。米ソ冷戦の時代、いつ核戦争が起きるかわからない時に、山の先生は「世界は一つの連邦国にならなければ人類の救われる道はない」と大まじめに訥々(とつとつ)と私に説くのだった。その時は何を寝ぼけたことを、そんな事 実現できる訳がないと鼻で笑って聞いていたのだが、今の世界を見ていると、その道がどんなに困難であろうと、どんなに時間がかかろうがそれしかないような気がしてくる。
  山の先生の話の要旨
      今の国連は5大国の内1国でも反対すれば何事も前に進まない。内戦で
多くの人が殺されようが助けることも出来ない。世界で共通の法律を作り、
国連独自の警察・軍を持ちどこの国でも行動できるようにして平和を守る。
各国の国益を第一とするのではなく、世界や地球全体の益を一番にする … 。

といったような話だったように思う。50年も前のことなので記憶違いもあるだろう。今の世界問題(地球温暖化、人口、内戦、難民、宗教、テロ等々)は山の先生の考え方を進めていけば、100年後200年後には世界は一つの国家像に近づき解決の方向へと向かうと思うのだが、やはり甘いと鼻先で笑われるだろうか。                                
【 三原 茂夫 】

   オレンジ色の介護保険証が届いた。65歳になった証である。この前テレビで農業従事者の平均年齢が67歳と言っていた。私の村は55戸であるが見渡してみると大体当たっていると思う。農業に従事する若者は2人だけだ。新卒就農者は医者になる数より少ない、と言われて久しいが納得である。高齢化、担い手不足と言われながら、それでも頑張る農民が居るからこそ耕作放棄地なども最小限にとどまっているのではないか攻めの農業を、成長産業に …などと旗を振られても、それにこたえる百姓は私の村にはいない。              【 今田 多一 】

   この一年はイギリスのEU離脱や超大国アメリカの大統領がまさかのトランプ氏に、私のような凡人には予想もできない結果が次々と起こる一年だった。これも時代の流れなのだろうか。これから世界はどうなるのだろうと思う。アメリカのTPP離脱が現実味を帯びてきた中で日本はTPP承認案が可決される、ほとんどの農家はTPPを不安に思っている、私も同じだ。          【 星川 公見 】

   12日(土)、東京にいます。農縁の立ち上げ時からお付き合いのある、寺沢文子さんとそのお仲間、小林久子さんの計らいで、農縁米の試食交流会を行いました。新庄から出向いたのは、高橋()さんと私。千代田区外神田の万世区民会館を会場になんと50名もの方が集ってくれました。在来種“さわのはな”、と山形県を代表する米“つや姫”のおにぎりを食しながらの語り合い。添え物の漬物、有機農業者協会の味噌(汁)、納豆、ハトムギ茶も大好評で、とっても素敵なひと時でした。
                                                 感謝!   【 遠藤 信子 】
 
   アメリカの新大統領が予想外のT氏に決まったことで世間はこの話で持ちきりだ。日本も世襲制から脱して爽やかな“新しい風”が吹かないものかと思う。
 6日夕、農縁と14年来つき合いのある、川崎市の‟もも保育園の厨房スタッフの一員・海野さんがきてくれた。山形市でおこなわれた食育研修会に参加後、足をのばしてくれたもの。急遽、農縁の仲間に連絡、ささやかな歓迎会を持つ。たまの飲み会。志しの高い若い女性が加わることで、オジサンたちは大いに盛り上がり、「新庄の農家さんとのつき合いは園のブランドの一つ」などと褒められ、酒量がいつになくはかどったのでした。日本酒のうまい季節になりました。【 遠藤 敏信 】

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